婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

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マークお兄様?

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「ありがとうございました」

 過呼吸を起こしてしまった男性と女性に礼を言われた。

「いえいえ、無事で良かったですわ。倒れた際にどこかぶつけたりしませんでしたか? 後から痛くなることもあるかもしれませんので養生なさってください」


 男性からお礼としてシャンパンをプレゼントされた。あれ? これって結構値が張るわよね? この地方で作っている王都でも人気のシャンパン。

「いただけませんわ。大した事はしていませんもの」

 そう言って断ると


「今日彼女にプロポーズするはずだったのですが、極度な緊張のあまり過呼吸を……情けないです。また、後日改めてプロポーズしたいと思うのでこれは不要になってしまいました。どうか貰ってください」


「え……プロポーズ」

「あぁ……」


「嬉しいわ、ちゃんと考えてくれたのね」

 女性は男性に抱きついた。


「こんな情けない僕だけど結婚してくれる?」

「当たり前でしょう、もちろん答えはYESよ」


 周りのお客さんは新たな夫婦になる二人に拍手をしていた。


「あら、それではこのシャンパンは皆で乾杯ということですよろしいですか?」


 アリスがシャンパンを持ちながら笑顔で男性に言うともちろんです。と言ってシャンパンを追加する事に。

 店主の案でグラスをタワーにして上から注ぐ。夕日と照明も相まって幻想的な色合いになり幸せのお裾分けという感じになった。


 陽が長くて良かったわ。こんな美しい光景が見られるなんて!



 お腹もいっぱいなって、アルコールも口にして、満足し宿へ戻ることにした。ショーンとミリーに勝手な行動を責められると思ったけれど、人命救助をしたので仕方がないと言われた。

 これからはちゃんと私達に言ってから行動する事! と約束をさせられた。でも後悔はしていないのよ。と言ったら、二人とも苦虫を噛み潰したような顔をした。


「兎に角! 危険な目にあっては困りますからお嬢様自ら目立つ行動は控えてください」

 とだけ言われたのでそこは、はい。と返事した。


 宿に泊まり朝を迎えた。今日は一日町を散策する予定にしている。伯爵家のお嬢様だと朝一から気軽にフラフラ出掛けることは出来ないもの。楽しみだわ。


 朝市へと行くと新鮮な野菜やフルーツが並んでいる。この町は大小の川が流れていて水が豊富で作物がよく育つみたいね。


 屋台で野菜のスムージーを買って公園へと向かう。

「野菜の味が濃くて美味しいわね。身体に良さそう」

 スムージーを飲み終えて、ベンチを立つ。また朝市を見ながら散策しようとしたときだった。人が多くて男の人に肩をぶつけてしまった。

「きゃっ!」

「申し訳ない。お嬢さん大丈夫、か、ん?」

「え?」

「「あ……」」

「「…………」」

 男の人と目が合いお互い無言になった。なんでかと言うと……


「あ、あの失礼しま、」
「ちょっと待った!」


 とおせんぼされてしまった……


「何か?」

 ミリーとショーンがすっと横に立ちショーンが男の人に声を掛ける。不審者ではないんだけど、今はちょっと。ね。


「アリスちゃん、何でここにいるんだ?」


 やっぱりバレた……ここはお母様の友人の伯爵領。よくお茶会で夫人の家族にも会っていて親交がある。まさかと思っていたけれど、偶然ってあるのね。


「マーク、お兄様……お久しぶりです」


 マークとはテイラー伯爵家の嫡男でお兄様と呼ぶような関係。


「やぁ。久しぶりだね。学園は今頃休みだよね? なんでこんなところにいるの?」


 ウォーカー子爵領より遠いテイラー伯爵領にもまだ私の噂が届いていないみたい。


「ちょっとね……旅行というか、気晴らしといいますか」

 絶対バレるような嘘だ。ショーンもミリーもはぁっとため息を吐いた!


「そんな格好でかい? それにブラック伯爵夫妻もまだ帰国途中だろう? 母が帰ってきたらお茶会をすると張り切っていたし、婚約者を放っておくのは良くないよ」


 じっと私の目を見てくるマークお兄様。目が泳いできた……


 ショーンとミリーに助けを求めようと思い見るが、首を振られた。降参しろと言うことね。


「マークお兄様、その事でお話があるの」

 言いにくそうに言うと何かを察したようだ。


「僕の行きつけの店があるんだけど、個室があるからそこへ行こう、いいかな?」


「えぇ」


 そして歩く事五分、こじんまりとした隠れ家的なカフェへと着いた。


 マークお兄様が扉を開けるとカランカランと心地の良いベル音が鳴った。


「おはよう。まだ早いけど良い?」


 店主に声をかける。

「おはようございますマーク様。用意できるものは限られるけれど良いですよ。どうぞ」

 気のいい感じのマスターだった。自宅兼カフェという感じ。


「朝早くからすみません。お邪魔します」


 会釈してマークお兄様の後をついていく。個室に入るとマークお兄様から説明を受けた。


「うちの領土はスイーツの大会が行われるほど有名なんだ。ここのマスターは大会に出ないが僕は一番美味しいと思っている。それにここなら邪魔が入らない。うちの屋敷に来てもらっても良いけど、訳ありっぽいからここに来たんだ」


 伯爵家にお邪魔すると、私に何かあった時にテイラー伯爵にも迷惑がかかるわね。
 

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