田舎者とバカにされたけど、都会に染まった婚約者様は破滅しました

さこの

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レオのお節介

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 きらびやかなパーティー会場の裏で行われるギャンブルはアンダーグラウンドのイメージだったのに……


 明るい雰囲気で、カードゲームをしている……でも少し違和感? 異様な雰囲気だと思う。なぜかと言われても確信が持てない

 

「レオってば! なに? ボォーッとしちゃって」

 ルシアに腕を組まれ体を押し寄せられた。


「いや、もっと暗いイメージかと思っていたら明るい雰囲気なんだな」

「そりゃそうよ。だって貴族の邸宅よ? 明るく楽しくゲームしなくちゃね」


「はい。美味しいわよ、このワイン。伯爵の事業の成功を祝うパーティーが表では行われているのよ。レオも行ってみる?」


「いや、遠慮しておく」


 心配させてしまった友人に見せる顔がない。賭け事にハマり、退学となった。
 どの面下げて会いに行ける? 一応貴族としての身分はあるが堂々と名乗れない。
 俺は……レオ・ファーノンではなくなったから


「あら? あの子まだ若いのに……どこの家の子かしら?」

 ルシアの言う子を見るとまだ若い……学園で言うところの一年生と言うところか?

 今のところ勝っているようだが……


「どうやって入ってきたのかしら? あんな若い男の子、伯爵の娘さんのお友達かしらね?」

 ルシアが言うには伯爵家の人間が了承した人物しか入る事は出来ないようだ。
 ルシアは主催者側の人間だし俺はパートナー……主催側か。

 ルシアと婚姻して男爵は俺に当主の座を譲った。と言っても事実上ルシアが当主だ。俺は名ばかりの男爵。


「私は挨拶に行ってくるけれどレオはどうする?」

「久しぶりにパーティーに出たから人に酔った、ここでワインを楽しむよ」

「そう? じゃぁ大人しく待っていてね」


 ルシアがキスをして行った。改めて周りを見ると優美に見せかけてヤバい目つきをした男達が多い。ルシアはそれを見ながら微笑んでいる。まだ何かあるのだろうか?


 ミランダ伯爵の息子が、ルシアに話しかける。変に近い距離で腰に手をやった。
 距離感がおかしい、微笑むルシアに間の抜けたような顔をする。


 真面目な男だと言う話だったのにな。



「モンテス男爵様?」

「えっ、と、君は?」

「クラーラですわ。お父様はこの家の当主ですのよ。初めてお目にかかります」

「ミランダ伯爵の娘さんでしたか……これは失礼。私はあまり表にでないもので」


 頭を下げると、ルシアと同じ香りがした。甘い鼻にこびりつくような香り……

「本日はこのような会を我が家で出来るなんて嬉しいですわ。皆様楽しんでおられるようですもの」


 楽しんでいるのか?俺はもうゴメンだ。帰りたい。
 こういった貴族の闇の部分に触れたくはなかったがこれが現実なんだろうな。

 しかしそんなことを言えるわけもなく


「そうですか、それではどうぞ楽しんでください」

 と言うしかなかった。クラーラ嬢は挨拶した後は他の参加者に声を掛けに行った。例の学生っぽい男の子にも声を掛けていた。
 ゲームに勝っているのか大量のコインが前に置かれていた。



 ……カモだ、きっと彼はこのまま


 そう思うもゲームを止める事は出来ない。どうしたもんかと思うと、高揚した顔のまま彼は飲み物を取りにこちらは向かってきた。


「やぁ、君はとても運がいいんだね」

 自分でも驚いた。全く関係のない人間に声をかけるなんて、お節介も良いところだ

「はい。こんなに勝ったのは初めてです」

「それはいつも賭け事をしているような言い方だね」

「……いつもと言うか、先日誘われてカジノへ行きました。その時は勝ったり負けたりだったんですけど、カジノは凄いですね。たった一度であれだけのお金を手に入れる事ができるんですから」

 昔の俺を見ているようだった。まだ何も知らないあの頃の……

「悪い事は言わない。引き返すんだ! 今は勝たせてもらっているんだけ。君がドリンクを持って席につき新たにゲームを始める、すると途端に負けるぞ?」

「今日の僕はついているんですよ?」

「君は学園の生徒か? まだ若そうだ」



「……はい。学園に報告しますか?」



「されたくなかったら戻るな! いいか? 引き返せるのは今が最後のチャンスだと思え! 俺はお前のことを知らない。だがお前がこの先あのテーブルに戻った先の未来は手に取るように分かる」


「でもあれだけ儲けた金が……!」


「あんなもの端金だ、学園の生徒だろ? 継げる家がなくとも成績が優秀ならどこでも働ける。あの金はお前の人生を掛けても欲しいものか? あのテーブルに戻るとお前は退学になり、家族に迷惑をかけることになるだろう。金は家が払ってくれるかもしれないが、その後ここの主催者に良いように使われることになるだろうな。お前だけの話ではなくなる」


「あなたはなぜそんな事を? 僕は……あなたの顔をなんとなく見たことがある? ような……」


「……初対面だ。いいか? 戻るな。体調が悪くなったと言って帰れ、早い方がいい」

「……でも!」


「そうか仕方がない、学園に連絡をするか? 調べればすぐお前のことをは分かる、家にも連絡してもいい」


「脅す気ですかっ?!」


「それも悪くないと思っている! 早く去るんだ!」



 










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