異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん

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留学帰国後 〜王宮編〜

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国王陛下に帰国報告をしてから1週間。
私の毎日は、魔術研究所でのお仕事に、勉強。
週に数度、王宮へ出向いて書庫の書物を呼んだり、王妃教育を受けているエリーとお茶をしたりという生活です。

エリーはシリス殿下の婚約者と正式に認められてからというもの、生活の場をローザリア公爵家から王宮に移している。
その方が警備面からも安全だし、王太子妃として未来の王妃教育を受けるという勉強もある。

一応、学園に籍を置いている都合上、月に数回は通っているそうだ。

私のかつての学友達の事を記しておくと、まず、キャズ。

キャズ・シールケに関しては、既に学園を卒業。
本来、学園は2年制となっている。
1年次は全体教育、2年次は専門教育。そして3年次は希望者のみの在籍となるらしい。私の場合は留学していたため、2年次の続きとなるはずだったのだが、諸般の事情のため卒業扱いとなった。

キャズは2年で卒業を選び、今は冒険者ギルドの職員として働いているそうだ。残念ながら今は王都ではなく、別の街にいるとの事。
一応手紙は出しているので、本人の都合が付けば会いに来てくれるそうだ。

ディーナ・クロフト。彼女もまた、学園は卒業していた。
現在、王国騎士団に入隊しているらしい。まだ1年目の為、各地に赴き任務中とのことだ。

ケリー・クーアンも同じく。王国騎士団に入隊し、ディーナと共にルーキーと呼ばれて将来を期待されているらしい。
…もしかしたらディーナとくっついたりしないのかしら?

ドロシー・ライメリン。彼女も学園卒業後、さらなる薬師の腕を磨く為に他国に留学中。
どうやら私と入れ違いに神公国ガゼルへ行ったらしい。ガゼルは神殿の力が強いだけに医療国家としても力を入れているのだと言う。
きっとさらに素敵な薬師さんになってくるに違いない。

メグ・バートン。エル・エレミア王国でも一二を争うバートン商会の一人娘。学園卒業後、さらなる商人の腕を上げるために、現在トルク・メニール国に修行に出たらしい。
どうもゼクスさんの妹さんが嫁いだフレーベル商会に弟子入りしたそうで、現在向こうで勉強をしているそうだ。

皆それぞれ、自分の夢に向かっている。
私が戻ってきた事を知らせると、逢いに行くから!と返事をくれた。忘れないでいてくれたことが嬉しい。

アリシアさんに至っては、現在学園に在学中のようだ。
どうやら士官候補生として、学園と王宮とを往復し、勉学に励んでいるらしい。その側にはカーク殿下の姿もあると…
神殿も彼女を重要視していて、『聖女』認定も近いのではと噂されている。ここはちょっと調べないと…かな?
アリシアさんが変なことに巻き込まれないといいのだけど。

オリヴァー・ドラン。彼もまた学園に在学中。王国騎士団にも所属し、本格的に騎士への道を進むようだ。

エドワード・サヴァン。彼もどうやら大変らしい。
聞いた所によると、彼の兄達はいずれも外交官として伯爵家を継がないとの噂。残ったのは三男のエドワードなので、もしかしたら彼がサヴァン伯爵となる事もある…という話だ。
確か前に『どうなるかわかったもんじゃないんだよな』みたいな発言してたような?
会うことがあれば、話をしてみるのもいいかもしれない。

スチュアート・カーティス。ステューに関しては、蓬琳にいた時も話はよく聞いていた。私が留学する前から、彼は音楽家として各地を飛び回っていたのだから。
今もカーティス侯爵家は、誰を嫡子として行くのかを決めかめているのだそうだ。現在のカーティス侯爵はステューに継がせる気のようだけど、それを察しているのか全く帰ってこないらしい。彼らしいというかなんというか…



