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優子、萌えゲーにハマる(目指せななみのビキニ姿)9

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優子、萌えゲーにハマる(目指せななみのビキニ姿)9

―めざせななみのビキニ姿―

 共通の目標を抱き、凹んだ心を立て直した優子と真治の2人は、今度こそ夢を叶えようと同士愛に満ちた気合を入れる。まずこれまでのプレイを振り返り、確かな情報というのを整理。それはななみという女子キャラを落とすために必要な攻略の道のり。そして何があってもセーブを面倒だと思わない事。ひたすら、ただただひたすらに小まめなセーブをくり返し、必要とあらば数日前からのやり直しも厭わない事。それは10歩進んで7歩下がるようなモノだが、目的を達成するためには引く事も大事という格言に従うってこと。

「よし、やるよ!」

「うん、やろう!」

 今日も午前4時からゲームスタート。コントローラーを持って座る優子、そのとなりでメモ帳とペンを持って座る真治、2人も真剣そのものだった。もしこれが学校の勉強なら真面目なドキュメンタリーが制作できるかもしれないみたいな感じで。
〇〇日に△△とデートと優子がいい、了解と返した真治がメモる。本命ことヒロイン以外にも、どうでもいいザコなな女が一杯いて主人公によって来る。何日にデートしたか記憶して、同じ女とデートしまくりにならないよう、そしてデートしていない間が広がり過ぎないよう細心の注意を払う。現実だったらプレイボーイの生活そのもの。

「来た、〇〇……」

 優子が言う〇〇とはザコのくせしてもっとも嫉妬深い女。ちょっとでもデートしていない間が開くとかまってちゃんを発病、悪い噂を流したあげく、核兵器並の爆発を起こすという疫病神そのもの。

「体育祭、これ真治がやって」

 最初から最後までダッシュするだけの100mよりは、障害物競争で好成績を残す方がななみの好感度が上がる。だからして優子よりうまい真治がそれを引き受ける。これもまた同士愛な営み。

「あ、お姉ちゃん、もう5時30分だよ」

「わかった」

 ゲームはとにかく時間がかかる。逆に言えば朝の忙しい時間などあっというまにごっそり食われてしまう。しかし2人は冷静だった。真の目的を達成するためには焦るべからずという金言を胸に刻んでいるせいだ。

「よし、ちゃんとセーブした、あせらない、あせらない」

「うん、あせらないでがんばろう」

 こうして2人は協力し合い毎日午前4時からおよそ90分くらいゲームを続けた。そしてけっこうな日数が過ぎてゲーム内のカレンダーが11月になったとき、いよいよという瞬間が近づく。

「えっと……ななみのビキニを選んであげるというイベントはクリア済み。ザコな女とブッキングする心配なし。だいじょうぶだね? この日曜日にななみをプールに誘ってもだいじょうぶだね?」

「だいじょうぶ、ここまでカンペキな流れだから」

 真治は「ななみ攻略」と書いたメモを開き、これで失敗などするはずはないよと科学者みたいな顔で言い切る。そして優子はななみをプールに誘う。もうあらゆる事がばっちりなのでななみがビキニで登場するのは確実だと言ってもいい。

「お姉ちゃん……やっとここまでこれたね」

「まだだよ、ななみがビキニで登場するまでは気を抜いたらダメ」

「そ、そうだね、人生って何があるかわからないもんね」

 2人はドキドキしながら運命の日曜日を待ちながらテレビ画面を食い入るように見る。そしてついに日曜日が到来! ななみが笑顔で手を振る。そして思わせぶりなセリフを吐いた。きょうはきみをドキドキさせちゃうからね! とか言った。

「来た、来たよ、これ」

「おぉ……お姉ちゃん、ぼくマジでドキドキしてきた」

 こんな会話をする2人が見つめるテレビ画面の絵が切り替わる。まずは誰もいないプールサイドであり、それは優子と真治の持つドキドキを極限まで引き上げる効果あり。

 おまたせ! ここでななみの声がして……ビキニ姿のななみが登場! 実際に効果音があるわけではないが、2人は共通の音を聞いたように思えたのだった。ババーン! っというボリューミーな効果音を。

「おぉ! デカい!」

「やっぱりお姉ちゃんに似ているだけあってすごい巨乳」

「そこでわたしを出すな」

 言い合う2人が見るは三角ビキニのななみ。いたってふつうサイズの三角であるが、それが金茶色というカラーも手伝いさりげない魅力バクダンとなっている。

「すごい谷間……」

「お姉ちゃんも持ってるじゃん」

「いちいちわたしを引き合いに出すな」

 真治と優子はななみのビキニ姿って立ち絵をしつこいほど見まくってからゲームを開始した。いざ目的を達成するとさみしくなっちゃうねぇってキモチを持って。

 しかし! 突如としてゲームがムービーに切り替わる。あ、やったな! とか言って主人公と水をかけあうななみの谷間が揺れ動く! えへ! っと笑うななみの顔からビキニのバスト部分へとカメラが移動する。

