29 / 150
29話
しおりを挟む
「……あんたはいったい何者ッスか?」
「俺はリッツ、渡した回復薬のせいでこんなことになるとは思わなかった。本当にすまない」
俺は瓶を回収するとカーラの元に戻る。
「そ、そんなことないッス! これ――これをみてくれッス!」
カーラは首元を開けると肌を見せてきた。
「昔、事故でここに大きな火傷を負ったんスけど跡形もなく綺麗に治ってるんスよ! あの薬はいったい……エリクサーって言ってたけどもしかして……!?」
「君が飲んだのは普通の回復薬だよ、不死なんてならないから安心してくれ」
半信半疑のカーラは自分の身体を確認している。
とりあえずここの連中は全員縛っておくか。
「だ、大丈夫ですかボス!?」
「気絶している……お前ら、中を調べてこい!」
仲間がいたか、一人も逃がす訳にはいかないしどうするかな~。
バタバタと走る音が迫ってくる。
「ど、どうするッスか!? いっぱい来るッスよ!」
「とりあえず君はアンジェロと一緒に机の下にでも隠れてて」
「ワン!」
アンジェロがカーラの服を引っ張り机に隠れるとすぐに男たちが部屋に入ってきた。
1、2、3……全部で五人か。
「誰だ貴様! ここで何をしている!?」
「いやー道に迷っちゃってさ。急に襲ってくるもんだから……正当防衛ってやつ?」
「ふざけんじゃねぇぞこら! やっちまえ!」
ほい、ほい、ほいっと。
男たちを手早く倒し窓から外に出る。
「なぜ戻ってきた? さっさとお前も中に――ぐあっ!?」
声がしたほうへ走ると体格のいい男がもう一人の男を倒していた。
「まったく、なんで君がここにいるんだ」
「シルエか! いやー助かったよ。そいつで最後?」
「君が一人も逃していなければな」
「それなら大丈夫だ。中に助けた女性がいるから部屋に戻ろう」
部屋へ戻りカーラに無事を知らせる。
「それでシルエはなぜここに?」
「王からの情報を元にギルド付近をうろついていたらあいつらに捕まってな。仲間がやられた代わりに聖人を連れてきたといったら、ボスへ報告に行けと言われてここにきたのだ」
「すまん。こいつらが組織の連中ってのはわかったんだが、それ以上の情報は得られなかった」
シルエは黙って部屋を見渡すと机の引き出しを開ける。そして中から書類の束を取り出した。
「情報ってのは人だけじゃない。ほかにもありそうだしここが奴らの拠点とみていいだろう」
それをみたカーラは慌てて俺たちを交互にみる。
「ちょ、ちょっと! 王って……それに組織ってなんのことッスか!?」
「ん~口外しないって約束できる?」
「おいリッツ、下手なことを教えると彼女の身が危うくなるぞ」
「実はすでに色々聞いちゃってるんだよねぇ。エリクサーのこととかも」
シルエはカーラをジッとみると部屋の出口に歩いていく。
「俺はここのことを衛兵に知らせてくる。彼女のことはお前に任せたよ」
シルエが出ていくと俺はカーラに簡単に説明した。
「それじゃあカルサスに現れた聖人ってのは……」
「別になりたくてなったわけじゃないんだがなぁ。カーラもこのことは他言しないでくれよ?」
「も、もちろんッス!」
口約束しかできないのは仕方がないな。
外が騒がしくなるとシルエが戻ってくる。
「今から衛兵がくるがほかにも組織の連中がいるかもしれん、君たちは先に戻ってたほうがいいだろう。リッツ、彼女を送っていってやれ」
「わかった、アンジェロ頼んだぞ」
「ワフッ」
裏手に出ると大きくなったアンジェロに乗る。
「この子、まさか神獣ッスか!?」
「君は何もみていないしアンジェロが大きくなるなんてことはありえない。いいね?」
「……だ、誰にも言わないッスよ」
カーラを乗せアンジェロが走るとあっという間に鍛冶場のあった路地にでた。
「ありがとう、もういいぞ」
「ワォン」
アンジェロを撫でると元の大きさに戻る。しばらく進み鍛冶場の近くまで歩いていく。
「カーラ! 無事だったのか!? 怪我は、怪我はないか!?」
カーラの父親は大慌てで走ってくるとカーラの体をチェックする。
「この人が助けてくれたッス。えっと……リッツさんっていうッス」
「君は……あのときはすまんかった! 娘を助けてくれて、本当になんと礼を言ったら……」
「気にしないでください。それよりお酒はほどほどにしないと、カーラさんが心配しますよ」
父親は罰が悪そうに頭をかきカーラをみた。
「それじゃ俺はこの辺で。何かあればすぐに衛兵に知らせてください」
「ま、待って! リッツさん……お礼がしたいから三日後の朝、ここに来てくれッス!」
「そんなの気にしなくても――わかった、それじゃあ三日後な」
カーラの必死の頼みに押され約束すると、宿に戻った俺はすぐ眠りについた。
