【完結】君のことなんてもう知らない

ぽぽ

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「彼女とイチャイチャしてたんじゃねえのかよ…」

「してないよ、誰かさんがうるさいから」

「うるせえよ!!
……で、彼女と別れた?」
 

琥珀はソファに腰をかける慶也の膝の上に乗って胸元に頭を預ける。部活終わりのはずなのに汗臭い匂いなんて一切せず、逆にいい香りがしてくるのが不思議だ。

慶也はその頭に顎を乗せながら頭を撫でる。


「別れてないけど?」

「…知ってる
期待もしてねえよ」

「じゃあなんで聞くの?」

「1%でも可能性あれば聞くだろ
なあ慶也、俺にもチューして!」


琥珀は慶也の顔を見上げながら、軽く唇を尖らせる。その顔は男女どちらとも魅了してしまうほど愛らしいが慶也は一切動じない。慶也はその顔をじっくりと眺めて頬を撫でる。


「残念、俺には彼女がいるからできないかな」

「チッ、リア充爆発しろ」


琥珀は慶也の胸ポケットに入っていたスマホを取り上げ、彼女からメッセージが届いていないか確認する。だが、携帯の中身まで見るようなことはしない。
結局、通知は届いておらず、慶也の手の中に携帯を返すと慶也は軽快な手つきでロック解除ナンバーを入れて携帯を片手で操作する。もう片方の手は暴れっぽい琥珀の背中へと回っていた。

琥珀は後ろを振り返り、慶也の画面をキツく睨みつける。


「知らない連絡先増えてんじゃねえか!彼女いるくせに!浮気者!ていうか、俺と男友達以外の連絡先いらないじゃん…」


琥珀が今にも泣きそうな声で呟き、慶也の胸元に頭を預ける。


「委員会とか部活とか連絡先知ってないと面倒だろ?」


そう言われて言い返す言葉がなく、琥珀は慶也の膝の上から降りて琥珀はキッチンに向かう。今日は料理好きの母がスパイスを使って作り上げた特製のカレーだ。中には大きく切られたとろとろの牛肉とゴツゴツとしたジャガイモ、にんじん、それとたまねぎが入っている。

そのカレーが琥珀の好物でもある。
琥珀は食器棚から2枚皿を取り出し、そのうちの1枚だけにカレーを大盛りによそった。

母親はカレーを作る日はいつもサラダも用意しているため琥珀は冷蔵庫からサラダが入った器も取り出し、カレーとサラダを両手に持つ。


「自分の分は自分でやれよ、浮気者!」

「でも、皿は出しといてくれるんだ
琥珀は優しいね」


キッチンに向かう慶也はテーブルに座ろうとする琥珀とすれ違い様に頭を撫でた。
琥珀は慶也がカレーをよそい席に着くまで待つ。
そして、慶也が椅子に座ると両手を合わした。


「「いただきます」」


2人の声が重なり、同時に食べ始める。
慶也はカレーを一口口の中に運ぶと目を見開く。


「うっま
花苗さんのカレー久々にたべたけどすげえうまい」

「本人の前でそれ言ってやれよ
めちゃくちゃ喜ぶから」

「あとでお礼と一緒に伝える」


そんな会話をしている時、ふと慶也の手元に光るものを見つけた。
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