【完結済み】私達はあなたを決して許しません

asami

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 私の名はイリス。侯爵家の令嬢として生まれ育ち、世間からは「美しき令嬢」と崇められている。しかし、その美貌とは裏腹に、私の心の奥底には深い闇が潜んでいた。婚約者である王太子アレクシスによって、その平穏な日々は一変した。



ある日、私が王太子の元を訪れたときのことだった。小さな庭に咲く花々が、まるで私の気持ちを知っているかのように揺れていた。アレクシスは、他の令嬢と親しげに笑い合っていた。その瞬間、私の心に冷たい刃が突き刺さるような痛みを感じた。



「イリス、君も来ていたのか?」



彼の笑顔は、私を見ているようでいて、実際には私を見ていなかった。彼の視線は、私の隣にいる妹、リリーに向いていた。リリーは可愛らしい笑顔を浮かべていたが、その裏には私に向けられた嫉妬と羨望が隠されていることを私は知っていた。



数日後、アレクシスによって婚約破棄の通知が届いた。彼の言葉は冷たく、心の中に巣くっていた希望の糸は簡単に断ち切られた。私を捨てた理由は、リリーに心を奪われたからだと言われた。家族の裏切りを感じながら、私は暗い部屋に閉じこもった。



その日、私は決意した。復讐することを。私の心の中に渦巻く怒りと悲しみは、次第に恐ろしい力に変わっていった。







ある夜、私は古い家系図を見つけた。その中には、私たち侯爵家が代々受け継いできた「呪い」に関する記述があった。選ばれた者が裏切りに遭ったとき、その者は復讐の力を得られるという。しかし、その力を得るためには、血の儀式が必要だった。



儀式の夜、月が不気味に輝く中、私は一人で庭に立った。周囲の空気は重く、まるで何かが私を見つめているかのようだった。儀式を行うための道具を揃え、心の中でアレクシスとリリーへの復讐を誓った。手を血で染め、恐ろしい力を手に入れることを決意した。







その瞬間、私の周りに冷たい風が吹き荒れた。視線を感じる。振り返ると、庭には見知らぬ影が立っていた。真っ白な顔をした女性が、私をじっと見つめている。彼女の目は暗い沈み込みを持つようで、私の心を揺さぶった。



「お前は本当に復讐を望むのか?」



彼女の声は低く、耳に響くような不気味さを持っていた。私は彼女の問いに頷いた。すると、彼女は微笑み、私の手を掴んだ。次の瞬間、視界が暗転し、気がつくと私は別の場所に立っていた。



目の前には、アレクシスとリリーがいた。彼らは私の存在に気づいていないようだ。私は一歩踏み出し、彼らの視界に入ると、彼らの表情が驚愕に変わった。特にリリーの顔は、色を失い、恐怖に満ちていた。



「イリス…?」



アレクシスの声が震えている。私は彼らの前で、復讐の力を行使することにした。周囲の空気が重くなり、彼らの視線が私に集中する。







突然、周囲の物が崩れ始め、彼らの足元に血が流れ出した。アレクシスは恐れ震え、リリーは悲鳴を上げた。私は心の中でほくそ笑んでいた。彼らが私にした裏切りに対する報いだと感じた。



しかし、次第に復讐の快感は恐怖に変わっていった。私の心の中に巣食っていた闇が、次第に私を飲み込んでいく。彼らの恐怖の顔を見続けるうちに、自分の心が壊れていくのを感じた。



「やめて…お願い、イリス…」



リリーの声が耳に残る。彼女は私の妹であり、同時に私の復讐の対象でもあった。しかし、彼女のその言葉には、私への愛情が感じられた。私は迷った。復讐を続けるべきか、それとも彼女を許すべきか。



その瞬間、あの白い女性の影が私のそばに現れた。彼女は私に微笑みかけ、次の瞬間、私の心に恐怖が押し寄せてきた。彼女の存在が、私の復讐をさらに強固にしようとしている。






私は一瞬、心が揺らいだ。リリーの目には涙が浮かび、アレクシスは震えながら私を見つめていた。私はその瞬間、復讐をやめることを選んだ。自分の心の闇に飲み込まれることを恐れ、彼らを許すことを決意した。



だが、白い女性の影は私の決意を許さなかった。彼女の笑顔が歪み、次の瞬間、周囲の世界は崩れ去った。



私が目を開けると、周囲には何も残っていなかった。ただ、真っ暗な空間で一人立ち尽くす私。復讐に心を奪われた私は、結局、何も得られなかったのだ。



私は永遠に、復讐の影に囚われる存在となった。妹や婚約者のことを忘れ、ただ一人、闇の中で彷徨うことになった。



私の名前はイリス。復讐を望んだ令嬢。だが、その代償として、私は最も大切なものを失ってしまったのだ。
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