✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

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〜第六章 ファーブラ・巨人族〜

111話✡︎✡︎カナとフェルト✡︎✡︎

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 それから数日の間フェルトはアグド国王ベルガルと頻繁に話し合った。
 フェルトは暗殺に近い形でシュトリスの命を奪い族長となったのだ、こうなるとオプシェンの動向が気になる、本当に従うのだろうか。

 それを確かめたかったのだ、ベルガルは今後セレスとも友好的にしたいと言うフェルトを歓迎したいのだが、なんとも言えない状況に悩んでいた。


 ある夜カナとアヤがユリナの為に曲と舞いを披露してくれた。
 ベルガルをはじめフェルト達ダークエルフ一行も招かれ華やかに模様された。

 月の光に照らされ舞うカナは二年前と変わらず美しく、ユリナも久しぶりにカナの舞に見惚れていた……


 だが一人、フェルトだけは驚きを隠せなかった……剣筋と癖が恋人のメモリアに似ているのだ。
「カナ殿の剣は誰から?」
「お姉ちゃんの剣はお母さんから教わったの、でもお姉ちゃんはシェルドさんと婚約してますよ。」
ユリナが微笑みながら答えた。

 無論フェルトはそんな事はどうでも良かった。だが気になった……

(どう言う事だ……カナ殿とメモリアの剣は……メモリアの方が速いが……
あれは舞……つまり実戦とは違う……)


 その夜ユリナがカナをベルリス温泉の外に呼び連れてきた。
「ユリナ、どうしたの?
シェルドはベルガルさんとお話ししてるから良いけど、早めに帰るよ」
「うーんフェルトさんが話たいみたいで、ちょっとだけお願い。」
「フェルトさんが?」
 そう話ながら街の外に出てくると、フェルトはこの前と同じあたりに居た。


「遅くにすまない、カナどの話は聞いていたんだが、少し剣に付き合ってくれないか?」
 フェルトは優しい瞳で言い、カナは不思議な感覚を覚える。

「こんな私で良ければ喜んで」
 カナは召使いの服を着ていて美しく礼をした……

(どう言う事だ、ここは過去のはず……)
 フェルトは更に戸惑うが、それを悟られない様に剣を構え、カナも魔法の指輪から双刀の剣を出して構える。

 風が吹いた、静かに静かに風が吹いた時カナから仕掛けた!

 エルフらしく速く走り込み、恐ろしく正確にフェルトの目を狙い左の剣で貫こうとする!
 フェルトは躱し、素早く左手の剣を逆手に持ち替えなぎ払うが、カナは読んでいたのか右手の剣を逆手にし受け止めた!


「お姉ちゃん強くなってる」
ユリナが呟く。

 だがそれ以上にフェルトは驚きを隠せなかった……メモリアの剣筋と全く同じであった……
 ダークセンスで魂の姿を見るがメモリアでは無く翻弄したが、カナの剣筋とクセはメモリアそのものだが……速さは断然メモリアの方が速い事に気付き先を読み始める。

 カナは一瞬、聖者の劒の舞の型を取り、そこから左手の剣でフェルトの剣をいなして、素早くフェルトの腹部に蹴りを入れる。

 フェルトは崩れそうになったが、次に来た頭を狙ったカナの蹴りを、蹴り返して体勢を戻した。

(今のはメモリアの動きでは無い……
舞を実戦でも使うのか……)
フェルトはそう思っていた。
(フェルトさん、お強いですね……
でも不思議な位、私の先を読んでいらっしゃいます……料理の手伝いしてくれたら楽しそうですね)
カナはそんな事を考えていた。

 そして今度はフェルトから仕掛けて来た、わかりやすくシンプルに上から振り下ろす様に斬りかかってくる、カナはそれを左手の剣の柄で、フェルトの剣の刀身を叩く様に弾いた。

(なっ!間違いない‼︎
カナはメモリアと関わりがある‼︎)
 フェルトは確信した、それはメモリアがレイピアで使う神業と言える程の技で、武器破壊を目的で相手の剣の刀身に、素早く撃ち込んでくる打撃である。
 数打ちの量産された刀剣なら、メモリアは大抵はこれで破壊してくるのだ。

 だがフェルトの剣は数打ちでなく、名剣と言える程の剣であり、破壊される事はなかったが、カナは起動をずらし右手の剣で斬りかかる。

「いい剣を使ってるのですね!」
カナはそう言い連続で斬りかかる。

「カナもな!」
フェルトはそう返し躱しながら反撃をする。

(なにかしら?他人と思えませんね……
この人なら躱せますね)
 カナはそう思いながらそれ以降は剣を交えていたそして呟く。

「太刀よ曲がれ……」

 次の瞬間フェルトが受け止めたカナの刃がクニャリと曲がってフェルトを襲う。

「うわっ!」
フェルトはカナの予想通り見事に躱した。
「あっぶねー」
フェルトがそう声を漏らした瞬間。
 
 カナが一瞬にしてあの鋭い殺気を放ち瞳を鋭くし、フェルトの一瞬の隙をついてフェルトの首筋に斬りかかる!

 だがフェルトは一瞬で見抜いた、メモリアの剣線でメモリアより遅いその剣を弾き、カナの背後に回り込み首に剣を当てた。

勝負はついた……


「まるで解ってた見たいな動きだね、でもお姉ちゃんはまだ本気じゃ無いよ」
ユリナが言う。
「ユリナ……今のは本気だったよ……」
 カナは初めて完璧に読まれた気がした、剣だけでは無く全てを……
 カナは剣をしまい美しく礼をして言った。

「でも、フェルトさんはお母様のお相手にはなりません!」

 ユリナが驚いた、カナが初めて負け惜しみの様な事を言った……確かに今の剣を見る限り祝福を解放したエレナの敵では無い気がした……

 フェルトはカナに悔しいと思わせたのだ。

「ユリナ、明後日セレスに帰るんでしょ?
私もお母様に会いたいので一緒に行きます。」
「えっ、いいの?」
「はい、大丈夫です。」

ユリナは悟った……そのカナの笑顔の裏にある悔しくて悔しくてフェルトの負けるところを見たいと言う、召使いになりきり全力で隠すカナの気持ちを……

「エレナ女王の剣……楽しみだな」
 フェルトはそう笑顔で言い、カナの力が速さではメモリアに断然劣るが、僅かに劣るが技量はほぼ同等だと理解し、その辺の剣士より遥かに上だと認めた。


 そしてメモリアと深い関係にある事も確信していた。
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