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第5話 隣
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~織原朔真視点~
『んふっ……おほっ、おっ……あぁ~ダメェェェ!!聞けないぃぃぃ~!!』
『あ、あ、あ”ぁ~~~~!!』
『センシティブすぎんだろ!!』
昨日の鷲見カンナさんの配信の切り抜きがショート動画となって再生された。プレゼンターである鷲見カンナさんと天久カミカさんの喘ぎ声のようなリアクションと来茉蘭さんの鋭いツッコミが響き渡る。
僕のやっているVチューバー、エドヴァルドの声を聴いて悶えているようだ。僕は自分の声についてこのような反応をされると気恥ずかしさでいっぱいになる。しかし悪い気はしない。今まで誰かに誉められたことなど殆どないからだ。
それに自分の声が良い声だとはあまり思えない。高い声はでないし、かといって魅力的な低い声でもない。テノールでもなければバスでもないしバリトンでもない。ハイバリトンという中途半端な声帯なのだ。
その声帯を持つ人は確かに少ない。なるほど未確認声帯と鷲見さんに題されたのも納得がいくかもしれない。
彼女達のリアクションはさっそく切り抜き動画となって既に18万回程再生されている。
僕は彼女達の影響力に感心しつつ、耳にワイヤレスイヤホンを付けているとは言え、学校の中で喘ぎ声に似た声を聞いているのが少し恥ずかしくなって直ぐに下から上へ動画をスクロールさせた。
すると鷲見さんとカミカさんのセンシティブな声はフェードアウトし、替わりに別の動画が再生される。黒髪の可愛らしいアイドル衣装に身を包んだ女の子がステージ場で手を振りながら歌っている動画だ。
そう、登校中この女の子にビンタを食らったのだ。
──音咲…さん……
左頬がズキズキと疼く。僕はその疼きを消すためにまた下から上へ画面をスクロールして違う動画に切り替える。今度は何かの式典で肩を怒らせながらステージを歩く黒人男性が司会と思しき男性に近付きビンタする動画だ。
それを見て疼いていただけの頬がはっきりと痛みだす。僕は慌てて違う動画に切り替えた。
『元気ですかぁぁー!!!』
次は、顎に特徴のあるプロレスラーが一般人と思しき男性にビンタを食らわせる動画だった。
──だぁぁぁ!!!
僕はホームボタンを押して、動画投稿サイトを閉じた。自分の新しい机に顔を突っ伏す。
高校2年生。
新しい教室に新しい机、周囲を見渡せばこれから1年間授業を共にするクラスメイト達がいた。
すでに、親しくなったのか、それとも元々親しいのかわからないが、教室内ではクラスメイト達がガヤガヤと話している。
廊下では、運動部に所属していそうな男子生徒達が騒いでいた。
「いやマジで良いなぁ~そっちのクラス!」
「そうか?お前らと離れたのがいたいわぁ!」
「いやいやだって音咲さんと一ノ瀬さんいるじゃん」
「マジでそっち激アツじゃね?」
そんな陽キャ達の声が廊下側に近い僕の席からはよく聞こえる。
するとその廊下がどよめき始めた。
おぉぉとか、きゃぁぁとか、可愛いとか、そんな声が混ざりあって喧騒と化す。
そのどよめきの原因となった生徒が2人の取り巻きを引き連れて教室に入ってきた。
音咲華多莉だ。
──よりにもよって僕と同じクラス……
音咲華多莉はそのまま黒板に張り出されている自分の席を確認してから、指定された席についた。
僕の隣だ。
僕と一瞬目が合うと、蔑むような視線を向けて、舌を鳴らされる。
僕の波乱の高校2年生生活が始まろうとしていた。
『んふっ……おほっ、おっ……あぁ~ダメェェェ!!聞けないぃぃぃ~!!』
『あ、あ、あ”ぁ~~~~!!』
『センシティブすぎんだろ!!』
昨日の鷲見カンナさんの配信の切り抜きがショート動画となって再生された。プレゼンターである鷲見カンナさんと天久カミカさんの喘ぎ声のようなリアクションと来茉蘭さんの鋭いツッコミが響き渡る。
僕のやっているVチューバー、エドヴァルドの声を聴いて悶えているようだ。僕は自分の声についてこのような反応をされると気恥ずかしさでいっぱいになる。しかし悪い気はしない。今まで誰かに誉められたことなど殆どないからだ。
それに自分の声が良い声だとはあまり思えない。高い声はでないし、かといって魅力的な低い声でもない。テノールでもなければバスでもないしバリトンでもない。ハイバリトンという中途半端な声帯なのだ。
その声帯を持つ人は確かに少ない。なるほど未確認声帯と鷲見さんに題されたのも納得がいくかもしれない。
彼女達のリアクションはさっそく切り抜き動画となって既に18万回程再生されている。
僕は彼女達の影響力に感心しつつ、耳にワイヤレスイヤホンを付けているとは言え、学校の中で喘ぎ声に似た声を聞いているのが少し恥ずかしくなって直ぐに下から上へ動画をスクロールさせた。
すると鷲見さんとカミカさんのセンシティブな声はフェードアウトし、替わりに別の動画が再生される。黒髪の可愛らしいアイドル衣装に身を包んだ女の子がステージ場で手を振りながら歌っている動画だ。
そう、登校中この女の子にビンタを食らったのだ。
──音咲…さん……
左頬がズキズキと疼く。僕はその疼きを消すためにまた下から上へ画面をスクロールして違う動画に切り替える。今度は何かの式典で肩を怒らせながらステージを歩く黒人男性が司会と思しき男性に近付きビンタする動画だ。
それを見て疼いていただけの頬がはっきりと痛みだす。僕は慌てて違う動画に切り替えた。
『元気ですかぁぁー!!!』
次は、顎に特徴のあるプロレスラーが一般人と思しき男性にビンタを食らわせる動画だった。
──だぁぁぁ!!!
僕はホームボタンを押して、動画投稿サイトを閉じた。自分の新しい机に顔を突っ伏す。
高校2年生。
新しい教室に新しい机、周囲を見渡せばこれから1年間授業を共にするクラスメイト達がいた。
すでに、親しくなったのか、それとも元々親しいのかわからないが、教室内ではクラスメイト達がガヤガヤと話している。
廊下では、運動部に所属していそうな男子生徒達が騒いでいた。
「いやマジで良いなぁ~そっちのクラス!」
「そうか?お前らと離れたのがいたいわぁ!」
「いやいやだって音咲さんと一ノ瀬さんいるじゃん」
「マジでそっち激アツじゃね?」
そんな陽キャ達の声が廊下側に近い僕の席からはよく聞こえる。
するとその廊下がどよめき始めた。
おぉぉとか、きゃぁぁとか、可愛いとか、そんな声が混ざりあって喧騒と化す。
そのどよめきの原因となった生徒が2人の取り巻きを引き連れて教室に入ってきた。
音咲華多莉だ。
──よりにもよって僕と同じクラス……
音咲華多莉はそのまま黒板に張り出されている自分の席を確認してから、指定された席についた。
僕の隣だ。
僕と一瞬目が合うと、蔑むような視線を向けて、舌を鳴らされる。
僕の波乱の高校2年生生活が始まろうとしていた。
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