異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん

文字の大きさ
116 / 158
留学帰国後 〜王宮編〜

139

しおりを挟む


「コ、コーネリアさぁ~ん!!!   キャッ」

「えっ、何これ、アリシアさんのおっぱい大きくなってない?これあり?」

「そうなんですの、急に成長したんですのよ、羨ましい」

「えっ、ちょ、ちょっと、お2人とも、いやぁんっ」

「これはけしからん話よ、エリー?」
「そうですわよね、まさかカーク様がお育てになったわけではないと思いますのよ」

「あっ、もうそのくらいにっ、ダメぇっ」

「あらやだ、ちょっと感度いいじゃない、これってまさか相手はエドじゃないわよね?」
「あらあらあら、でもあの方ならアリかもしれませんわよ?」

「いっ、いい加減にしてくださいよぉ、私のおっぱい揉んで何が楽しいんですかぁっ」



じたばた、と嫌がりながらも顔を赤くして潤ませるアリシアさん。
嫌ならもっと逃げればいいのでは…?と思いつつ後ろから襲う私とエリーなのでした。

ちょっと百合っぽいかしら?とはいえここに案内してきたオリアナは全く止める気もなく。(侍女としてどうなのか)



「いやー、いいもの堪能したわ」
「嫌がるアリシアさんも可愛かったですわよね」

「ふ、ふたりとも、意地悪です」

「でも大きくなったわよね?本当に相手はエドじゃないの?」
「まさか本当にカーク様ですの?それともドラン様ですの?」

「も、もう、その話題から離れてくださいよぉ!」



諦め悪く尋問した結果、どうやらただの成長のようでした。亡くなった母親もお胸の大きな方のようで…羨ましい限りです。



「も、もう!2人とも素敵な大きさしてるじゃないですか!」

「いや、私はアリシアさんほど成長しませんでした」
「私は母様が大きい方でしたから、まあ」

「エリーは元々いい大きさしてたからこうなってても不思議じゃないっていうか?アリシアさんは前はぺったんこだったじゃない?それがそこまで成長するっていうのはそれは男性の手によるものかなとか思うじゃない」

「な、何もありませんよぉ!」

「・・・(ヘタレカークめ)」
「・・・(まったくですわ)」



この間の夜会を見るに、カーク殿下はアリシアさんに惚れている。そしてアリシアさんもカーク殿下に想いを寄せている…はずだ。エリーからの話を聞いてもそうに違いない。

私が不在のこの1年余り、2人はかなり学園において急接近していたようだ。決め手はカーク殿下が自らの想いをきちんと自覚したことによるものらしい。
それを見届けたからこそ、エリーはシリス殿下の婚約者の話を受けたのだそうだ。



「で、本日私を呼んだのはカーク殿下とのラブラブいちゃいちゃ話を聞かせてもらえるとか」
「あら、それは是非お聞かせ願いたいですわ」

「らっ、ラブラブって、ありませんよそんなの!」

「ん?腹を括ったんじゃないの?アリシアさん」



じっと見つけると、アリシアさんはモジモジしながら小さな声で『・・・はい』と答えてくれた。

私もエリーもにんまり、と笑ってしまったのは仕方の無い事だと言えよう。



「んふふふ、良かったねアリシアさん」
「ええ、私からも、良かったですわ」

「2人とも、ありがとうございます。エリザベスさんには一体なんてお礼をしていいか、あの」

「必要ありませんわ。あのまま私がカーク殿下の婚約者となっていても、婚姻を結んでもそれ以上の想いは育めませんでしたでしょうから。
自覚してからのカーク殿下も変わりましたもの。素敵な男性になりましたわよね」

「そうね、まだ話をした訳じゃないけど、何か芯が通ったというか」

「カーク様は、かなり変わられましたよ。以前とは比べ物にならないくらい、その、素敵です」



嬉しそうに想い人の話をするアリシアさんはとても綺麗で、可愛くて、私も幸せな気分になる。
エリーもそれは同じようで、心からの祝福を送っているようだった。エリーの幸せは別のところにあるのだと思う。



「さて、アリシアさんをいじめるのはこの辺りにして。アリシアさん、相談したい事があるのよね?」

「え、やっぱりいじめてたんですね・・・と、そうなんです、私だけではちょっと対処しきれなくて。
エリザベスさんに相談をするのも気が引けたんですけど」

「私に言いづらい、という事は・・・神殿関係ですわね?」

「・・・はい」



********************



アリシアさんの話は、このようなものだった。

2回目の『星姫』の要請が神殿からあった。自分は名誉な事だと思い、もちろん承諾した。
当日の打ち合わせの為に、神殿へと出向いた時の事。
その年の『星姫』は自分ともう1人だった。

