✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

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〜第十章 メモリア・セディナ〜

169話❅メーテリア・パラドール❅

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 その三日前……

「パリィ様……
もうすぐお会い出来ますね

千年……
わずかですが
わずかですが

マルティアの民をお守りして参りました
それもここまでのようです

私もパリィ様のように
そちらに参りますね」

 一人の美しいエルフが教会でそう祈り、ダガーを取り出し鞘から抜く。

 盗賊達が教会の扉を破り押し寄せ、その女性に襲いかかる。

(この人達も
マルティアの民だった人達……
私には……)
 その女性がそう思った時、有り得ない方から矢が飛んできてそのダガーを弾き飛ばした。

 そしてその女性の背後から悲鳴が聞こえ、その女性が振り返ると、漆黒の大剣を振るエルフがいた。

「あなはそれでいいの⁈⁈
大切な人に会いたくないの⁈⁈」
そのエルフが強くその女性に言った。

「あなたは……」
その女性が聞く。

「私はユリナ!
メーテリアッあなたはパリィに必要なのっ!
最後まで諦めないでっ‼︎‼︎」
 ユリナが暗黒を振り盗賊を寄せ付けない、絶対神としてではなく、エルフとして暗黒を振っているが盗賊はユリナの敵では無かった。

 ユリナはその昔なんども諦めたことがあり、その度にカナに救われていた、ユリナはそんな自分とメーテリアを重ね合わせて見ていたのだ。

「パリィ様は……」
メーテリアが呟いたが。

「会えるからっ
かならず会えるからっ
はやく南に行きなさいっ‼︎‼︎」

 ユリナが盗賊と戦いながら叫び、その声はメーテリアの心に凄まじい光となって届き、メーテリアの中から勇気が溢れて来た。

 メーテリアは立ち上がり戦っているユリナにお辞儀をし教会の裏、隠し扉を開け走り出し、ふっと息を吹き、まだ村で逃げ遅れてる人々に言葉を送った。

『南へ逃げなさい』

そう人々に言葉が届いた。

 だが村に押し寄せた盗賊達から、村人が無事に逃げられるとは思えなかった。

 すぐにメーテリアは目の前で、若い女性に剣で斬りつけようとしている盗賊に手を向けると、その盗賊が一瞬で氷漬けにされた。

「メーテリア様っ!」
その女性が言う。

「すぐに南へ逃げなさい
出来るだけみんなとまとまってっ!」
メーテリアはそう言い、次々と盗賊に襲いかかる、全てを倒そうとは思っていない。


「私がメーテリア・パラドール‼︎

貴方達が欲しい秘宝は
この私が持っていますっ‼︎

来なさいっ‼︎」

そう叫びメーテリアは南西に走り出した、盗賊達を引き寄せ囮になろうとした。


「オプス様ありがとうね
盗賊達を斬れないようにしてくれて」
ユリナがオプス礼を言っている。

(どういたしまして)
オプスが暗黒から微笑んで言う。


(メーテリアあなたなら大丈夫……
昔イミニーだったあなたなら
アヤ……頑張ってね)

 ユリナは教会に押し寄せた盗賊達を、全て痛めつけメーテリアを見送っていた。


(私……
何してるだろう……
みんなを守ることは大切だけど

パリィ様はもう……
南……
南になにがあるの……)
パリィを想うメーテリアは疑問に思いながらも、ユリナの言葉を疑いながらも走っていた。



ーーーーーーーー




「貴方達の主人……
長はメーテリア・パラドールですか?」
パリィが聞く。

「メーテリア様を
知ってらっしゃるのですか?……
それに何故マルティアの旗が……」
逃げて来たパラドールの人々が不思議に思いながら聞いてくる。

「説明は後で、メーテリアは今どこに?」

「メーテリア様は……
私達を逃す為に囮になり南西に行かれました……」
その村人が教えてくれた。

 メーテリアなら無理してやりそうだとパリィは感じた、そしてセクトリアの北のパラドールから見て南西、つまりここから北西か西に向かった。

北風が吹いている……。

 パリィは意識を集中して匂いを探る、千年前のメーテリアの匂いの記憶を思い出しながら探ると、ここから北に見える林からほのかに匂いがした。

馬の血の臭い……

 更に集中して魔力も注ぎ全神経を研ぎ澄ませ深呼吸をしてみる。

 北東、北西からも人々が動いている匂いを感じる村人の様だ。

 パリィは久々にオドルの魔法を使った、オドルの魔法はパリィの様に異常嗅覚を持つ者しか習得出来ない魔法である。
 千里眼と同じ位の距離の匂いを嗅ぎ取れる魔法で千里眼と違い、箱の中の匂いも僅かでも出ていれば中身がだいたいは解る高等魔法の一つである。

