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しおりを挟む1人で家に帰りリビングのソファにカバンを放り投げると、琥珀はすぐに階段を登り2階の自室に引きこもる。
その様子を見て晩御飯を作っていた母親の眉間に一気に皺が寄る。
「こは!!ただいまも言わないで部屋に行かない!
それに自分の荷物は自分の部屋に持ってけっていつも言ってるでしょ?!なんで一回で聞かないの?!早く持って行って!!
あと、洗濯物も夜やるんだから早くお風呂入ってよね!!」
菜箸を持ったままリビングから出ると階段の前で声を張り上げて琥珀を怒鳴った。
琥珀の母の花苗は年齢にそぐわない可愛らしい見た目をしているが、中身は世間の母親のイメージと全く一緒だ。
「わかってる!!あとでやるから!!!」
琥珀も負けじと声を張り上げて、大きなため息をつくと一階からリビングの扉を勢いよく閉める音が聞こえた。
その態度から自分が怒りっぽいのは母親譲りなんだろうなと感じる。しばらく寝転がりながら携帯をいじっているとメールが一通届いた。
慶也からのものだ。
"ちゃんと家に帰れた?"
琥珀はそのメッセージを見て顔を顰める。
確認するくらいなら女と帰らずに俺と帰ればいいのに。こういうところがこの男のずるいところだ。弱った時にちゃんとフォローする。
嫉妬で沸々湧いてきそうな怒りをおさめるため、返事もせずベッドにスマホを放り投げて目を瞑った。
しばらくすると次は電話がかかってくる。
誰から電話が来たかなんてあながち予想はついたが、画面を確認してみるとやはり慶也だった。
「電話なんてかけてくんな…女を優先するくせに…」
再び、瞳が潤んできそうだったため目を閉じる。
「…は…こ…こは…こは!!
起きなさい、ごーはーん」
琥珀が瞼を開けてゆっくりと起き上がるとエプロン姿の母親が扉から顔を出している。
「あれ?俺寝てた?」
「ぐっすり寝てたわよ
いくら呼んでもなかなか起きないんだもん
今日は疲れてたの??」
先ほどまで怒鳴っていた母は琥珀を気遣ってか少し口調が柔らかくなっている。
「別に…今、下降りる…」
まだ目覚めていない頭を片手でポリポリと掻きながら立ち上がって一階に降りると、なぜかそこには慶也の姿があった。慶也は琥珀の姿を見つけると笑顔を浮かべて手を振る。
「あれなんで?」
「慶也君、琥珀が連絡しても反応くれないからって心配になっちゃったんだって
連絡くらい返してあげなさいよ」
「だって慶也が悪いんだ…」
「そう言ってる時は大体あんたのせいでしょ~
人の責任にしないの~
じゃあ、ママはちょっと洗濯物やってくるから2人で先に食べてて」
「え?慶也も一緒に食べるの?」
「だってせっかく来てくれたんだから帰すのも悪いでしょ」
「帰すって言ってもすぐ近所じゃん…」
「いつも面倒見てもらってんだからご飯くらいいいでしょ」
「ありがとうございます、花苗さん
ありがたく頂きます。」
慶也の爽やかな笑顔に花苗は若い頃のトキメキを取り戻したかのようにうっとりとした顔を浮かべる。
「ゆっくりしていってね
琥珀、慶也君のご飯よそってあげるのよ」
そう言って部屋を後にした。
2人きりになった部屋で琥珀は母親から慶也へと視線を移す。
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