私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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リアンさんの家

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 わぁ……ここは……森なのか、な?

「マリアどうした?」

 どうしたもこうしたもないよね。広大な敷地だ……。王都から程近い立地で少し小高いところにあって、街並みが見渡せる、ナイスビューだ。

「え……驚いています。リアンさんすごいね」
 
 うちも広いんだけど、ここは王宮ですか? って見間違っちゃうほど豪華だった。別次元?

「すごいのは父だろう。元王族だからね。ここは王家の別邸だったんだが譲り受けた。父がこの邸と場所が好きだったらしい。臣下へ下る際、リストに挙がったからラッキーだったと聞いた」

 邸の案内をしてくれていた。家族で一週間お世話になるんだけど、パパやママ兄さまは仕事もあるから忙しくなりそうだって言っていた。リアンさんはなんとか五日間休めるらしい。急ピッチで家を継ぐ準備を進めているみたいで、驚くほど忙しいみたい。リアンさんが仕事の時は兄さまとお出かけ予定で、首都の街へ行くのが楽しみだ。

「迷子になっちゃいそうだね。これだけ木があったら夏は涼しそう」

「あぁ……それなら池があるから涼むのにはちょうどいいかもな。舟遊びも出来るぞ」

 船遊びできる池って……中々ないよね。池じゃないのでは? 


「リアンさん大変だったね……幼女を拾ったばかりに、山奥でサバイバル生活をして……」

 天国と地獄? みたいな生活の差だよね。超セレブのお坊ちゃんが田舎でのサバイバル生活。

「なんだよ……サバイバル生活……幼女って犯罪みたいじゃないか。何度も言うけれど、すごく疲れていたからあの時は追っ手さえ気をつけていれば楽しい生活だったぞ。料理は……適当だったけどな」

「えぇ! リアンさんの作ってくれる野菜スープ好きだったよ。サンドイッチも美味しかったよ」

 器用じゃないけど優しい味がした。お母さんの味? みたいな? 実際ママはお料理はしないけどね。例えるとなるとお母さんの味?

「魚釣りしたり、猟をしたり……のんびりしていたな。懐かしく思うよ」

 爵位を継ぐ準備や通常の業務……きっと顔には出さないけれど大変だよね。


 お庭を案内されていて休憩のためにお茶をする事になった。事前に言ってあったのだろう。四阿にお茶が準備されている、ベンチにはクッションもあって至れり尽くせりだね。

 お茶をしてまったりしていたところで、リアンさんの横に移動した。膝にクッションを置いてポンポンとクッションを叩く。

「リアンさんここに頭のせて、横になって」

「……急にどうした?」

「リアンさん疲れているでしょう? だから甘やかせてあげたくなったの。ほらほら早くっ」

 もう一度ポンポンとクッションを叩く。

「……いや。遠慮して、」

「良いから~少しだけ、ね!」

 リアンさんは言い争いを面倒に思ったのか頭を大人しくクッションに沈めた。


「本当は直接膝枕したいけれどリアンさんの高さに合わないから……」

 リアンさんの髪の毛を撫でた。

「……これも誘惑作戦なのか?」

 ……誘惑っ!


「忘れてた! だってリアンさん忙しいのに五日も休んでくれて。きっとお邸でも仕事するでしょう? 負担になりたくないよ……」
 
「負担なんて思っていない。マリアだって忙しいのにわざわざ数日もかけて来てくれたじゃないか。両親があんなに喜ぶとは思ってなかった。心配かけていたから親孝行出来た。マリアに感謝だよ」

 ……思ってもいない言葉がもらえて涙が出てきた。ポツリとリアンさんの頬に落ちた。

「どうしたー?」

 リアンさんの指が私の目元を拭うようにして触れた。

「どこに泣く要素があった?」


 全部だよ! リアンさんが素直になると胸の奥がこうざわざわってなって、きゅんってなって、気持ちが溢れるんだよ。

「やっぱりリアンさん好き」

 そのままぎゅっとリアンさんの頭を抱きしめた。

「おい! やめろ」

 ぎゅうぎゅう抱きしめていたら、背中をタップされた。

 そして力を緩めるとリアンさんの顔は真っ赤で

「俺を殺す気か!」

 って言って起き上がってしまった!
 

「もう膝枕は終わり? 疲れているでしょう? もう一回、」


 

「やめておく……くそ。俺の負けだ」

 相変わらず顔が赤いリアンさん。そんなに苦しかったのか……力加減って難しい。


「何か勝敗つく事あった? いつの間にかマリア勝ってたの?」


「マリアが……好きだ。ちゃんと一人の女性として……」


 

 ……えっ!
 
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