【完結】君のことなんてもう知らない

ぽぽ

文字の大きさ
3 / 56

3

しおりを挟む


「あ、慶也君戻ってきたよ」


女友達がそういうため、琥珀は机からパッと顔を上げる。


「慶也~~!!」


琥珀は席から勢いよく立ち上がり、人目も憚らず慶也に正面から抱きつく。


「告白ちゃんと断った?」


琥珀が抱きつきながら慶也を見上げ首を傾げると、慶也は琥珀の頰を親指の甲で撫でた後、琥珀の耳元に唇を近づけて囁く。


「琥珀、断る断らない以前にそもそも俺には"可愛い彼女"がいるから」


慶也には同じ学年に美沙みさという彼女がいる。
美沙は学年でトップレベルの美少女だ。
芸能界にいてもおかしくないほどの美貌だということで、男子から日々憧れの視線を抱かれている。

半年ほど前、美沙から慶也に告白をして2人は晴れて付き合うことになった。
慶也は琥珀を除いて、告白を断らないが、長くは続かない。
いつもどおり数ヶ月で別れると思っていた琥珀の思惑とは裏腹に2人は半年以上付き合い続けている学校内でも有名カップルだ。

琥珀のように彼女がいてもほんのわずかな可能性を信じて、あるいは玉砕覚悟で慶也に告白する女は後を経たない。


「…っんなのわかってるよ!」

「琥珀、ひとつ言っておくけど女の子に向かってブスはないだろ。あとで謝ってこい」

「……嫌だ
誰があんなブスに謝るか」


琥珀はショックで瞳を涙で潤ませながら自分の席に今にも倒れそうになりながら戻っていく。


「あーあ、こはちゃん
"また"振られちゃったね」


女子たちが再び机に項垂れる琥珀の頭をポンポンと撫でる。
美沙と付き合う前も琥珀が何度も告白しているが振られるのも数えきれないほどだ。


「ちょっと琥珀と話していい??」


慶也が話しかけると、女子たちはサッと道を開けて場所を差し出す。
慶也は琥珀の前の椅子の背もたれの方に足を開いて座る。


「琥珀、もしかして泣いてんの??」

「泣いてねえよ、バーカ」

「そう?なら良かった
今日から俺、美沙と帰るから琥珀は1人で帰れるな?」

先ほどまで女子たちが撫でていた頭を慶也が上書きするように撫でる。


「子供扱いすんな、馬鹿…
大体、あんな女選ぶとか趣味悪っ!!あいつ性格悪いからなっ!俺に対してはひどい扱いしてくるんだ…!猫被りやがって」


慶也が頭を撫でる手を琥珀は跳ね除ける。


「俺は可愛いと思うけど」

「可愛ければ性格はどうだっていいのかよ…」

「どうだって良くないよ
性格の相性も大事」

「だったら俺ともっ……!!」


琥珀は続きを言いかけて止めた。
どうせ無駄なことだと最近は分かりかけている。
だからといって諦めたくないという気持ちが日々揺れ動いているのだ。
しおりを挟む
感想 112

あなたにおすすめの小説

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/01/23 19:00 アルファポリス版限定SS公開予定  累計で6300♡いいねと累計ポイント285000突破の御礼SSになります

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?

綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。 湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。 そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。 その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。

【完結】好きな人の待ち受け画像は僕ではありませんでした

鳥居之イチ
BL
———————————————————— 受:久遠 酵汰《くおん こうた》 攻:金城 桜花《かねしろ おうか》 ———————————————————— あることがきっかけで好きな人である金城の待ち受け画像を見てしまった久遠。 その待ち受け画像は久遠ではなく、クラスの別の男子でした。 上北学園高等学校では、今SNSを中心に広がっているお呪いがある。 それは消しゴムに好きな人の前を書いて、使い切ると両想いになれるというお呪いの現代版。 お呪いのルールはたったの二つ。  ■待ち受けを好きな人の写真にして3ヶ月間好きな人にそのことをバレてはいけないこと。  ■待ち受けにする写真は自分しか持っていない写真であること。 つまりそれは、金城は久遠ではなく、そのクラスの別の男子のことが好きであることを意味していた。 久遠は落ち込むも、金城のためにできることを考えた結果、 金城が金城の待ち受けと付き合えるように、協力を持ちかけることになるが… ———————————————————— この作品は他サイトでも投稿しております。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

処理中です...