12 / 58
本編
異常報告
しおりを挟む
――防衛戦から、数日後の夜。
与えられた居住用の天幕で、ネウクレアは魔導術式を展開した。中空に緻密な文様が瞬く間に描き出され、美しい光の明滅が、灯りの点けられてない暗い天幕内を照らした。
術式を維持するために、膨大な魔力を文様へと注ぎ込む。
防衛戦の日から命じられた休養により、魔力は大方回復している。保有量が常人のそれとは桁が違うネウクレアにとっては、枯渇には至らない消費だ。
術式の文様に向けて「異常報告」と、声をかける。
『――報告しろ』
十拍の間を置いて術式から響いてきたのは、ゼスの声だった。ややくぐもってはいるが、無機質なそれは間違いなく彼のものである。
ネウクレアは淡々と報告を開始した。
「レゲンスヴァルト騎士団長に、戦果を賞賛され、頭をなでられた。その直後、脈拍の速度変化と、胸部に熱を感知した。経験にない変化だった」
――彼が報告しているのは、防衛戦後にセディウスとの間で起きた出来事だ。
魔力枯渇を起こし、回復薬を飲み干した後。記憶にある限りではまったく経験したことのない行為を受けて脈拍の速度が変化し、胸の中が熱くなるのを感じた。
なんらかの刺激により血流が活発になり、血液が一時的に心臓に集まったのだと理解した。
――問題は、根本的な要因が認識できなかったことだ。
どのような要因が生じて、あの変化に繋がるのか。それを異常として認識したからこその、この報告なのである。
――ゼスからの応答は、やや間を置いて返された。
『……それは、正常な反応だ』
「正常な反応。異常ではないと認識を改める」
『脈拍の速度変化は、与えられた賞賛と接触を、お前が好ましい、または喜びとして感知したからに他ならない』
「感知した記憶がない」
好ましい……喜び……それはわからない。
過去に感じたことのない情報だ。それを感知したというのなら、その記憶が残るのではないのか。
『経験がない以上、それを認識するのは不可能だ。しかし、記憶したという意識はなくとも、お前はそれを誘発する刺激を受けて、無意識のうちに反応したのだ。大多数の人間はその性質上、自己を肯定されることを好み、喜びを感じる』
ゼスの返答を頭の中で反芻するが、理解には至らない。ゼスの言葉は明確だ。いつも理解できていた。そして、彼の指示を受けて行動することで、成果を出してきた。
「理解不能。理解可能とするには、なにが必要か具体的な指示を要求する」
だが、今日はすべてが理解不能だ。
『理解できるまで解析しろ。他者との様々な体験を繰り返すことで、理解可能になる。今後、こういった身体の反応もとい、脈拍の速度変化に関連する事象を感知した場合の報告は、一切不要だ』
展開していた術式が、唐突に消えた。ネウクレアは術式を解除していない。ゼスの側から解除されたのだ。
「報告不要、了解した。解析を続ける」
涼やかな声が、聞く者のいない虚空へ消えていく。
「……喜びとは、なにか……」
ゼスの発言により、彼は思考の海に放り出されていた。ゆっくりと手を上げて自分で頭をなでてみる。
脈拍に変化は感じられない。
あの異常は……ゼスの言う正常な反応は……どうしたら解析できるのか。
理解できるまで解析しろと、ゼスから指示を出された。指示に従い、成果を出す。それは研究機関で繰り返していた行動だ。いつも通りにゼスの指示に従うことを決定した。
正常であるとされる脈動の変化が起こったのは、セディウスに頭をなでられた直後だ。
柔らかく鼓膜を揺らす低い声が、『よく頑張ったな……偉いぞネウクレア』と、賞賛の言葉を発した。深い青色をした瞳を細めて微笑む顔。剣を握る騎士特有の固い皮膚がところどころにある、大きく体温が高い手が、ゆっくりと頭をなでていく感触。
それらを脳裏でなぞるように思い返すと、微かに脈拍が速くなった。これは異常ではないのか。無表情のまま、鎧越しに胸の辺りをさする。
――言いようのない不快感を覚えた。
この不快感も、初めてのものだ。この不快さは正常とされる反応による弊害だとネウクレアは断定した。報告不要だ。
この感覚も含めたすべての解析は、ネウクレア自身が行うものだ。ゼスに理解不能であることを訴えても、先ほどの返答以外の解答は期待できない。
……研究機関で賞賛はなかった。頭をなでられることもだ。
実験や訓練での結果が良好であることが、自身が肯定されるということだった。しかし、ゼスから結果報告を受けても、脈拍は変化しなかった。
繰り返される実験や訓練でなんらかの成果を上げることによって、栄養を摂取したあとに感じられる、満腹感に似た……充足のようなものを、感じていた記憶が蘇る。
