婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

文字の大きさ
81 / 93

楽しい日々です

しおりを挟む

「アリスおねーちゃん!」 

「ジェシーさん、クララさん。お久しぶりです」

 二人と再会できたことが嬉しかった。

「また遊んでくれる?」

「はい。勿論ですわ、そうだわ。夫人と一緒にケーキを焼きましたのでお茶にしましょう」

「「わーーい」」

 ジェシーさんとクララさんが滞在する事により騒がしくなるけれど、楽しく過ごすことができた。アーネスト様の仕事の速度も上がり、急ぎの仕事も無くなったほど!

「アリス嬢、今日はジェシーとクララを連れて山に行ってきますので、休みにします。アリス嬢はゆっくりと過ごしてください」

 山に行く。と三人で出かけて行ってしまった。いつもは誘ってくださるのに今日はお留守番。なんだか寂しいですね。

「アリスちゃん、一緒にお菓子を食べない?」

 読書をしようと図書館で本を借りてきたところ夫人に声をかけられる。

「はい、喜んで」

「アリスちゃんがまたうちに来てくれて本当に嬉しいわ。アーネストはどちらかというと脳筋だからアリスちゃんのようなしっかりした子が尻を叩いてくれて、助かるわ」

「いえいえ、とんでもありません。アーネスト様は優しいですから、文句を言わないだけですわ」

 比べてはいけないけれど“あの人”はそうではなかったから。生意気だの可愛げがないだの……

「アーネストの仕事の取り組み方が変わったと主人も言っていたわ。アリスちゃんが今まで努力していた事をまさか我が家で発揮してくれるなんて、感謝しかないわ」

「そう言っていただけるだけで頑張れます。私はこちらに来ることができて良かったです。また美味しいお菓子の作り方を教えてください」

 私は魚釣りをして魚を捌く事は出来ない。それなら釣らないほうがいい。その様子を見ているだけでも十分楽しい。休みの日は夫人やメイド達と一緒にお菓子を作るのが何よりの楽しみになっている。ミリーと買い物に出掛け屋台で食事をするのも楽しい。夫人とお茶をしていたらアーネスト様と双子ちゃんが帰ってきた。

「おかえりなさいませ」

「アリスおねーちゃんにお土産!」

 かごいっぱいのヤマブドウを渡された。

「これは?」

「おねーちゃんお菓子の材料が欲しいって言ったでしょう?」

「まぁ! これを取りに?」

「「うん」」

「嬉しいですわ、ありがとうございます」

「美味しいんだよ!」
「これ使ってね!」

 わざわざ山に採りに行ってくれたことが嬉しい。

「こんなにたくさんどうしましょう」

「半分は干しておきましょう。ドライフルーツにしておけば何にでも使えるわ。アーネストはヤマブドウのパウンドケーキが好きだったわね」

「えぇ、そうですね。懐かしいですね」

 干し葡萄にするのね! 美味しそう。

「夫人、作り方を教えてください。作ってみたいですわ」

「クララも一緒に作る!」

 はーい、はーい。と手を挙げぴょんぴょんと跳ねる姿が可愛らしい。

「一緒に作りましょう」

「うんっ」

 アーネスト様が喜んでくれると良いですわね。ジェシーさんとクララさんが滞在中は仕事の手が止まってしまうけれど急ぎの仕事は終わらせたので問題はない。でも最近遊んでばかりだわ。こんなことでお給料をもらうのは申し訳ない。そう思いアーネスト様に伝える。

「こちらこそ契約外の子守りまでさせてしまって申し訳ないと思っています。ジェシーとクララが来るとつい甘やかしてしまって。母にしっかりと見ておくようにと言っておきます」

「いえ、そうではなくて、私も楽しんでいるのに申し訳ないという意味です。仕事も急ぎのものはないです、ただアーネスト様にはしっかりと休んで貰いたいと思って」

 ジェシーさんとクララさんが寝静まってから一人で仕事をしているのを知っている。

「休んでいますよ。大丈夫です」

「……本当ですか?」

「えぇ、そうだ。そういうのならお茶を淹れてくれませんか」

「もちろん。それは良いですけど」

 香りのいいハーブティーを淹れる。これはグレマン領で作られている紅茶とハーブをブレンドしたもの。

「良い香りですね。そういうあなたこそ休日は母とお菓子を作ったりお茶をブレンドしたり休んでないのではないですか?」

「趣味に費やしているだけです。アーネスト様こそ休みの日に剣術の稽古をしたりしているではないですか」

「体を動かすのが好きなので気分転換ですよ。汗をかくと気持ちが良いのです」

 アーネスト様は辺境の要といっても差し支えがない方だし、書類仕事6:訓練4の割合になっている。今までは書類仕事3:訓練7の割合だったみたいだし体を動かす事が好きだったらストレスが溜まるわよね……
 
「明日は訓練日でしたよね?」

 私はアーネスト様が一日訓練の日は休みの事が多い。

「はい。新人が入ったのでどれほどの腕か見たいと思っています。ジェシーも連れて行きます」

「それなら私も見学に行きますわ。一度見てみたいと思っていましたの」


 訓練場には近寄らないようにと言われていたのだけど、夫人に聞くとクララさんを連れて行ってほしい。と言われたのでそう伝える。

「危ないのであまり近くには寄らないでください。遠くで、出来るだけ離れて見学するのなら……」

「クララさんを危険な目に遭わすわけには参りませんものね! わかりました」



******

 1週間ほどお休みしていましてが再開しました。なぜが2.3年に1度訪れる? 腸炎になり免疫が下がっているところからの感染だったので長引きました……会社も10日ほど休んでようやく復帰です。温かいコメントをいただきましてありがとうございます(˶ˊᵕˋ˵)  季節の変わり目です。皆様もどうかお気をつけてお過ごしください。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

【完結済】王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。 けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。 「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。 ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。 そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。 学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。 けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。 暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。 ※10万文字超えそうなので長編に変更します。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す

おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」 鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。 え?悲しくないのかですって? そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー ◇よくある婚約破棄 ◇元サヤはないです ◇タグは増えたりします ◇薬物などの危険物が少し登場します

辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。

コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。 だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。 それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。 ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。 これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】 聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。 「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」 甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!? 追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

処理中です...