【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり

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番外編 

弱っているときには

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 ――副団長のリュディードが倒れた。



 その事件は、騎士団にあっという間に知れ渡った。



 ――事の起こりは、その日の昼前だった。
 
 いつも通りに執務用の天幕で書類を捌いていたリュディードだったが、どうにも手が進まないでいた。

 朝から頭痛がしていて、書類の内容がろくに追えていなかったのだ。朝稽古のときはまだ症状は軽かったが、時間を追うごとに痛みが増している。

「……リュディード、もう帰って休め」

 セディウスの気遣わし気な視線に、はっとなる。

「い、いえ……。少し休憩すれば……、うっ……!」

 ずきりと頭の芯からくるような強く鈍い痛みが走り、思わず呻いてしまった。

「余程に具合が悪いようだな……。体調が回復するまで、休養を取るように。団長命令だ」

「……は、はい……」

 こんなことは、今までなかった。団長に心配をかけてしまい命令までされたのが、悔しくてならない。

「……では、上がらせて頂きます」

 ふらつきながらもなんとか立ち上がり、略式の礼を取ろうとした瞬間。

「うっ……!」

 ぐるりと視界が回って、気づいたときには激しく背中を床に打ちつけていた。

「リュディード!」

 セディウスが駆け寄ってきて、半身をそっと抱き起こしてくれた。

 深い青の瞳がリュディードを見詰めている。そこには失態を責めるような気配はなく、ただひたすら気遣う色があるばかりだ。

 これ以上は手を煩わせまいと慌てて起き上がろうとするが、体は思うように動いてくれない。

「無理をするな。私が天幕まで抱えて行こう」

「あっ、た、立てますから、そ、そんな……っ」


「――えっ! リュデ! どうしたんだよ!」


 セディウスの腕の中で焦るリュディードの耳に聞こえたのは、同僚であるファイスの声だった。軽やかな足音が近づいきて、愛嬌のある瞳を驚愕に丸くした彼の顔が視界に飛び込んでくる。

「お前、顔が真っ青だぞ!」

「うっ、……な、なんでも……ない、です……」

 必死になって普段通りの声で応じようとしたが、弱々しく掠れた声が出てしまった。

「バカっ! 無理するな! 団長! 俺が運んでく!」

 ファイスは真剣な顔で叫び、セディウスの腕から奪うようにして長躯を軽々と抱え上げた。

「あっ……! フ、ファイス……、お、下ろしてください」

「駄目だ!」

 身じろぎするが、膝裏と背中に当たっている逞しい腕はびくともしない。そのくせ、リュディードの体を痛めないように、掴む力は極力緩めている。

「あ、歩けますから……こんな情けない……」

 さらに下ろしてほしいと言い募ろうとした刹那。


「――黙れよ」


 低く落ち着いた声が耳に突き刺さり、息を飲む。聞き慣れない、まるで別人のような声だった。

「なにも情けなくない。俺に頼れ」

 いつもの無邪気な彼ではない。男として憧れを感じさせる、雄々しさすら漂っている。やり取りを見守っていたセディウスが、驚いて瞠目したほどだ。

 だが彼のそれはすぐに、優しい笑みの形へと変わっていった。

「ファイス、頼んだぞ」

「承知」

「リュディード、三日は天幕から出ないように」

「……み、三日も、ですか」

「このところ、お前に苦労を掛け通しだったからな。ゆっくり休んでほしい。これは命令ではない、……私からの『お願い』だ」

「はい……。ありがとう、ございます……」

 セディウスの穏やかな声に、リュディードは目に涙を堪えてうなづいた。

「さあ、私は執務に集中しなくてはならない。行ってくれ」

 それきり、セディウスは黙って執務机に向かい、書類を手に取って目を通し始めた。彼の多くを語らない気遣いに涙がこぼれそうになり、リュディードはぐっと奥歯を噛み締めた。