「おぉ!」

 優子、これはうれしい不意打ち! と大興奮。

「やった、こんなのが見れたらがんばった甲斐があったってものだよね」

 真治、うれしさのあまりうっかり無意識に動いてしまう。となりに座っていてコントローラーを持っている優子に、ちょっと甘えるように首を傾けてもたれかかった。

 ムッハー! っと広がるいいニオイ。しかもいま、優子の体でもっともボリュームとやわらかい弾力がいっぱいって場所近くにもたれかかているから、準急とはいえ心地よさはデカい。しかしこれはうっかりやりすぎ、まちがいなくビンタされると真治は覚悟した。

「やったね、いっしょに目標を達成できたね」

 あまりにめずらしいことが起こった。真治をビンタするのではなく、やさしくその頭を抱き寄せ撫でてくれたりする。もうちょっと……おっぱい……とか、ものすごくいいニオイで温かいとか、小さな日常におけるでっかいキモチよさに包まれブルっと震える真治。後で日記にこう書いている、まるでやさしい夢に包まれているみたいだったとか何とか。

 こうして2人はななみのエンディングを見るまで同士愛を続けた。水着さえ見れたらおしまいではなく、最後の最後まで情熱を傾けやり遂げるというすばらしい事を成したのだ。

「ななみって最初の1年のときより乳がデカくなったような気がする」

 制服姿の赤い顔で主人公に告白するななみを見ながら、細かいところも見落とさないって鋭い女子力眼の優子がつぶやく。

「えっと……」

 真治がスマホで調べてみると……高1のときでバスト95cmのFカップ、そして卒業時点ではバスト100cmのIカップだと判明。ここで真治は思わず、まるで将来のお姉ちゃんみたいだねとか言いかけたが、せっかくのいい雰囲気を壊したくないので言わなかった。

 こうしてななみ攻略という目的は達成された。優子はもっとも巨乳なキャラを落とすことができたので満足。他の女は真治が勝手にやってと、燃え尽きたような顔で言うだけだった。

 後日。真治はブックオフで萌えゲーを探していた。なぜか? もう一度優子といっしょに同士愛をやりたいと欲するから。もっと突き詰めていうならば、目的を達成した時、もしかしたらあの胸にクゥっと抱きしめてもらえるかもしれないと甘い考えを抱くから。

「これなんかいいかも……」

 巨乳女子が多く登場する萌えゲー、高校3年間で本命を落とせるかどうか! という内容。優子の心が燃えるかもしれないと思う真治にとってみれば、それが200円で買えるなら買うしかなかった。

「お姉ちゃん」

 真治は帰宅すると姉部屋に入って、ちょっとモジモジしながら言ってみる。あたらしいゲームを買ったから、またいっしょにやらない? と。

「はぁ? あたらしいゲーム? なに?」

「青春に巻かれようロールラブ! ってゲーム」

「また萌えゲー? もういいよ」

「え、でも……」

「でも?」

「巨乳女子がいっぱい登場するんだよ? 巨乳の水着姿とかいっぱい拝めるよ?」

「はぁ? なんで実際に巨乳ってわたしがゲームの巨乳女子に心を燃やさないといけないのよ」

 優子、もはや別人……ななみという女子キャラを落とし満たされたことで、その精神は完全に昇華されてしまったのだ。あんなに2人でいっしょに熱くなったのに……と真治は思うが、優子にすればいつまでも萌えゲーばっかりやる真治がバカということ。

「あ、わかった」

「なに?」

「自分より魅力的な巨乳女子ってキャラクターを見ると嫉妬するからイヤなんだ?」

 真治は優子の女子力が燃え上がることを期待して挑発。しかし満たされた女子力は永遠の賢者になるわけで、もう二度と以前の愚者には戻らない。

「二次元の巨乳に嫉妬するわけないでしょう、バカじゃないの。わたしの方が魅力的な美巨乳で本物なんだから」

 優子はそう言うと宿題をやっているんだからと、実につめたく弟を部屋から追い出してしまう。

「お姉ちゃんといっしょにゲームやりたくて買ったのに……」

 最後の手段として泣きを入れてみる。しかしつめたく突き放された。

「無駄遣いばっかりして、だか真治はいつまで経ってもバカなんだよ」

 結局、真治の目論見は外れた。そして学んだ。ピュアな男はいつまでも同じレベルの夢を追いかけるけれど、薄情な生き物である女はすぐ別のところへいってしまうのだと。
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