【完結】君のことなんてもう知らない

ぽぽ

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「これはえっと」


理由を素直に話すわけにもいかず、言葉に詰まっていると、美沙の言葉が琥珀を畳み掛けようとする。


「慶也から奪ったの!?」

「は!?なんで俺がそんなことするんだよ!!」

「琥珀くんだったらそういうことするでしょ!!早く返してよ!!どうせ慶也からその指輪を取ってどこかに捨てようとしてたんでしょ!?」

「決めつけんな!!そんなことしねえって!!」


美沙は怒りを露わにし、琥珀に詰め寄る。彼女の細い手は、琥珀の手に握られたネックレスを力任せに奪い取ろうとしていた。その激しい動きに、琥珀の白い肌には爪が立てられ、琥珀の手の甲に傷を残していく。


「痛えって!やめろ!!」

「やだ!!絶対に離さない!!それとも、このネックレスを奪って慶也に何か条件でも突きつけるつもりだったんでしょ!?そういう魂胆なんでしょ!?」

「違うつってんだろ!!」

「琥珀の今までの行動を見ていて誰がそれを信じるっていうの??」


美沙の言葉は怒りに満ちていたが、同時に嘲るようでもあった。


「慶也も慶也だよね。こんな人にいつまでも優しくして。早く突き放せばいいのに。所詮、自分がいい人っていう仮面を外せない哀れな人なのかも。」


美沙からまさかそのような言葉が出てくると思わず、琥珀は目を見開いた。


「慶也のこと悪くいうんじゃねえよ!!全部…全部俺のせいだろうが!」

「琥珀くんが一番最低だけど、断れない慶也も同類かもね。」

「慶也を悪くいうなって言ってんだろ!!!」


琥珀は限界だった。掴んでくる美沙の手を無理やり引き剥がそうと振り払った瞬間、彼女はバランスを崩して、その場にあった段差を踏み外し、勢いよく倒れ込んでしまった。

「……!!」


その光景に何とかしないとと思うものの体が動かず固まってしまう。
美沙の瞳は怒りに満ちて燃える火のようだ。


琥珀が正気に戻り、慌てて美沙の方へ手を伸ばそうとしたその時、冷たい声が背後から響いた。

その時ーー


「……琥珀、何やってんの」


琥珀が驚いて振り返ると、そこにはこれまで見たことのない冷たい表情を浮かべた慶也が立っていた。


「慶也、これは……」

「2人が外に出て行くのが見えたから、休憩中に様子を見に来たんだ。それで、これは一体何の騒ぎ?」


慶也の視線は鋭く、まるで凍りついた刃のようだった。その視線を浴びた琥珀は言葉を紡ごうとするも、喉が引きつって何も出てこない。


「琥珀、美沙に何をした?」


慶也の声はいつもの優しさなど微塵もなく、冷徹そのものだった。琥珀は慌てて何かを説明しようとしたが、焦りで頭が回らない。


「早く答えろ。」

「それは……あのっ……俺が、ネックレスを……」

「ネックレス?」


琥珀が言いかけると、美沙をそれを畳み掛けるよに話し始めた。


「そうなの!慶也のペアリングを琥珀くんが捨てようとしてたの!だから私、止めようとしたのに……琥珀くんが全然離してくれなくて……!」


美沙はそう言って、涙を一筋流した。その涙は、まるで彼女の言葉を証明するかのように見えた。しかし、琥珀はその言葉を聞いた瞬間、息が詰まる思いだった。


「違うっ……!!!俺はそんなことしたかったんじゃない……!慶也のために……」


やっとの思いで口から絞り出された言葉だった。しかし、その声は震え、まるで必死に縋るようだった。


「慶也のため……?だったらなんでこんな状況になってるんだよ。」


慶也は突き刺すような視線を琥珀に向ける。そして、琥珀にゆっくりと歩み寄る。その一歩一歩が、琥珀の胸に重く響いた。


「俺のためだったらこんな状況にはできないだろ…」

「違う……違うんだ。俺はただ……!」


琥珀は必死に弁解しようとするが、その言葉はうまくまとまらず、慶也の冷たい視線が追い打ちをかけてきた。


「琥珀が何を考えてたのか知らない。でも、美沙に手を出したのは事実だろう?」

「それは違う!!俺は……!!!」


琥珀の声は次第に大きくなるが、それでも慶也の冷たい視線の前では力を失っていく。
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