「よし、行くぞ。大丈夫だって。人のいないところを通るからな」

「……お願いします……」

 さりげなく気遣いを見せながら、ファイスはリュディードを抱えたまま危なげない足取りで天幕を出た。




 そこからのファイスの行動は、また普段の彼とはかけ離れたものだった。

「よし、それじゃ、着替えような」

 整然と片付けられたリュディ―ドの天幕へ入るなり、からりと明るい調子の声と笑顔を見せて、手早く着替えを手伝ってくれた。

 さらに、ベッドに横になる際は、背中を支えて体の負担を減らしながらそっと寝かせるという芸当までして見せたのだ。

「ちょっとまっててな」

 ぱっと素早く天幕を飛び出していく。


「――ほら、食堂で作ってきたぞ」


 そして、しばらくして戻ってきた彼の手には、食事を乗せたトレイがあった。ベッドの近くにある文机に置かれたそれからは白い湯気が立っていて、なにやらほんのりと甘い匂いが漂ってくる。
 
「ちょっと足りないかもだけど、あんまり食べても疲れるから、少なめにしたぞ」

 ……優しい。

 そして騒がしくない。

 ファイスが騒がしくないというのはどうも調子が狂うが、反面で気持ちがとても落ち着いた。

「ありがとう……すみませんね。迷惑をかけて……」

 情けなさに苛まれていたのが嘘のように、素直に礼と謝罪が言えた。

「なに言ってんだ。俺の方がいつも怒られてるし……迷惑かけてるだろ?」

 上体を慎重な手つきで起こされながらリュディードは苦笑した。

「ふふ、そうですね……。こんな時くらい貴方に心配をかけても、いいのかも……」

 姿勢を保てるように背中に枕を差し込まれ、「ほら、これ」と、膝の上に置かれたトレイにあったのは、底の深い小ぶりな器で、温めたミルクと小さく千切ったパンが入っていた。

 温かい湯気が鼻先をかすめると、空腹を感じた。さっそくひと口食べてみると、柔らかい甘みが口内に広がり、じんわりと胃が温められる。

 思わず、ほうっと息をついてしまった。

 素朴で、料理とも言えないくらい簡単なものだが、とても美味しくて、心のどこかの強張っている部分が、ほぐれていくのを感じた。

「食べられるなら大丈夫そうだな。うちの妹も、そうだったぞ」

「はい……大丈夫です。とても美味しいです」

「そうかぁ。よかったな。いいだけ食べろよ。残してもいいからな」

 深い慈しみのある言葉だ。愛嬌のある緑色の瞳が、優しく穏やかな光を湛えている。そんな彼に見守られながら、ゆっくりと食事を続けた。

 静かな天幕内に食器が触れ合う音だけが響く。なにを喋るでもなく、静かに見守らていることにむず痒いものを感じたが、悪くはない気分だった。


「――ん、ちゃんと食べられたな。気持ち悪くなってないか?」

「大丈夫です。食べたら……、なんだか気分が落ち着きましたよ」

 体の血の巡りが良くなり、頭痛が治まって眠気すら訪れた。

「ちょっと顔色よくなったな。よし、後は眠っとこうな」

 すっと手を動かして浄化術式をかけてから、横になろうとするリュディードをまた手伝って、上掛けを引き上げて丁寧に整えてくれる。

「リュデ、早く良くなれよ。お前が元気じゃないと、俺も元気でいられないからな」

 彼らしい、心からとわかる言葉が嬉しい。

「はい……」

 このとき、リュディードは優しい言葉をかけられ、甲斐甲斐しく世話を焼かれる心地良さにすっかりと身を浸していた。そして、それと分からない程度にだが……ファイスに甘えていた。

 ぽんぽんと、子供をあやすような手つきで胸元の辺りを二度、上掛け越しに軽く叩いてから「後でまた様子見に来るから、大人しく寝とけよ」と、言うなりトレイを片手にニコリと笑った。

