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【完結】ご挨拶
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学園が始まる前にエクトルが挨拶に来た
「初めましてバシュレ伯爵、私はエクトル・グリントです」
にこりと笑うエクトル
「グリント侯爵、ようこそいらっしゃいました。お会いできるのを楽しみにしていました」
握手をする二人にアイリーンはドキドキが止まらない…
「アイリーン嬢と婚約させて貰いました、急なお願いを聞いていただいてありがとうございました」
…わぁ!エクトル様カッコいい
父マクシミリアンと物怖じなく話をする姿が立派である。
まだ若く二十歳になったばかりだと言う。
若くして侯爵を継ぐだけある…
黒髪をオールバックに整えて、いつもより大人に見える…
話は盛り上がっている様だ…良かった
「家族を紹介させて下さい」
マクシミリアンが執事に目を向ける、すると母オルガ兄ラウル姉シュゼットが順番に紹介される。皆笑顔で迎えてくれた。
セドリックの話になり、領地の話になり出会いの部分は少しぼやかし、和気藹々と歓談は進んだ。
「アイリーン、侯爵様にお庭をご案内したら?」
母に言われ案内することにした
「エクトル様ごめんなさい、疲れたでしょう?みんなからの質問攻めで…」
アイリーンが申し訳なさそう言うと
「いや、楽しかったよ、私は一人っ子だから賑やかで羨ましい」
「そう言ってくれたら嬉しい…」
今日のアイリーンの衣装は侍女に用意されたグリーンのワンピースだった
「さっきから気になってたんだけど、今日の衣装の色って…」
エクトルの瞳の色だ
「エクトル様の瞳の色を…」
顔を赤くする…恥ずかしい…明らかに狙っている
「…嬉しいもんだな似合っている、今度ドレスをプレゼントしても良い?」
「うん、嬉しいです」
目が合いふふと笑い合い手を繋ぐ、外がガヤガヤと煩くなってきた…
「何かしら?」
エクトルと共にエントランスへ向かうとフランクがいた
「アイリーンに会わせてください!帰ってきているんでしょう?」
護衛がまたか、と言う顔をして追い払おうとしている
「アイリーン?」
ゾッとした顔をするアイリーンに声をかけるエクトルがギュッと手を繋いで共にエントランスへと向かう
「アイリーン!」
アイリーンの顔を見て叫ぶフランク
「…だれだ、その男?」
機嫌悪そうにエクトルを睨む
「やぁ!アイリーンの元婚約者殿、アイリーンを手放してくれて感謝するよ、今は私の婚約者となったんだ、ねぇアイリーン」
アイリーンと繋いでいる手にキスをするエクトルに幸せそうに微笑むアイリーン
「はぁっ?俺と言うものがありながら、浮気か!アイリーン!」
フランクが叫ぶ
「何を言っている?婚約は破棄されているだろう?君が望んだ事だと聞いているよ…」
エクトルが呆れた口調で返す
「自分の浮気を棚に上げて、私の事を弾糾するなんて…アイリーンを返せ」
…何を言っているのだこの男は
…本当に幼馴染のフランクだろうか?
小さい頃は優しく勉強家で皆んなに慕われていたはず…
どうしてこうなった?分からない
頭をふるふると振るアイリーン
「おまえはっ、俺のことを好きだっただろう!だからエイプリルに嫉妬してだろう!少し外側が変わったからと言って中身は可愛くないままだ!」
「アイリーンを侮辱するのはよせ」
ジロリとフランクを睨むエクトル
「アイリーンと話をさせろ」
「アダムス様、どうぞお帰りください。
貴方と過ごした長い年月が苦だったと思いたくないのでこれ以上嫌いにさせないで!
エイプリルを巻き込んだのだから、幸せにしてあげて下さい」
頭を下げるアイリーン
「アイリーン何を言う、おまえは私が好きだっただろう!」
「…そうだったかもしれません、私は恋というものをよく分かっていませんでした」
「それならっ!」
「アダムス様は愛する人を見つけたと仰いました、とても悲しかったですけど、愛する人といられるのはとても幸せなことなんですね、最後に貴方に教えていただきました。
私はこちらのエクトル様と一緒に居たいのです」
ギュッとエクトルの手を繋ぎ直し笑顔でエクトルを見ると笑顔で頷いてくれた
「フランク殿と仰ったか?私はグリント侯爵家のエクトルと言う、今後一切私の婚約者の名を呼び捨てにしない様に、それとこの家には二度と来るな、良いな?」
笑顔だが威圧するような物言いだ
「グリント侯爵家……」
さぁ…っと顔を青褪めるフランク
アダムス伯爵はグリント前侯爵に色々と領地経営についての教えを乞うていた、頭が上がらない家であった…
「アダムス様、婚約を破棄してくださって本当にありがとうございました、エクトル様と出会えたのは貴方のおかげだわ」
にこっと笑う元婚約者の顔はとても綺麗だった…
逃した魚は大きいとよく言うが意気消沈と帰っていった
「はぁ、スッキリした!」
うーんと体を伸ばすアイリーン
初めてフランクに自分の思いを伝えた様な気がする。
今まではウジウジと思っていても拗ねてばかりだった。
幸せを掴むためには本心を…素直にならなくては逃げていく
「ぶっ、くっくっく…やっぱりアイリーンは面白いな、婚約を破棄してくれた彼には感謝だ」
くるっとエクトルの方に体を向き
「幸せにして下さいね、エクトル様」
「もちろん」
エクトルがアイリーンの頬にキスをするのをこっそりと家族が見ていた事をアイリーンは知らない…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【完】