 更にパリィのオドルの魔法は通常の倍近くの距離を把握出来る、風向き一つで小国なら全ての位置を把握出来る程の範囲を探る事が出来るのだ。


「クイスさん
手伝って貰えますか?
北西に逃げてる村人がいます。
距離は半日程です
盗賊が居るかも知れません
兵を率いて捜索をお願いします。

セドは北東に護衛団を率いて捜索を
距離は半日より少し先かもしれません
お願いします」

 パリィは確実と思える北西と北東に指示を出した。

「解った、必ず見つけてくるからな」
セドは始めてパリィから指示を受けてやる気を見せようとする。

「かしこまりました
テリング国として必ず助けて参ります。」
クイスもそう答え急いでテリングの兵を集めて出発した。

パリィは林を探る。
その林では……。



「はぁはぁ……
あれから三日も経つのに
何でこんなに追って来るのかしら……」
メーテリアが木に身を隠し後方を探っていた。
耳を済ませて音を聞く魔力を込めて聞いていると。

「探せ!
あの魔導師のネックレスは
五千万クルトは軽くする!
伝説のマルティアの秘宝の一つだ!
必ず探し出せ!」


(秘宝……ね……
パリィ様の愛馬が入ってるんだけどなぁ
確かに秘宝と言えば秘宝ね……)
メーテリアがそう思いながら宝石に聞く。


「ピルピー
あんたあの人達の言うこと聞ける?」
そうメーテリアが青い宝石に向かって言うと、紫になりまた青に戻った。

「嫌だよね……優しくなさそうだもん」


(それにしても
あのユリナさん……凄く強かったし
私とパリィ様のことを知っていたけど
何者なのかしら

それとあの溢れた勇気……
どこかの英雄様なのかな……)
メーテリアがそう考えていた時。


シュッ!

「え……」
メーテリアの腕を矢がかすめ赤い血が僅かに流れる。


その匂いをパリィは逃さず嗅ぎ取った。

「バイト!みんなをお願い!」
そう言いパリィは馬に飛び乗り林に向かって走り出した。

 鞭を強く入れて全力で馬を走らせる、林までは普通に行けば三時間の距離。

それを馬を潰す勢いで走らせていた。

「大丈夫、休ませてあげるから頑張って」
パリィは馬に囁いて、風の魔法を馬にかけるとパリィの魔法以上の効果があり、その馬は凄まじい加速を見せ、猛烈な勢いで走る。


「えっ……
なにこの力は……」
パリィが不思議に思い呟く。

 セクトリアの村でパリィを見守るユリナが、なにかを呟き古の力となった風の祝福の力を使いパリィの魔法の効果を高めていた。
 フードを被り解りにくいが僅かに出ている、毛先がエメラルドグリーンになり、美しく輝いていた。


(この偉大な力……)


 バイドがその力に気づき、その力を放つユリナを見つけ、ユリナに声をかけようとしたがユリナは人混みを掻き分けるように立ち去ろうとする。

「待たれよっ!
そなたは何者かっ!
待たれよっ‼︎」
バイドが声を上げて追うが見失ってしまった。



「あそこだ!」
盗賊が叫んだ、探しながら進んでいたのを急に走り出し距離を縮めて来た。

「ふふ……これはダメかな」
メーテリアはそう鼻で笑い走り逃げていく、既にこの三日間で魔力を使い切ってしまったのだ、魔導師のメーテリアは足は早くないが必死で逃げている。

急に前方から濃い霧が吹き込んできた。

「懐かしいなぁ
パリィ様の霧みたい……」
そう呟きながら走っている。

「いっ」
足を盗賊に射抜かれしまい走っていた勢いで転倒してしまう。

「てこずらせやがって……
ほう、やっぱり良い女だな」
一人の盗賊がそう言いメーテリアを捕らえる。

「これをつけてやれ
魔法を封じるんだ……」
別の盗賊が腕輪を取り出しメーテリアの腕を掴んだ。

(村のみんなは……
逃げ切れたよね……)
メーテリアは絶望しながらも心でそう呟いた。
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