ただ、それだけだ。
胸に熱を感じたことは、一度もなかった。
……なにが、違うのか。
記憶を引き出し、反芻してもすべてが理解不能だ。もっと解析を進めれば、違いが判別できるだろう。
「よく、頑張ったな……偉いぞ……」
セディウスの発言を真似してみたが、脈拍に変化はない。条件がなにもかも不足している。
――セディウスに会いたい。
彼に頭をなでられることで、あの変化を再現できる可能性が高い。もっと多くの例が必要だ。
「……頭をなでる行為を、要求する必要性あり」
これが最適解だろう。
「団長と、面会する」
ネウクレアは声に出して行動を決定し、ベッドに置いていた兜を装着した。
天幕を出ると、周囲は無音に近かった。
ほとんどの者が、就寝しているのだろう。夜間特有の冷えた空気が体を包み込む。不寝番のための松明以外の灯りは少なく、頭上には数えきれない星々が美しく輝き息をするように瞬いていた。
空を見上げることも、周囲を見渡すこともなく、走り出した。
夜闇の中を物音を立てず、気配を消して進む。見回りをしている騎士と何度かすれ違ったが、ネウクレアに気付いた様子はなかった。
誰にも邪魔をされることなく、彼はセディウスの天幕へと入り込んだ。
与えられた居住用の天幕で、ネウクレアは魔導術式を展開した。中空に緻密な文様が瞬く間に描き出され、美しい光の明滅が、灯りの点けられてない暗い天幕内を照らした。
術式を維持するために、膨大な魔力を文様へと注ぎ込む。
防衛戦の日から命じられた休養により、魔力は大方回復している。保有量が常人のそれとは桁が違うネウクレアにとっては、枯渇には至らない消費だ。
術式の文様に向けて「異常報告」と、声をかける。
『――報告しろ』
十拍の間を置いて術式から響いてきたのは、ゼスの声だった。ややくぐもってはいるが、無機質なそれは間違いなく彼のものである。
ネウクレアは淡々と報告を開始した。
「レゲンスヴァルト騎士団長に、戦果を賞賛され、頭をなでられた。その直後、脈拍の速度変化と、胸部に熱を感知した。経験にない変化だった」
――彼が報告しているのは、防衛戦後にセディウスとの間で起きた出来事だ。
魔力枯渇を起こし、回復薬を飲み干した後。記憶にある限りではまったく経験したことのない行為を受けて脈拍の速度が変化し、胸の中が熱くなるのを感じた。
なんらかの刺激により血流が活発になり、血液が一時的に心臓に集まったのだと理解した。
――問題は、根本的な要因が認識できなかったことだ。
どのような要因が生じて、あの変化に繋がるのか。それを異常として認識したからこその、この報告なのである。
――ゼスからの応答は、やや間を置いて返された。
『……それは、正常な反応だ』
「正常な反応。異常ではないと認識を改める」
『脈拍の速度変化は、与えられた賞賛と接触を、お前が好ましい、または喜びとして感知したからに他ならない』
「感知した記憶がない」
好ましい……喜び……それはわからない。
過去に感じたことのない情報だ。それを感知したというのなら、その記憶が残るのではないのか。
『経験がない以上、それを認識するのは不可能だ。しかし、記憶したという意識はなくとも、お前はそれを誘発する刺激を受けて、無意識のうちに反応したのだ。大多数の人間はその性質上、自己を肯定されることを好み、喜びを感じる』
ゼスの返答を頭の中で反芻するが、理解には至らない。ゼスの言葉は明確だ。いつも理解できていた。そして、彼の指示を受けて行動することで、成果を出してきた。
「理解不能。理解可能とするには、なにが必要か具体的な指示を要求する」
だが、今日はすべてが理解不能だ。
『理解できるまで解析しろ。他者との様々な体験を繰り返すことで、理解可能になる。今後、こういった身体の反応もとい、脈拍の速度変化に関連する事象を感知した場合の報告は、一切不要だ』
展開していた術式が、唐突に消えた。ネウクレアは術式を解除していない。ゼスの側から解除されたのだ。
「報告不要、了解した。解析を続ける」
涼やかな声が、聞く者のいない虚空へ消えていく。
「……喜びとは、なにか……」
ゼスの発言により、彼は思考の海に放り出されていた。ゆっくりと手を上げて自分で頭をなでてみる。
脈拍に変化は感じられない。
あの異常は……ゼスの言う正常な反応は……どうしたら解析できるのか。
理解できるまで解析しろと、ゼスから指示を出された。指示に従い、成果を出す。それは研究機関で繰り返していた行動だ。いつも通りにゼスの指示に従うことを決定した。