「俺はリッツ、渡した回復薬のせいでこんなことになるとは思わなかった。本当にすまない」
俺は瓶を回収するとカーラの元に戻る。
「そ、そんなことないッス! これ――これをみてくれッス!」
カーラは首元を開けると肌を見せてきた。
「昔、事故でここに大きな火傷を負ったんスけど跡形もなく綺麗に治ってるんスよ! あの薬はいったい……エリクサーって言ってたけどもしかして……!?」
「君が飲んだのは普通の回復薬だよ、不死なんてならないから安心してくれ」
半信半疑のカーラは自分の身体を確認している。
とりあえずここの連中は全員縛っておくか。
「だ、大丈夫ですかボス!?」
「気絶している……お前ら、中を調べてこい!」
仲間がいたか、一人も逃がす訳にはいかないしどうするかな~。
バタバタと走る音が迫ってくる。
「ど、どうするッスか!? いっぱい来るッスよ!」
「とりあえず君はアンジェロと一緒に机の下にでも隠れてて」
「ワン!」
アンジェロがカーラの服を引っ張り机に隠れるとすぐに男たちが部屋に入ってきた。
1、2、3……全部で五人か。
「誰だ貴様! ここで何をしている!?」
「いやー道に迷っちゃってさ。急に襲ってくるもんだから……正当防衛ってやつ?」
「ふざけんじゃねぇぞこら! やっちまえ!」
ほい、ほい、ほいっと。
男たちを手早く倒し窓から外に出る。
「なぜ戻ってきた? さっさとお前も中に――ぐあっ!?」
声がしたほうへ走ると体格のいい男がもう一人の男を倒していた。
「まったく、なんで君がここにいるんだ」
「シルエか! いやー助かったよ。そいつで最後?」
「君が一人も逃していなければな」
「それなら大丈夫だ。中に助けた女性がいるから部屋に戻ろう」
部屋へ戻りカーラに無事を知らせる。
「それでシルエはなぜここに?」
「王からの情報を元にギルド付近をうろついていたらあいつらに捕まってな。仲間がやられた代わりに聖人を連れてきたといったら、ボスへ報告に行けと言われてここにきたのだ」
「すまん。こいつらが組織の連中ってのはわかったんだが、それ以上の情報は得られなかった」
シルエは黙って部屋を見渡すと机の引き出しを開ける。そして中から書類の束を取り出した。
「情報ってのは人だけじゃない。ほかにもありそうだしここが奴らの拠点とみていいだろう」
それをみたカーラは慌てて俺たちを交互にみる。
「ちょ、ちょっと! 王って……それに組織ってなんのことッスか!?」
「ん~口外しないって約束できる?」
「おいリッツ、下手なことを教えると彼女の身が危うくなるぞ」
「実はすでに色々聞いちゃってるんだよねぇ。エリクサーのこととかも」
シルエはカーラをジッとみると部屋の出口に歩いていく。
「俺はここのことを衛兵に知らせてくる。彼女のことはお前に任せたよ」
シルエが出ていくと俺はカーラに簡単に説明した。
「それじゃあカルサスに現れた聖人ってのは……」
「別になりたくてなったわけじゃないんだがなぁ。カーラもこのことは他言しないでくれよ?」
「も、もちろんッス!」
口約束しかできないのは仕方がないな。
外が騒がしくなるとシルエが戻ってくる。
「今から衛兵がくるがほかにも組織の連中がいるかもしれん、君たちは先に戻ってたほうがいいだろう。リッツ、彼女を送っていってやれ」
「わかった、アンジェロ頼んだぞ」
「ワフッ」
裏手に出ると大きくなったアンジェロに乗る。
「この子、まさか神獣ッスか!?」
「君は何もみていないしアンジェロが大きくなるなんてことはありえない。いいね?」
「……だ、誰にも言わないッスよ」
カーラを乗せアンジェロが走るとあっという間に鍛冶場のあった路地にでた。
「ありがとう、もういいぞ」
「ワォン」
アンジェロを撫でると元の大きさに戻る。しばらく進み鍛冶場の近くまで歩いていく。
「カーラ! 無事だったのか!? 怪我は、怪我はないか!?」
カーラの父親は大慌てで走ってくるとカーラの体をチェックする。
「この人が助けてくれたッス。えっと……リッツさんっていうッス」
「君は……あのときはすまんかった! 娘を助けてくれて、本当になんと礼を言ったら……」
「気にしないでください。それよりお酒はほどほどにしないと、カーラさんが心配しますよ」
父親は罰が悪そうに頭をかきカーラをみた。
「それじゃ俺はこの辺で。何かあればすぐに衛兵に知らせてください」
「ま、待って! リッツさん……お礼がしたいから三日後の朝、ここに来てくれッス!」
「そんなの気にしなくても――わかった、それじゃあ三日後な」
カーラの必死の頼みに押され約束すると、宿に戻った俺はすぐ眠りについた。
40
あなたにおすすめの小説
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる