婚約者の王子は正面突破する~関心がなかった婚約者に、ある日突然執着し始める残念王子の話

buchi

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エドワード王子殿下、国内で大称賛を浴びる

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 それはとにかく、そのような訳で、第三王子殿下は、愛する婚約者を窮地から救った誠実の人として世に有名になったのだった。

「幼馴染の婚約者をずっと思い続けていただなんて。純愛を貫いたのね」

 どこのお茶会でも、殿下は話題にのぼり讃えられた。なんだったら、マリゴールド嬢は羨ましがられた。

「屋敷から奪い取って助け出したのですってね。側近の方々とご一緒に」

「確かに屋敷から全然出してもらえていなかったわね。私なんてマリゴールド様宛に招待状を送ったのに、当日になってみたら偽伯爵夫妻とあの娘二人、合計4人が、テーラー夫人の最新ドレスの発表会に乗り込んできましたのよ」

 テーラー夫人は新進気鋭の少々きわどいドレスを発表する人気デザイナーだ。
 したがって令嬢方の母上からのウケは比較的よろしくない。ちょっとデコルテが広すぎるとか、すそが短すぎるだとか諸説ある。
 貴族令嬢のご自宅へドレスを持ち込み販売するとき、お友達を呼んでいただければ、ご理解のないご家庭へも販路が広がる。特に下着などは、店頭販売がはばかられるので、お友達同士が連絡しあうのである。男性などは当然お呼びでないどころか、ガソリンにタバコ並みの危険物扱いである。

「それをあの偽伯爵がでっぷり座って興味津々で見ているのよ。ほんの数名だけ、選りすぐった親しい女友達だけをお招きしたんですのに。しかも会場はわたくしの寝室でしたのよ」

 なんだか悲痛である。誰かがため息をついた。

「どうして、マリゴールド様をお招きしたのに、毎回、あの四人が来るのかしら」

「そもそもマリゴールド様は招待状をご覧になっていなかったんじゃないかしら」

「きっと殿下も同じ目に合ってらしたのね。何回招待してもおいでにならなかった、それできっと……」

「思い余って、深夜の救出劇を決行されたのね」

 集まった妙齢の令嬢方がため息をついた。月夜の救出劇は有名になりつつあった。

「殿下ってば、意外に思慮深いのね。誤解を避けるためにも、側近の方々をお連れになるだなんて」

「もちろん身の安全という問題もありますしね。なにしろ、王子殿下というご身分ですから単独行動などもってのほかですわ」

「マリゴールド様を抱いて王宮にお連れしたそうよ」

 集まった令嬢は盛り上がった。

「側近の方々には手を触れさせなかったそうですわ!」

「それはそうでしょう!」

「王妃様がお着換えをとおっしゃっても、まずは食事をと頑として譲らなかったとか」

「身の安全をということですわね。ご配慮の行き届いた方ですのね!」

「殿下の愛を感じますわ!」

「偽伯爵家は酷いわ。じわじわとマリゴールド様を殺す気だったのかしら」

「マリゴールド様を亡き者にしてしまえば、財産も爵位も全部、あの下着ガン見の偽伯爵のものになるところでしたわ」

 令嬢方は憤慨した。偽伯爵は年相応の中年太りだったのだが、下着ガン見との相乗効果で、嫌悪感が倍増しだったらしい。

「殿下は素晴らしいわ! 人の命を救ったのですもの」

 エドワード殿下は、一躍時の人となった。



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