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しおりを挟む昴は戸惑いながら、聞き返す。
「琥珀くん、これは褒められてるの?」
「違う…褒めてないけど…褒めてる?
わかんない、とにかく嫌だ…」
要するに琥珀がしているのは嫉妬だった。
自分が嫉妬をされるような存在になれたことに嬉しさが込み上げてしまう。その愉悦に浸りたいところだが今は琥珀と向き合わなければいけない。
「琥珀くん、それって嫉妬じゃなくて?」
「え?」
「琥珀くん、俺に嫉妬した?」
「……うん、悪い??」
琥珀は涙で潤んだ目をしたまま、挑発的な目で昴を見上げる。
「悪くないよ、どんどん俺を独占すればいい」
昴は琥珀の頰や鼻先に唇を当て、こめかみにも口付けをした。
「でも、嫌いって言葉は俺は嫌だな」
琥珀はその瞬間、息を詰まらせたのがわかった。
勢いに任せて言ってしまったものだが、それは本心ではない。その言葉が昴を傷つける自覚があったため、思わず口を噤んだ。
「琥珀くん、もう嫌いって言わないようにできる?」
「…」
中々、返事をしない琥珀に昴は耳元に低く甘い声で問いかけた。
「琥珀、俺のこと好き?」
普段は呼び捨てでなんて呼ばないため、不意に名前を呼び捨てされ、途端に琥珀の耳は真っ赤に染まった。顔を下に俯け悶える。そして、上目遣いで昴に告げた。
「…大好き」
「じゃあ嫌いじゃない?」
「……うん、嫌いって言ってごめんね」
「…対処法は色々と考えるとして…俺も琥珀くんのことを不安にさせてごめんね。
俺も琥珀くんのこと愛してる。」
耳の淵にキスを送ると同時に舌で軽く耳の内側を舐めた。その行動に琥珀はびくんと体を震わせて、潤んだ瞳を昴に向けた。下から顔をのぞきこむ昴にねだるような視線を送る。
「昴、ここは…?」
「…っ」
琥珀は昴の手を持つと、自身の唇へと誘導する。
昴は目を見開く。
「……どうしようかな、琥珀くんに嫌いって言われちゃったし。今日は近づかないほうがいいかもしれないよね」
琥珀のあまりに可愛いおねだりに今すぐにでも唇にかぶりつきたいという衝動を抑え、琥珀の心を揺さぶる。
「っ嫌だ、昴!やっぱり怒ってる!さっき謝って許してくれたじゃん!
なんでキスしてくんねえの…」
琥珀は泣きじゃくり、両手で目をこするため、昴はその手を止める。
「擦ったら目赤くなるよ」
「っ昴が俺のこと泣かせる…」
「琥珀くんを泣かせるのは俺だけだったらいいと思います。」
「意味わかんない~っ!」
昴は琥珀の溢れる涙を指で拭う。その顔には自然に優しい笑みが漏れていた。
「俺のこと嫌いになったの…?」
不安げな表情で問いかけてくる琥珀に先ほどまで愛らしいという思い出溢れていた胸が締め付けられる。
「嫌いになんてならない
どうやったら嫌いになれるのか教えて欲しいな。あまりに可愛かったので、意地悪したくなって」
「俺の嫌いになる要素なんて沢山あるだろ…」
琥珀の表情は途端に暗くなった。
「琥珀くん?」
「わがままだし、嫉妬深いし、迷惑ばかりかけるし、泣き虫だし、今だって…」
暗い表情のまま琥珀は自分が嫌われるだろう要素を告げていく。昴はその言葉に対して困ったような笑みを浮かべ琥珀の頭を撫でた。
「琥珀くん、おいで」
昴は琥珀の腕を引いて、自分の腕の中に琥珀の体を収めた。昴の大きな体で琥珀の体全体が包まれ、体温だけでなく、心までも温かくなる。
「琥珀くんの全てが可愛くて愛しくて仕方ない。これほど焦がれた人はいないんです。
だから、嫌いになれなくて困ってる。あなたの好きなところは星の数ほどありますから。」
昴の言葉に琥珀の胸が小さく音を立てる。
「もっとわがままを言えばいい、もっと嫉妬すればいい。俺の知らない琥珀くんを沢山見せてください。そして、俺だけが知ってる琥珀くんの顔も見せてください。」
「昴…」
琥珀は瞳を潤ませながら、昴の硬い胸に頭を預けた。
「…大好き」
「好きになってくれて本当にありがとう。こんな運命を与えてくれた神に感謝します。」
「ふふっ、大袈裟」
胸元で笑う琥珀を見ていると、昴まで微笑みを浮かべてしまう。溢れる愛しさの中に幸せが含まれている。
「琥珀くん、手を貸してください。」
「え?」
昴は琥珀の手を取ると、自身の小指に嵌っていた指輪を取った。
「昴?」
「俺の祖父がくれた指輪です。
祖父は俺のことが大切な存在だからといってその指輪を渡してくれました。そして、大切な人ができたらその指輪をあげてもいいとも。」
「それって…」
ようやく乾きかけた琥珀の瞳はまた潤んでくる。
昴は琥珀の目の前で片膝をつくと、琥珀の右手の薬指にはめた。琥珀の指輪をはめた手を掬い取り手の甲に口付けを落とした。
「なんだよっ…プロポーズみたいじゃんっ!」
琥珀は泣きじゃくりながら、笑みを浮かべる。
昴は立ち上がると、琥珀の顎を指で掬い上げ、昴は琥珀の唇に長い口付けを落とした。
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