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隣国のパーティー
しおりを挟む「アーネスト殿! 珍しいな。とうとう結婚を?」
隣国の伯爵家のパーティーにアリス嬢と出席した。
「いや。残念ながらそうではなく、私の仕事を手伝ってもらっているのですよ」
アリス嬢を紹介した。今日のアリス嬢は気品があってとても美しい。紺色と白の色合いはアリス嬢の肌の白さを引き立て、上品で、美しくも可愛らしく……褒め言葉しか出てこないのだ!
「こんな美しい人があんな辺境に? それは勿体無いな! 良かったらダンスを一曲、」
「えぇ、喜んで。アーネスト様よろしいですか?」
「もちろんですよ。すぐに戻ってきてくださいね」
先ほどアリス嬢と一曲踊ってきたのだが、とても踊りやすくあっという間に終わってしまったのだった。アリス嬢がダンスをしている姿をぼぉーっと見ていた。軽やかにステップを踏む姿を見て胸が苦しくなる。努力の結晶なのだろう。と。
「アーネスト殿では無いか!」
「あぁ。テリー殿か、いつもワインを送って貰い感謝しているよ」
この男は隣国の伯爵家の長男でそこそこ仲良くしている。ワインが送られてくるのでうちからは紅茶を返す仲だ。
「まさか一人ではないよな? パートナーは?」
嫌味ったらしい男だな! 自分も婚約者がいないくせに今日は誰をパートナーにしているのか!
「ははっ。私の今日のパートナーは従姉妹だよ。デビュしたばかりで場慣れさせるためにね」
聞いてないけどな。
「アーネスト様、お待たせしました」
「いえ。知り合いと話していましたのであっという間でした。ダンス素敵でしたよ」
「え! もしかしてアリスフィア・ブラック伯爵令嬢ですか?」
テリーめ! 勝手に話に入り込むな!
「えぇ。そうですわ。あなた様はアーネスト様のご友人ですか?」
「はい私はテリー・ボールドウィンと言います。アーネスト殿とは仲良くさせて貰っています。ところでなぜ貴女がアーネスト殿と? まさか……婚約を?」
「その口を縫われたくないなら余計なことを口にするな! アリス嬢にはいま私の仕事を手伝ってもらっているんだ」
「ふふっ。そうですの。助手をしています。こうして隣国へ来られたのもアーネスト様のおかげですのよ」
「なんと! いつでも歓迎しますよ。そうだ、お近づきのしるしにダンスを一曲踊っていただけませんか!」
「アーネスト様よろしいですか?」
「……えぇ。一曲だけ踊ったらすぐに戻ってきて下さい」
テリーのやつ、アリス嬢を知っていたのか! なんだ鼻の下を伸ばしてデレデレとしやがって!
「それにしても彼女、綺麗だな。品もあって上品で笑顔が眩しい。この国にはいないタイプだな」
そうなのだ。この国の女性はどちらかというと……よくいえば明るい。悪くいえば図々しい。控えめな女性は(失礼ながら)珍しいのだ。
「いいね、彼女」
「……あぁ。とても素晴らしい女性だよ。っと、テリー殿どこへ連れて行く気だ! すまないが失礼する」
アリス嬢は苦笑いだったけど、テリー殿は舌打ちをした。
「人のパートナーを誘うなんてマナー違反だ! アリス嬢こちらに」
「はい。それではボールドウィン卿失礼しますね」
エスコートをしドリンクコーナーへ行く。
「全く! 何か失礼なことを言われませんでしたか?」
言われたのなら抗議してやる。国際問題だからな!
「いえ。大丈夫ですわ。あの時は飲み物を取りに行きましょうと言われてすぐに戻るつもりでしたのよ」
それでも心配だ。その後数人の知り合いに声をかけられ、ダンスに誘われるアリス嬢だったが断りを入れた。
「アリス嬢は思ったよりも顔が知られていましたね……この国ではイエス・ノーをはっきり言っても失礼になりませんから、断りを入れても問題ありません」
「外交問題に発展、って単なるゲストの一人ですものね。疲れていても無理してダンスをする必要はない……」
ぱぁっーと明るい顔になるアリス嬢。
「そうですよね。失礼のないようにお断りをすればよろしいのですね。今までダンスを誘われたら断ってはいけなかったので」
王子の婚約者というのは国の顔でありダンスは接待のようなものだったのだろう。
「靴擦れをして痛くても笑顔でいる必要がない……足を捻って冷やしてでも踊らなくてはいけない事はないのですね」
「えぇ。勿論です。そんな辛い思いをしながらダンスを踊らなくて良いので、無理しないでください」
聞いていると胸が苦しくなる。そこまでして踊らなくてはならんのか……
「はい。セーブしますね。でも失礼のない程度には頑張りますね」
その後ダンスはセーブしたが、声をかけられることが多かった。ブラック伯爵は顔が広くアリス嬢も“お久しぶりです”などと会話を楽しんでいた。その顔はとても生き生きとしていて、まるで周りに花が咲いたような雰囲気になった。そして夜が深まる前に会場を後にした。
「アリス嬢、今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。こうして他国のパーティーに出られてとても勉強になりました」
「また勉強ですか? 真面目すぎますね。少しは楽しんでも良いのですよ」
「楽しかったですよ。ただ学びがあると思った分余計に楽しく感じたのでしょう……私はこういう生き方しか出来ないのですね」
「楽しみ方は人それぞれですから、良いと思います。宿につきましたね。明日は昼から少しこの町を散策しませんか? ワインが有名なのでお土産に買っていきましょう」
キリッと辛いワインも良いが女性の好きそうな甘いワインも種類が豊富だから一緒に選ぶのも楽しそうだ。
翌日テリー・ボールドウィンに邪魔される事になるが、とっておきのワインを土産にと渡された。テリーはアリス嬢に渡したのだが、一緒に飲みましょう。と笑顔をで言われて“楽しみですね”と返すとテリーに睨まれた。
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いつもご覧いただきありがとうございます。毎日更新を続ける予定でしたが、流行りのウィルスに感染してしまい高熱で朦朧としていますので数日更新が出来ません……数日後に復活します
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