田舎者とバカにされたけど、都会に染まった婚約者様は破滅しました

さこの

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パーティー

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「バンデラ子爵のパーティーでルシア・モンテスを見ました」

 殿下と秘書官に報告をした。



「やはりか……最近は場所を転々として賭博行為が行われている。モンテス男爵家のディーラーを捕らえて自供させた。
 バンデラ子爵は賭博にかなりの金を注ぎ込んで、男爵家が傾いてきているらしい。そこで表はパーティーとして場所を提供し裏では賭博行為を……」


 殿下が考えるように腕を組み目を瞑る


「私は裏で行われている賭博に誘われませんでしたし、足を踏み入れてはいないのですが、表の招待客ではなさそうな面々が門を潜るのを見ました。中にはまだ若い者たちがいました……」


 バンデラ子爵とは会った事はあるが、交流はしたことがなかった。招待状が送られてきてもいつもは無視するのだが、最近はなるべくいろんなパーティーに顔を出すようにしている。


 セイラをパートナーにして危険な目には遭わせたくないので、セイラと行くパーティーは親交のある家のみ。
 一人でパーティーに行くことに関して、業務内容はセイラには言えないのだけど……



『お仕事なのでしょう? ウィルベルト様を信用しているから大丈夫です。そのかわり、そのお仕事が終わったら、なんのお仕事だったか教えてくださいね』と言った。



 殿下も認めたセイラのクッキーは売り上げも好調で、殿下が注文する時は何故かセイラ宛に手紙が届く。

 ……文通友達なのだそうだ……。やめて欲しいけれど……

『ウィルベルト様の出世に関わることになるかもしれませんので、お断りできませんよ。殿下の名前は大いに活用致しましょう!』

 と言って笑った。



 母上はセイラに一体何を教えているんだろうか……。
 以前のセイラならこのような事は言わなかった筈だが、心強い台詞だと思った。
 殿下からも仕事でパーティーに行かせている。と手紙を貰ったそうで、浮気ではないから安心して欲しいなどと書かれてあったのだそうだ。



 浮気なんてするか……。またあいつレオの事が脳裏に浮かんだ!

 と言うのも、あいつが結婚した相手の家を捜査しているんだけど、言えるわけがない。

 セイラに元レオ・ファーノンは、学園でも懇意にしていたルシアと結婚して、しかも隠し子がいて、モンテス男爵家は非合法カジノで儲け、さらにやばい薬の密輸までしていて、それを捕まえる為に調査してるんだ! なんて……言えるか!

 
 ただでさえ、セイラはルカ・ファーノンの事で心を痛めているのに!

 
 純真無垢でいて欲しいなんて事は思わないが、知って心を痛めるくらいなら


……いや、私が言いたくないだけなのかもしれない。



 このモンテス男爵家の問題が片付かないと私たちの結婚にも影響が出る! 結婚式が挙げられない。あと一年でなんとかしなくてはならないから少し焦っている。


 もう少し手掛かりが欲しい!! 第二王子の秘書官見習いってなんなんだろうか……仕事だと言われてやってはいるけれど、明らかに範囲外だと思うんだ。



「今度のミランダ伯爵家のパーティーは盛大に行われるようだ。気を引き締めて調査してくれ」



「「はい」」



 秘書官と共に返事をした。このパーティーには殿下が心を許している者たちも参加する。
 殿下が直接赴くと尻尾を出さないだろうから、私のような若者が囮になる作戦もある。
 その時は賭け事もしなくてはならないのか……。気が重くなる


 今度の伯爵家のパーティーだが、ミランダ伯爵はなぜこのようなパーティーを開くのだろうか? 金に困っている様子は無いのだが……金ではなくクスリの方なのか?

 それなら賭け事より厄介だ!



******



「行ってくるよ……」

「行ってらっしゃいませ。お気をつけて。どうされたのですか? 気乗りして無いようですけど」


「そりゃそうだろう。セイラが屋敷にいるのに、行きたくないパーティーに参加しなくてはならない」



 今日は母と観劇に行くのだそうだ。社会勉強というやつらしい。

 先々で会う人への対応をセイラに見せているのだそうだ。
 教えられるより見たほうが分かりやすいでしょう? と言うが、ただセイラと遊びに行きたいだけだろう……。


 セイラの頬にキスをした。なんだか今日は離れがたいので長めにハグをした。


「どうしたの?」


 心配そうにセイラがポンポンと私の背中を軽く叩いてきた。


「なんとなくだけど、行きたくないからかなぁ……」


 登校拒否のようなものか? あぁ……行きたくない。


「今日は遅くなるので、私はお泊まりするんですよ。夜は流石に……会えませんけれど、朝食を一緒に取りましょうね」


 お泊まり? セイラはごく稀にうちに泊まることもある! 
 結婚するまでは同じ家にいても夜に二人で会う事は禁止されている。


 それもとても厳しく! 


 ルールを破るとセイラは二度とうちへのお泊まりは禁止となるだろう。

 そうなると両親から非難される。ユベール殿の顔が思い浮かぶ。
 恐ろしい事だ……。あと一年我慢



「なるべく早く帰ってくる。朝食を一緒に取れるなんて久しぶりだね」


 とっとと行って帰ってきたい!



「いってらっしゃい」

「いってくる」


 後ろ髪引かれる思いで、もう一度セイラの頬にキスをした


















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