「わかりました」

 ファイスの笑顔に、胸が温かくなる。

「よし、じゃあ行って来るからな。おやすみ、リュデ」

「はい。行ってらっしゃい……」



 眠気に誘われながら、素直に返事を返したリュディードだったが……。よく眠って意識が明瞭になった途端、激しい動揺に見舞われた。

「……お、おかしい」

 ファイスが、あんなに世話が上手で、献身的で優しいなんて。信じられない。歩み去っていった彼の背中は、大きく頼もしく見えた。

「……まるで……別人ですよ……」


 ――ファイスは、十五年前の戦争で父親を亡くしている。

 母親と五人の幼いきょうだいたちと暮らしていた彼は、兄の自分が家族を守らなくてはいけないと考えて、なにかと気を張っていたらしい。

 彼の別人のような優しさと面倒見の良さは、妹や弟たちに与えていた愛情の名残なのだろう。

「ふふ、私は妹さんたちと、同じですか」

 それを……家族でもない他人であるリュディードにも、惜しみなく分け与えてくれたのだ。

「有難いことですね……」

 魔力量が少ないという理由だけで、自分を冷遇した連中とは大違いだ。

 ずっと家族の情に恵まれず、彼らとの関係に苛まれ……最後には絶縁までした。そんな人生を歩んできたリュディードは、ファイスの与えてくれた愛情が時としてとてつもなく得難いものだと身を持って知っている。

「……はあ。普段からあんなふうに、優しくて、落ち着いてくれていれば……もう少し違う対応ができるのに」

 そうしたら……、今よりいい関係が築けるだろう。もっと親しく、彼と付き合えるようになる。


 不意に、胸が大きく高鳴った。


「えっ……」

 妙な方向に思考が流れている気がして、はっとした。駄目だ。体の調子に気持ちが引きずられて、おかしくなっている。

 正気を取り戻そうと頭を振った。熱まで出てきたようだ。……この胸の高鳴りは、どういう意味だろうか。

「うう……、もう少し寝ますか」

 ファイスが戻って来るころまでには、この妙な胸の高鳴りと熱を鎮めなければならない。余計に世話を焼かれてしまうだろう。

 ……それはとても困ると焦った半面、焼かれてしまいたいという気持ちもあった。

 自身のことながら、心の変化に理解が追いつかず、酷く戸惑った。



 ――その後、リュディードはきっかり三日で職務に復帰することができたが、恩人であるファイスの脳天に拳を振り下ろすことになった。

 なぜなら、ファイスは食堂に病人食を作りに行った際、リュディードが倒れてしまい自分が看病をしていると話していたことを、団員たちから聞いたからだ。

 不覚にも倒れてしまったことに加えて、世話を焼かれたことまで暴露するとは。話を聞かされた瞬間、思わず顔を赤らめてしまった。

 どうしてこうも、空けすけなのか。

 おそらく、『看病できて偉いだろ! 俺!』くらいな無邪気な気持ちだったのだろう。そして、倒れたことを皆に『お前らもリュデを労われよ!』と、軽く伝える程度の考えだったのだ。

 気持ちはわかる。

 だが、恥と外聞というものに関する配慮がすっぽ抜けている。抱えて運ぶときには気を使ってくれていたのに、抜け過ぎにもほどがある!


 やっぱり駄犬は駄犬だ。


 優しくて落ち着きがあり、頼りがいのある男に見えたのは、体が弱っていたせいだろう。


「――いてぇ! なんで殴るんだよ!」

「殴られる様なことをしたからですよ」

「意味がわからないぞ!」


 涙目になって騒ぐいつものファイスらしい姿に呆れながらも、なぜかほっとしてしまったのだった。




































































































「殴ってしまってすみませんでした……。あの、今度もし私が倒れて、貴方が看病することになっても、言いふらさないで下さい。……は、恥かしかったんです(やや赤面)」

「イテテ……。わ、わかったぞ。恥ずかしかったのか。ごめんな。よし、じゃあ今度は内緒な(小さい声で言う)」

「お願いしますね(小声……)」

「俺が倒れたときは内緒でなくてもいいぞ」

「貴方、その前に倒れないでしょうに」

「わかんないだろ。俺だって人間だぞ!」

「まあそうですけれど(クスクス)」

「リュデ、俺がバカだから倒れないとか思ってるだろ! 笑うんじゃない!」

「バカとは思っていませんよ(駄犬とは思っていますが)」

「もっと酷いこと考えてそうな顔だ!」









 ※弱ってるときに優しくされると……的なアレ。終戦後の話です。
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