「初めましてバシュレ伯爵、私はエクトル・グリントです」
にこりと笑うエクトル
「グリント侯爵、ようこそいらっしゃいました。お会いできるのを楽しみにしていました」
握手をする二人にアイリーンはドキドキが止まらない…
「アイリーン嬢と婚約させて貰いました、急なお願いを聞いていただいてありがとうございました」
…わぁ!エクトル様カッコいい
父マクシミリアンと物怖じなく話をする姿が立派である。
まだ若く二十歳になったばかりだと言う。
若くして侯爵を継ぐだけある…
黒髪をオールバックに整えて、いつもより大人に見える…
話は盛り上がっている様だ…良かった
「家族を紹介させて下さい」
マクシミリアンが執事に目を向ける、すると母オルガ兄ラウル姉シュゼットが順番に紹介される。皆笑顔で迎えてくれた。
セドリックの話になり、領地の話になり出会いの部分は少しぼやかし、和気藹々と歓談は進んだ。
「アイリーン、侯爵様にお庭をご案内したら?」
母に言われ案内することにした
「エクトル様ごめんなさい、疲れたでしょう?みんなからの質問攻めで…」
アイリーンが申し訳なさそう言うと
「いや、楽しかったよ、私は一人っ子だから賑やかで羨ましい」
「そう言ってくれたら嬉しい…」
今日のアイリーンの衣装は侍女に用意されたグリーンのワンピースだった
「さっきから気になってたんだけど、今日の衣装の色って…」
エクトルの瞳の色だ
「エクトル様の瞳の色を…」
顔を赤くする…恥ずかしい…明らかに狙っている
「…嬉しいもんだな似合っている、今度ドレスをプレゼントしても良い?」
「うん、嬉しいです」
目が合いふふと笑い合い手を繋ぐ、外がガヤガヤと煩くなってきた…
「何かしら?」
エクトルと共にエントランスへ向かうとフランクがいた
「アイリーンに会わせてください!帰ってきているんでしょう?」
護衛がまたか、と言う顔をして追い払おうとしている
「アイリーン?」
ゾッとした顔をするアイリーンに声をかけるエクトルがギュッと手を繋いで共にエントランスへと向かう
「アイリーン!」
アイリーンの顔を見て叫ぶフランク
「…だれだ、その男?」
機嫌悪そうにエクトルを睨む
「やぁ!アイリーンの元婚約者殿、アイリーンを手放してくれて感謝するよ、今は私の婚約者となったんだ、ねぇアイリーン」
アイリーンと繋いでいる手にキスをするエクトルに幸せそうに微笑むアイリーン
「はぁっ?俺と言うものがありながら、浮気か!アイリーン!」
フランクが叫ぶ
「何を言っている?婚約は破棄されているだろう?君が望んだ事だと聞いているよ…」
エクトルが呆れた口調で返す
「自分の浮気を棚に上げて、私の事を弾糾するなんて…アイリーンを返せ」
…何を言っているのだこの男は
…本当に幼馴染のフランクだろうか?
小さい頃は優しく勉強家で皆んなに慕われていたはず…
どうしてこうなった?分からない
頭をふるふると振るアイリーン
「おまえはっ、俺のことを好きだっただろう!だからエイプリルに嫉妬してだろう!少し外側が変わったからと言って中身は可愛くないままだ!」
「アイリーンを侮辱するのはよせ」
ジロリとフランクを睨むエクトル
「アイリーンと話をさせろ」
「アダムス様、どうぞお帰りください。
貴方と過ごした長い年月が苦だったと思いたくないのでこれ以上嫌いにさせないで!
エイプリルを巻き込んだのだから、幸せにしてあげて下さい」
頭を下げるアイリーン
「アイリーン何を言う、おまえは私が好きだっただろう!」
「…そうだったかもしれません、私は恋というものをよく分かっていませんでした」
「それならっ!」
「アダムス様は愛する人を見つけたと仰いました、とても悲しかったですけど、愛する人といられるのはとても幸せなことなんですね、最後に貴方に教えていただきました。
私はこちらのエクトル様と一緒に居たいのです」
ギュッとエクトルの手を繋ぎ直し笑顔でエクトルを見ると笑顔で頷いてくれた
「フランク殿と仰ったか?私はグリント侯爵家のエクトルと言う、今後一切私の婚約者の名を呼び捨てにしない様に、それとこの家には二度と来るな、良いな?」
笑顔だが威圧するような物言いだ
「グリント侯爵家……」
さぁ…っと顔を青褪めるフランク
アダムス伯爵はグリント前侯爵に色々と領地経営についての教えを乞うていた、頭が上がらない家であった…
「アダムス様、婚約を破棄してくださって本当にありがとうございました、エクトル様と出会えたのは貴方のおかげだわ」
にこっと笑う元婚約者の顔はとても綺麗だった…
逃した魚は大きいとよく言うが意気消沈と帰っていった
「はぁ、スッキリした!」
うーんと体を伸ばすアイリーン
初めてフランクに自分の思いを伝えた様な気がする。
今まではウジウジと思っていても拗ねてばかりだった。
幸せを掴むためには本心を…素直にならなくては逃げていく
「ぶっ、くっくっく…やっぱりアイリーンは面白いな、婚約を破棄してくれた彼には感謝だ」
くるっとエクトルの方に体を向き
「幸せにして下さいね、エクトル様」
「もちろん」
エクトルがアイリーンの頬にキスをするのをこっそりと家族が見ていた事をアイリーンは知らない…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【完】
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