「・・・それにしてもよくこんなに調べていたものね」

「それは勿論、お戻りになったコーネリア様が気になさるだろうと思いまして」



トポポポポ、と横で紅茶を注いでくれるセバスさん。
今日の紅茶はダージリンにおやつはフィナンシェです。美味。



「アリシアさんの事なのだけど」

「アリシア・マールですね。何をご希望でしょう」

「この『聖女』認定というやつは何?」

「神殿でのひとつの称号・・・のようなものでございますね。
アリシア・マールは既に2度の『星姫』としての役目を果たしております。通常『星姫』は神殿に所属する未婚の巫女達から選ばれるものですので、市井に暮らす一般の乙女が選ばれる事は稀です。
『星姫』が選ばれる基準として、未婚であること、清らかな身の上であること、聖属性の祝福が行えること、と幾つか条件もございます。
それ故に『星姫』は1代限りのお役目でもあるのです」

「それが2年続けて、は異例?」

「そうですね、過去なかった訳ではないのでしょう。ただし『神殿の巫女』という但し書きが付きますが」

「アリシアさんは後天的に聖属性が発現した身でもあったわね」

「はい、それも大きいかと思います。生まれつきでもなく、後天的に発現したのもそうですが、アリシア・マールの魔力は現在神殿所属の巫女達にも引けを取らないと」

「そこんとこ詳しく」

「アリシア・マール以上の祝福を行える巫女はいないそうです」



これはきましたか?テンプレですか?
そりゃー、神殿のお偉いさんも『聖女』認定したくなっちゃうわよねえ。『聖女』って括っとけば神殿の巫女よりも力が強くてもそりゃしゃーないわ、ってなるもんねえ。

ただ、そうなるとねえ…



「面白くない、って思う人も・・・出てくるわよね」

「コーネリア様のお考えの通りかと」



私の手元には一通の手紙。
まさに今話題のアリシアさんからだ。時間が許すならば、会って相談したい事があるから予定はどうだろうかと聞いてくる内容だった。

アリシアさんらしく『できれば、でいいんです!お忙しいのは知ってますから!無理しないでください!』と言ってはいるが。

そもそもアリシアさんは他人に『助けて』なんて縋るような子ではない。学園ではカーク殿下やエリーとのゴタゴタがあったけど、彼女にはしっかり友達と呼べる間柄の子がいた。
それに、私が留学中はエリーと仲良くなり、今でも話をする仲のはずだ。エリーにも招集かかっているのかな?

私は先にエリーに事情を聞いてみる事にした。
久々に通信魔法コールを使ってエリーに手紙を出せば、ものの数分で返事が来た。



『お任せくださいまし、明日はいつも通り遊びにいらして』

「・・・ほーんと、優秀よね、エリー」

「ローザリア公爵令嬢が王太子妃になってくださることはこの国にとって最良の選択と言えるでしょう」

「あら、セバスさんの考える『最上』って何かしら?」

「それは勿論、言わずもがな、でございますよ」

「あら怖い」



セバスさんの思い描くこの国の『最上』って何かしらね?

まさかゼクスさんを国王として抱く未来かしら?
それはまたゼクスさんの自由を奪う事だから、別のことなのかもしれないけれど…

聞いてはみたいけれど、聞いたら何も無かった事にできないかもしれないから、黙ってよっと。

しかしエリーが調べたカイナスさんの女性関係…
木曜の夜ドラマみたいにちょっとイケナイ感じがしてドキドキするわぁ…。このオランディア男爵夫人とのロマンスも大人の関係で素敵だけど、こんなに狙ってる令嬢がいるとはね。

カイナスさんもいい大人だし、肉体関係を持つようなご婦人の1人や2人はいて当たり前だと思うけど…ちょっと嫉妬しちゃうな。

私もこのアントン子爵令嬢みたいに『好きです!私を見て!』って言えるならスッキリするんだけど。
…それはフレンさんに言ったように、私の正体を明かすわけにはいかないから無理な話よね。

あーあ、好みなのに…残念だわ…

美味しい紅茶を飲みながら、溜息をつくのを止められない私でした。

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