もう1人の名は、レオノーラといった。
神殿所属の巫女だという。アリシアさんは自分にも分かるくらい、聖属性の魔力を感じた。

神殿の方からも、巫女頭を務める有能な巫女なのだと説明を受けた。アリシアさんは素直に『凄い人なんだ!』と思ったらしい。
レオノーラさん本人からも丁寧な挨拶を受け、今年は2人だけど頑張ろうと決めたらしい。

しかし、異変はそれからだったのだという。



「顔を合わせる度に、なんだか冷たく当たられて・・・私も何か不愉快にさせることをしたのかと思い返したんですけど、特に接点がないのでなんとも言えなくて」

「ふんふん」
「まあ予想通りですわよね」

「巫女頭さんなので、神殿でのお役目もあるのだそうです。時折打ち合わせに間に合わない時もあって、その時は別の巫女さんが言付けをしにきてくださってたのですけど」

「何か言ってた?」

「・・・『穢れたものが聖女になれると思い上がるな』と」

「その穢れって何なのよ」
「俗世に塗れた、という意味でしょうね。神殿にいる巫女達は皆、幼少期から外界と隔絶されて神殿内で育ちますから。潔癖な巫女もいるそうですのよ」

「私も、その話は神官様から聞きました。そのような事を口走る未熟な巫女がいて申し訳ないと。
私は初めてそこで自分が『聖女』候補に上がっていると知らされたんです」

「アリシアさん、『聖女』って何か知ってたの」
「コーネリア、この国で知らない人はいませんわよ」



私はほとんど知らなかったが、『聖女』というのはかなり有名らしい。聖属性の魔力の高い巫女が『聖女』という称号を受けることがあると。それは『星姫』と同じように誉れとされるらしい。



「先代の『聖女』様はその時の国王陛下の側妃として迎えられたそうなんです」

「上級貴族でなければ王族に嫁ぐ事はありませんの。ですから世俗と縁を断っている巫女が目を掛けられるには『聖女』となる他ありませんわね。
巫女とはいえ、適齢期となれば貴族に見初められて妻、あるいは妾として神殿を出ていくことが許されるんですの。それがなければあの方達は一生巫女として過ごすのですわ。
または神官たちの慰めとして神の花嫁となりますの」

「えっ、それって『神の花嫁』って言うの?」

「巫女を娶れるのはそれなりの権力がないといけませんのよ?
貴族の妾となるのとどちらがいいのかはわかりませんけれど」

「その、レオノーラさんは『聖女』候補として神殿内では公然の方なんだそうです。ですけど、一部からは私がその、『聖女』に相応しいという方もいまして」

「えーと。アリシアさんはどうしたいの?」

「わっ、私は別に『聖女』とならなくてもいいんです!というか、私の目標は士官となって、国の役人となることなんですから!」

「そんなものにならなくても、もうカーク殿下がパクッとアリシアさんを頂いてしまえば済む話なのでは?」
「そうですわね、確かに」

「えっ・・・?パクッと・・・?」



確か『星姫』の選考基準に『清らかな身の上』ってなかった?
だからすなわち、カーク殿下と既成事実を作ってしまえば、いわゆる『乙女』でなくなるのだし。

でもってカーク殿下にはアリシアさんを捕まえる気はあるわけで。アリシアさんにもカーク殿下に捕まってもいいという気持ちはあるのだから。
これって一石二鳥ではない???



「さすがコーネリアですわ」
「えええええ!?そ、そんなのって、えっ!?」

「いやヤっちゃえとは言わないけど、いわゆる『既成事実』というか、周りに恋人同士と見せつければその『聖女』認定というやつは降りないのではと」



まあこれ本人同士の気持ちというか勢いというか、必要なのですぐにとはできないかもしれないけど。
カーク殿下にそれとなく、そろそろ捕まえないと他の誰かに攫われちゃうわよ、と発破をかけるのもいいかもしれない。

エリーがとてもいい顔で微笑んでいるので、その辺りは任せることにしようかな?と思う。



「まあ変な事になりそうだったら、私がタロットワークの権力使ってなんとか穏便にするから」

「えっ、いえ、そういう事をお願いするのは嫌です!」

「まあまあ、私が出るのもエリーが出るのも同じようなものだし」
「そうですわね、どっちにしろ使えるものは使わないとですわよ、アリシアさん」



まあその前に第2王子の権力振り翳してもらうけどね?
ここは友人よりも『王子様ナイト』の役目でしょうからね。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】契約結婚は円満に終了しました ~勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい~

九條葉月
ファンタジー
【ファンタジー1位獲得!】 【HOTランキング1位獲得!】 とある公爵との契約結婚を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。 花を包むビニールがなければ似たような素材を求めてダンジョンに潜り、吸水スポンジ代わりにスライムを捕まえたり……。そうして準備を進めているのに、なぜか店の実態はお花屋さんからかけ離れていって――?

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...