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惑星オッパイダーに行きますか?5

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 惑星オッパイダーに行きますか?5


 本日の午後7時過ぎ、真治は食後の散歩とか言って家を出た。でもそれ実のところは地球とのお別れ。夜の8時になったら婦人警官と遭遇し円盤に乗せてもらい、惑星オッパイダーに旅立つ予定。

「待った!」

 ドアの外に出たら優子が立っていて、真治を行かせまいと構えている。

「ぅ……お姉ちゃん……ぼく……行かなきゃ」

 真治がつらそうな声でいうと、優子はムッ! っとして弟の腕をつかむ。地球にいたってシアワセにはなれる! とか、地球で巨乳な彼女を見つければいいでしょう! なんて正論ぶちかます。

「真治、行ったら二度と帰ってこれないんだよ?」

「そ、それはそうかもしれないけど……」

「それでも惑星オッパイダーに行きたいの?」

「い、行きたい……」

「お父さんとかお母さんとかわたしとか、家族を捨ててまで行きたいの? 巨乳な彼女と家族とどっちが大事なの?」

 グィっと姉に迫られ真治はちょっと困った。それにも関わらず顔がデレっと赤くなっているのは、惑星オッパイダーにてムフフな生活をしたいと考えているのだろう。いかにも男子らしい思考回路がテカテカしている。

「ぼ、ぼくは……一人前になりたいんだ!」

 真治が突然にダッシュ開始。手荷物などはないから、走り出したら真治のモノ。小6でEカップなんて姉が弟を追いかけ捕獲するなど不可能。

「くぅ……真治のおっぱい星人め!」

 優子はギュぅっと色白な手をにぎりしめる。こうなったらカエルーノに期待するしかないとする。でもジッとしていられるわけもないから、自らも裏山へと向かって歩き出す。

「ハァハァ……ふぅ……」

 しばらく走って息が切れた真治、歩きという速度に切り替え呼吸を整える。家族や地球を捨てるなんてすごい事だが、もう心はしっかり固まっていた。惑星オッパイダーに行きかわいくて巨乳なガールフレンドをつくり、大人になったら結婚してバラ色の生活を送るという、もうそれしか頭になかった。

 ひと目を気にしながらも夜道を歩く。お目当ての裏山を目指し、欲望へ吸い込まれるように歩いていく。

―そしてついに約束の午後8時―

「来た……」

 待ちわびていた真治が顔を上げてみれば、お迎えの円盤が舞い降りてくる。そうして爆乳の婦人警官が姿を現す。

「や! ちゃんと来てくれたね。少年、もう心はできているね?」

「はい!」

「うぅん、ステキな返事。きみ絶対にかわいくて巨乳な彼女ができるよ」

 怪しげな笑みいっぱいの婦人警官、ドキドキする真治に近づく。これでもう話は決まり、あとは中野真治が地球にさようならするだけ。だがそのとき突然に、どこからともなく正義の声が発生。

「ちょっと待ったぁ!」

 格好良いとご愛嬌が混じったような声がしたので、真治と婦人警官がそちらに顔を向けると、二本足のカエルが剣を持って立っている。

「そこの婦人警官、その少年を返してもらおう」

「カエルが二本足で立つとかしゃべるとか、しかも手には剣があって背中にはマントってどういう冗談?」

 ふん! っと見下した笑いが女に浮かぶ。それは真治に見せているやわらかい笑みとはちがっていて薄っすらおそろしい。

「女、おまえの名は?」

「わたしは惑星オッパイダーから来た乙牌さゆり」

「さゆり、見ればなかなかいい女。それを葬るのは胸が痛む。だがこのカエルーノは正義の味方。おまえが引き下がらないというなら斬る!」

 身構えたカエルーノの剣先が女の方を向きキラン! と光る。しかしさゆりは動じることなく、突然シャツのボタンを外し始めた。

「カエルーノもおっぱい星人じゃない?」

「な、なに?」

「クス♪」

 ボワン! と弾むようにシャツの間から見えるやわらかそうな谷間。すごい爆乳だ! という事実が伝わると、カエルーノは思わず見惚れてしまう。するとどうだろう、体がビリビリっとして動けなくなった。

「はい完了。正義の味方も所詮はタダのおっぱい星人ってことね」

 あーははは♪ と笑うさゆり、真治を円盤に詰め込むと自らも乗り込み、ウインクしながら一言発する。

「じゃーね、アディオス!」

 円盤のエンジンが再起動し始める。このままでは何もできないまま終わってしまう。

「く……これまでか……」

 カエルーノがさっさと諦めかけたとき、そんな話があるか! と納得できないのが優子。陰でだまって見ていたが叫ぶにいたる。

「カエルーノってめちゃくそ格好悪い! 期待してたのに、もしかしたら格好いいのかと思っていたのにサイテー。ダサくてヘボくて幻滅!」

 この言葉がさゆりの魔法にかかり動けなかったカエルーノに火をつけた。優子にダサいと言われてはたまらない。何がなんでも真治を救出してやる1 と、勇者のタマシイが燃え上がる。

「うぉぁぁぁぁぁぁぁl!」

 カエルーノの体からオレンジ色の炎が立ち上がった! それはまるで太陽を思わせるほどに熱い。

「といやー!!!!!!!!!!!!!」

 カエルーノが大きくジャンプ! すでに浮かび上がっていた円盤に届いたしたのみならず、サクっと内部にまで到達。

「なに……思ったよりやるじゃん、カエルーノ」

 外から見た時より何十倍も広いって内部において、さゆりは突然にガトリングガンを手にして吠える。

「撃つよ? 体中に穴が開くよ? それが嫌だったら自分から外へ飛び降りることね。どうする? カエルーノ!」

「ふん、そんなモノでカエルーノが倒れるものか。さゆり、おまえこそケガをしたくないならガトリングガンを撃たないことだ」

「じゃぁ遠慮なく撃つよ。グッパーイ、カエルーノ!」

 さゆりがガトリングガンをぶっ放す。それは極悪にして無数の叫び声が途切れることなく喚くってこと。しかしカエルーノは逃げも隠れもせず、剣を構え大きな声で叫んだ。

「秘剣・ヤマタノオロチ!」

 カエルーノの剣が魔物のように動きです。それは8つのアタマが素早いスピードで動き弾丸に食いつくよう。数えきれないほどの弾丸が同時にやってくるというのに、カエルーノの秘剣はそれらすべてを斬り落としていく。

「なにぃ! お、おのれ……」

 怒り狂ったさゆりがガトリングガンを撃ち続ける。

「ムダだ、秘剣を前にすれば弾丸などポップコーンに過ぎない」

 カエルーノの秘剣が弾丸を撥ね返した。その数発はさゆりの肩をかすめシャツを破く。

「あんぅ!」

 たまらずガトリングガンを落とすさゆり、破けたシャツの下にあるブラジャーのストラップが色白むっちりな肩といっしょに浮かぶ。それを手で覆い隠そうとしたら、カエルーノの剣が眼前につきつけられる。

「おまえの負けださゆり。いい女は意地を張るもんじゃない」

「ぅ……」

「少年を返してもらおう」

「ちくしょう……こうなったら円盤を墜落させてやる!」

 逆ギレしたさゆり、突然に立ち上がると手にしたガトリングガンで操縦桿などを破壊した。すると円盤が地上に向かって落ち始める。

「あーはは、こうなったら全員墜落死で粉々よ」

「さゆり、それはいい女のすることじゃない!」

「今さらもうおそい。みんなでいっしょにドカーンさようなら!」

 勝ち誇るさゆり、その姿はかなしい意地っ張り。プライドのために命を捨てようって心が見て取れる。

「いーや、そうはいかん! 死んでたまるものか」

 叫んだカエルーノ、ふっと小さな透明フィルムを取り出した。それをバッ! っと頭上に放り投げ叫ぶ。

「プロテクトフィルム!」

 するとフィルムが巨大化し円盤を包み込む。再び裏山に落下していた円盤だったが、保護フィルムにより衝撃はすべて吸収。誰ひとりとして死ぬことなく無事に着地。

「よし、たすかった」

 気絶している真治を抱えて円盤より出るカエルーノ。すると待ってましたとばかり優子が駆け寄る。

「真治、真治」

 姉は弟の胸ぐらをつかむと派手にゆさぶり脳みそを刺激。それでも目を覚まさないのであればと、容赦なく往復ビンタをかましまくる。

「あぅ……痛い……」

 頬がふくれあがったところで真治が目覚めた。なにするんだよ! って怒りたいところだったが、真治! とか優子に抱きつかれては何もいえない。ムニュっと当たる豊かでやわらかい弾力がキモチいいなぁって思うに専念。

「く……こ、こんなことって……」

 こちらは円盤の外に出たさゆり、彼女にとってこの物語は絶望だ。真治を連れて帰れないどころか、自ら円盤を破壊したせいで自分が故郷に帰れない。もう完全に哀れなギャグマンガ調。

「わたしの人生もここまでか……」

 黒いピストルを手にしたさゆり、潔く散るのみ! と銃口を自分のこめかみに当てる。そうして引き金を哀しく引こうとする。

「やめるんだ!」

 カエルーノの剣がブン! と振られたら、さゆりの飛び道具はまっぷたつにされてしまう。それにより自殺という選択肢すら失ってしまった。

「なにするのよ! これじゃぁわたし死ぬこともできない」

「死ぬな、生きろ」

「な、なによ急に……ムリに決まっているでしょう」

「ムリなモノか。たとえ星が変わっても生きる事が重要なのだ。さゆり、おまえほどのいい女なら不可能はない。命あっての物種だ、生きろ……生きていれば必ず良いこともある」

 ここまで言うとカエルーノは確信していた。これは絶対にかっこういい! ここまで決めたらまちがいなく、優子さんは自分にホレてくれるはずと舞い上がる。ところがふと目をやってみると……

「あ、あれ? 優子さん?」

 そこにはもう優子と真治の姿はない。用が済んだらさっさと帰りましょうって感じで引き上げてしまっている。

 代わりに突然としてカエルーノの許嫁であるカルロッタが駆けてきた。最近相手にしてもらえないからご立腹だった。よって今宵はカエルーノの後を尾行し一部始終を見ていたのだ。

「ステキよカエルーノ、とってもとっても見直したわ」

 カルロッタがポッと顔を赤らめる。

「あ、あぁ……カルロッタ」

 このあまりに予定外な展開にカエルーノのテンションは下がってしまった。なぜってさゆりの方を見たら、ため息のさゆりに言われてしまったからだ。

「なんだ、カエルーノは彼女がいるのか。いい奴だからちょっとホレそうになったんだけど、やっぱり彼女くらいはいるか」

 さゆりが言うとカルロッタがカエルーノと腕組みをする。自分のフィアンセはとてもかっこういいのよと誇らしげな顔で歩き出す。

(あぅ……ぅ)

 さゆり、いつでも相談に乗るぞ! と言いたくても言えないカエルーノ、ごきげんなカルロッタの腕組みに縛られながら思うのだった。もしかしたら真治といっしょに惑星オッパイダーへ連れて行ってもらうべきだったのかなぁ、トホホ……などと。
 
 こうしてひとりの女がふるさとの惑星に帰れなくなった。地球でどうにか生きて行かなきゃって事になって話は幕を下ろしたのであった。
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