✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

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第二章〜記憶の石板〜

28話✡︎闇の女神と光神✡︎

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 記憶の間の扉に着くと、ユリナもカナも不思議に感じた、記憶の間と縦に書かれその上下を六芒星が挟んでいる。
 五大神を表すのに五芒星が使われる事がある、だが六芒星はそうは使われない。

 記憶の間の扉を、二人の番人がゆっくりと開けると、ひんやりとした涼しい風が吹いていた。

 中は薄暗くほのかに僅かな光を放つ石版が棚に並べられている、かなり奥まで続いてる様で数列ある棚は一番奥までは見通せない程だ。


 中に入り棚を見ると、上の方に創生時代の種族と書かれている。
「創生時代って……神々が地上を作ったばかりの時代?ってこと?」
 カナが疑問に思うが、巨人族が追放されて十万年以上経つ、その間永遠と騒乱が続いた訳ではない。

 何かがキッカケで百年から五百年程収まり、また争い戦火が世界に広がりと言う具合で繰り返されていた。

 カナもユリナも巨人族が追放される以前の歴史は知らない、いや誰も知ら無いだろう。
巨人族の遺物は殆ど神々に破壊され残されていない。
 数万年生きるエルフ族でさえ、神の怒りに触れることを恐れ、語らずに世代が変わってしまった。

「はい、ここには神々が世界を作ってからの歴史が全て記されています。
創造神アインが巨人族の痕跡を全て消そうとした時は……これですね。」
ユリナの番人が遠くを指差してからおいでおいでをすると。

「俺の時はそんな可愛く石版呼ばなかったな……」
とアルベルトが言うと。
「アルベルトさんに……似合う様に呼びましたからね」
ユリナの番人は明らかに回答に困っている。


「お姉ちゃん、お父さんって……」
ユリナが作った笑顔で聞く。
「思ったことをそのまま言いますよ……
昔から……」
カナは普通の笑顔で答えた時、丁度一枚の石版が飛んできた。

 ユリナの番人の前でその石版は止まり手をかざすと。
「ちょっといいかな?
それを調べたい訳では無いんだが」
アルベルトが言う。

「気にしないで下さい、どんな風に記録されてるかをお見せするだけですので、おまけと思ってください。」
そうユリナの番人が答えた。

 そして石版から過去の記憶が暗い天井に映し出される。



「まてアイン!これ以上の破壊に何がある?」
 優しくて強さを感じさせる不思議な男性の声が、創造神アインを止めようとしている。

「クロノス!何故私を止める!
彼等は私が地上に送りし地上を統べる者‼︎

それに飽き足らず我ら天界に弓を引いたのです!
それを許せと言うのですか‼︎」
 怒りに満ち溢れた創造神アインが破壊神クロノスに叫ぶ!

「落ち着けアイン‼︎何故彼ら巨人族が我ら神々に弓を引いたか考えて見よ!
我らが闇の女神オプスを救えなかったからだ‼︎

オプスは死竜に囚われた、それ故に今五つの星しか輝かぬ!解るか?解るだろう⁈
闇を失った世界がどうなるか⁈

その結果、彼らは多大な犠牲を払ったのだ!巨人族の気持ちも考えてやらぬか‼︎」
クロノスは必死にアインを説得する。


「ならば全て我らに!
神々に非があると言うのか?神々よ!
我が子らよ我に裁かれたく無ければ!
生き残りし逃げ込んだ巨人族を我が前に差し出せ!」
アインの怒りは凄まじく巨人族は逃げ惑うしか無かった。


 その記憶を見ている、ユリナとカナはアインの怒りが血の王へ感じた恐怖が恐怖に感じられない程凄まじいものだった。
 その怒りの前にエヴァもガイアもウィンディアも怖気付いてしまっている。
クロノス以外にただ一人、光神ルーメンが言う、


「母上、父上の言う通りです。この巨人族と天界の争いは母上の放った、神の稲妻によりもう見えております。

これ以上の破壊は闇を失いし世界に冥界の力を強めるだけ……
そう思い神のご慈悲を彼らに」

 何処かで聞いたことのある、精悍で優しい声で言う、巨人族も一斉に神々へ慈悲を乞い始める……ルーメンは続ける。


「もとより天の夜空が美しいのは、闇があってこそ星も輝き月は白銀に輝けるのです。

光あって闇は生まれ、闇があるからこそ光輝く。

その理りを失いしは我ら神々の非……
それでありながらこれ以上巨人族を罰するのは……」
 ルーメンがそこまで言うと、クロノスが割って入る。


「ルーメンもう良い。
アイン解るか?
ルーメンが巨人族に希望を指し示そうとしたのを……解るか?

我らの子が我らより役目を果たそうとしている。

そなたは創造神であり、破壊は私の役目だ。
巨人族を許す訳ではない。

だが全ての巨人族の命を奪い、役目を果たし続け地上に平穏をもたらし続けた全てを破壊することは。

傲慢だと思わないか?

それは我々神々が、巨人族と同じ過ちを犯すのと変わらない……
いや我々の非を全て巨人族に押し付ける巨人族よりも……
罪深い行いとしか私は思えない」

 クロノスは破壊神と言うが、恐ろしさを感じさせない偉大な全ての父の様に暖かく寛容であった。

 だがアインの怒りは収まらずクロノスを怒りのこもった目で見つめ、どう言い下すか考えている様であった。

そんなアインを見てルーメンは地上を見下ろす、そして……

「父上、母上お元気で!」

そう言って天界から地上に飛び降りた。

 ルーメンは気づいていた、闇の女神オプスが居ない今、光神の自分が天界で光輝き続けてはならないと、闇がない分、天秤が釣り合おうとする様に闇の代わりに冥界の力が増して行く事に。

「ルーメン何を!」

 アインが我に返り我が子が飛び降りた場所に走り、クロノスもそれに続くが、既にルーメンの姿は見えなかった。

 アインはようやく怒りに満ち溢れ憎しみを生み出していた邪神の様な自分の醜さに気づく。

「大丈夫あの子は生まれ変わったんだ。命落とした訳ではない自分で見つけた使命を果たしいづれ帰ってくる……
さぁ、後のことは私に任せて、その怒りと憎しみをエヴァに流してもらって来なさい」
クロノスは優しくアインを促す。


 エヴァ、ガイア、ウィンディアが心配しながら天界の泉セレティアに涙を流すアインを連れて行く所で記録は終わった。
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