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拾ってきた下女
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「そこまでよ! エドワード!」
ナイトキャップを被ったまま、ガウン姿の王妃様は息を切らしながら叫んだ。
「何をしてるの?」
殿下はビクッとした。本能的に王妃様は怖い。でも、せっかくのお楽しみのところなのに。
「エサをあげています」
「エサ? その下女にですか? その者は誰ですか? どこから来たの?」
「拾ってきました」
王子殿下が答えた。
「婚約者の様子を見に行けとおっしゃったではありませんか、母上」
話のつながりが見えなくなって、王妃様は黙った。
「伯爵邸の様子を窺いに行って、中で拾いました」
「えっ? つまり伯爵家の使用人?」
に、してもみすぼらしいな。
その時、下女が顔をあげた。そして彼女が叫んだ。
「あっ、王妃様!」
顔を見て、瞬時に王妃様とわかったのだ。
王妃様はガウン姿だったにも関わらず。
「ま、まあ。マリゴールド嬢じゃないの!」
王妃様も呆然として言った。あのエメラルドの目は珍しい。間違いない。
「「「えっ?」」」
侍女はとにかく王子殿下も驚いて大声を上げた。
「マリゴールド様と申しますと、殿下の婚約者のマリゴールド様ですか?」
侍女頭が尋ねた。
「ま、まあ。どうしたの? こんなに痩せて……」
王妃様はびっくりすると同時に、マリゴールドが痩せ細っているのに驚いて尋ねた。
「とにかく今すぐ着替えて……」
服もひどい。
「ダメです。ご飯が先です!」
殿下が割り込んだ。
王妃様は一瞬たじろいだが、今回ばかりはエドワード殿下が正しい。食べるのが先だ。
「お腹、空いてるの?」
「ダメです! 僕がやります!」
殿下、かいがいしい。
王妃様アンド侍女は、殿下のゆっくり給餌が終わるのを待って、ごちゃごちゃ言う殿下からマリゴールド嬢を引っ剥がして、着替えさせるために連れ去った。
「この国有数の貴族令嬢が、なんて格好を!」
「さあさあ着替えましょう。その前にお風呂に入らなくては」
「あ、お風呂は僕が。あったかいお湯ですみずみまで洗ってあげたい」
「なんですって? この変態!」
王妃様が容赦なく殿下を引っ叩いた。
後ろで侍女たちが拍手した。
「でもっ、でもっ」
叩かれたほっぺたをさすりながら、未練たらしく王子は食い下がったが、王妃様の方が断然強かった。
「でも、じゃありません!」
女性陣全員が退場した後ろから、殿下は吠えた。
「朝ごはんは、僕があげます!」
「なんなの、あの変態」
王妃様はぼやいた。
ナイトキャップを被ったまま、ガウン姿の王妃様は息を切らしながら叫んだ。
「何をしてるの?」
殿下はビクッとした。本能的に王妃様は怖い。でも、せっかくのお楽しみのところなのに。
「エサをあげています」
「エサ? その下女にですか? その者は誰ですか? どこから来たの?」
「拾ってきました」
王子殿下が答えた。
「婚約者の様子を見に行けとおっしゃったではありませんか、母上」
話のつながりが見えなくなって、王妃様は黙った。
「伯爵邸の様子を窺いに行って、中で拾いました」
「えっ? つまり伯爵家の使用人?」
に、してもみすぼらしいな。
その時、下女が顔をあげた。そして彼女が叫んだ。
「あっ、王妃様!」
顔を見て、瞬時に王妃様とわかったのだ。
王妃様はガウン姿だったにも関わらず。
「ま、まあ。マリゴールド嬢じゃないの!」
王妃様も呆然として言った。あのエメラルドの目は珍しい。間違いない。
「「「えっ?」」」
侍女はとにかく王子殿下も驚いて大声を上げた。
「マリゴールド様と申しますと、殿下の婚約者のマリゴールド様ですか?」
侍女頭が尋ねた。
「ま、まあ。どうしたの? こんなに痩せて……」
王妃様はびっくりすると同時に、マリゴールドが痩せ細っているのに驚いて尋ねた。
「とにかく今すぐ着替えて……」
服もひどい。
「ダメです。ご飯が先です!」
殿下が割り込んだ。
王妃様は一瞬たじろいだが、今回ばかりはエドワード殿下が正しい。食べるのが先だ。
「お腹、空いてるの?」
「ダメです! 僕がやります!」
殿下、かいがいしい。
王妃様アンド侍女は、殿下のゆっくり給餌が終わるのを待って、ごちゃごちゃ言う殿下からマリゴールド嬢を引っ剥がして、着替えさせるために連れ去った。
「この国有数の貴族令嬢が、なんて格好を!」
「さあさあ着替えましょう。その前にお風呂に入らなくては」
「あ、お風呂は僕が。あったかいお湯ですみずみまで洗ってあげたい」
「なんですって? この変態!」
王妃様が容赦なく殿下を引っ叩いた。
後ろで侍女たちが拍手した。
「でもっ、でもっ」
叩かれたほっぺたをさすりながら、未練たらしく王子は食い下がったが、王妃様の方が断然強かった。
「でも、じゃありません!」
女性陣全員が退場した後ろから、殿下は吠えた。
「朝ごはんは、僕があげます!」
「なんなの、あの変態」
王妃様はぼやいた。
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