正常であるとされる脈動の変化が起こったのは、セディウスに頭をなでられた直後だ。
柔らかく鼓膜を揺らす低い声が、『よく頑張ったな……偉いぞネウクレア』と、賞賛の言葉を発した。深い青色をした瞳を細めて微笑む顔。剣を握る騎士特有の固い皮膚がところどころにある、大きく体温が高い手が、ゆっくりと頭をなでていく感触。
それらを脳裏でなぞるように思い返すと、微かに脈拍が速くなった。これは異常ではないのか。無表情のまま、鎧越しに胸の辺りをさする。
――言いようのない不快感を覚えた。
この不快感も、初めてのものだ。この不快さは正常とされる反応による弊害だとネウクレアは断定した。報告不要だ。
この感覚も含めたすべての解析は、ネウクレア自身が行うものだ。ゼスに理解不能であることを訴えても、先ほどの返答以外の解答は期待できない。
……研究機関で賞賛はなかった。頭をなでられることもだ。
実験や訓練での結果が良好であることが、自身が肯定されるということだった。しかし、ゼスから結果報告を受けても、脈拍は変化しなかった。
繰り返される実験や訓練でなんらかの成果を上げることによって、栄養を摂取したあとに感じられる、満腹感に似た……充足のようなものを、感じていた記憶が蘇る。
ただ、それだけだ。
胸に熱を感じたことは、一度もなかった。
……なにが、違うのか。
記憶を引き出し、反芻してもすべてが理解不能だ。もっと解析を進めれば、違いが判別できるだろう。
「よく、頑張ったな……偉いぞ……」
セディウスの発言を真似してみたが、脈拍に変化はない。条件がなにもかも不足している。
――セディウスに会いたい。
彼に頭をなでられることで、あの変化を再現できる可能性が高い。もっと多くの例が必要だ。
「……頭をなでる行為を、要求する必要性あり」
これが最適解だろう。
「団長と、面会する」
ネウクレアは声に出して行動を決定し、ベッドに置いていた兜を装着した。
天幕を出ると、周囲は無音に近かった。
ほとんどの者が、就寝しているのだろう。夜間特有の冷えた空気が体を包み込む。不寝番のための松明以外の灯りは少なく、頭上には数えきれない星々が美しく輝き息をするように瞬いていた。
空を見上げることも、周囲を見渡すこともなく、走り出した。
夜闇の中を物音を立てず、気配を消して進む。見回りをしている騎士と何度かすれ違ったが、ネウクレアに気付いた様子はなかった。
誰にも邪魔をされることなく、彼はセディウスの天幕へと入り込んだ。
167
あなたにおすすめの小説
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
世界が平和になり、子育て最強チートを手に入れた俺はモフモフっ子らにタジタジしている魔王と一緒に子育てします。
立坂雪花
BL
世界最強だった魔王リュオンは
戦に負けた後、モフモフな子達を育てることになった。
子育て最強チートを手に入れた
勇者ラレスと共に。
愛を知らなかったふたりは子育てを通じて
愛を知ってゆく。
一緒に子育てしながら
色々みつけるほのぼのモフモフ物語です。
お読みくださりありがとうございます。
書く励みとなっております。
本当にその争いは必要だったのか
そして、さまざまな形がある家族愛
およみくださり
ありがとうございます✨
✩.*˚
表紙はイラストACさま
【完結】腹黒王子と俺が″偽装カップル″を演じることになりました。
Y(ワイ)
BL
「起こされて、食べさせられて、整えられて……恋人ごっこって、どこまでが″ごっこ″ですか?」
***
地味で平凡な高校生、生徒会副会長の根津美咲は、影で学園にいるカップルを記録して同人のネタにするのが生き甲斐な″腐男子″だった。
とある誤解から、学園の王子、天瀬晴人と“偽装カップル”を組むことに。
料理、洗濯、朝の目覚まし、スキンケアまで——
同室になった晴人は、すべてを優しく整えてくれる。
「え、これって同居ラブコメ?」
……そう思ったのは、最初の数日だけだった。
◆
触れられるたびに、息が詰まる。
優しい声が、だんだん逃げ道を塞いでいく。
——これ、本当に“偽装”のままで済むの?
そんな疑問が芽生えたときにはもう、
美咲の日常は、晴人の手のひらの中だった。
笑顔でじわじわ支配する、“囁き系”執着攻め×庶民系腐男子の
恋と恐怖の境界線ラブストーリー。
【青春BLカップ投稿作品】
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる