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領地へ向かいます。
しおりを挟む「暑いわねぇ……」
いくらサマードレスとはいえ、夏は暑い。
今はサマーバケーションで学園はお休みです。貴族学園の夏季休暇は長いので、その間に与えられた執務をこなし社交を行い……と学生ながらに家を継ぐと言うことは大変な事なんです。
うちは侯爵家と言う家柄で、子供は私と歳の離れた妹がいます。
現在私は十七歳で妹は十歳。両親とともに領地で暮らしています。
我が家の領地は王都からそこまで離れていないので馬車で半日ほど揺られれば着くのです。
王都からも近く過ごしやすいと言う観点から人口も増えていますし、ここで一泊して朝出発すると昼頃には王都に着くので、利便性もよく宿泊客がとても多いのです。
宿も飲食店も多いので、いつも賑やかな雰囲気です。
変な商売をしている者には罰則が厳しい我が領土! 王家から疑われるような事は一切致しません。というのも……他国からの行商人も多いので、密売人などもたまに紛れ込んでしまうからなのです。
自警団も雇っていますし、彼らの仕事は王家の近衛騎士にも負けていないのではないかと思うほどに優秀なのです。
お父様とお母様は、領民にも慕われていますし、おじいさまは前陛下の右腕として存分に国へ貢献していましたので、我が家は王家の信頼もあります。
お父様は婿養子で、お母様が当主ですが二人は幼馴染で仲が良く、娘の私から見てもとても仲睦まじく優しい両親です。
……仕事には一切妥協をしない両親なので、叱られることも多々ありましたけど、私は教えを乞う立場……そこも含めて尊敬する両親です。
「はぁ。疲れた」
「お嬢様、おかえりなさいませ」
領地の屋敷について執事やメイド一同が迎えてくれました。
「ただいま帰りました。やっぱり領地の屋敷は落ち着くわね……」
王都はザワザワとしていて物騒な面もあります。門の外には門番もいますし、屋敷の周りを警備する者もいます。不審者が入ってきたら大変ですもの。
両親が領地に行っている事は知られているので娘である私を誘拐しようとしたり、強盗に入ろうとしている者は秘密裏に消されることもあるようです。
処理が終わってから聞いても恐ろしい事に変わりはありませんけどね。
「ベル、おかえり」
「ベル、よく来たわね」
「お姉様ー! おかえりなさい!」
「ただいま帰りました。変わりはございませんか?」
両親と妹にハグをしました。
お父様はグレーヘアーがトレードマークの紳士と言った感じで、瞳がエメラルドに例えられるほどに美しい瞳なんです。
お母様はアッシュブロンドでヘーゼルの瞳を持つ美しい自慢のお母様です。
何代か前の王女様が降下して、我が家に嫁いだこともあり王族の血統も受け継がれているのです。
このアッシュブロンドはクレマン侯爵家の家系でよく見られる髪色です。クレマン侯爵家=アッシュブロンドと言われるほどです!
私はお母様譲りのアッシュブロンドに、お父様譲りのエメラルドの瞳を持って生まれてきました。
妹のヴィヴィアーヌは髪の毛はお父様譲りの、シルバーグレーといった感じかしら? とても愛らしい容姿です。
「さぁさぁ、休憩にしましょう、ベルは冷たい物の方が良いわね。暑い中お疲れ様」
お母様に言われて風がよく通る涼しいパティオへと通された。
ここは私もお気に入りの場所で領地に帰るとこのパティオで長い時間過ごすことが多いのだ。
緑も多く植えられていて風が吹くとサワサワと葉がすれあう音も心地が良い。
「どう? ジェラール様と過ごしてみて、彼は執務についていけそう?」
お母様の言葉に詰まるように答えました
「そう、ですね、どう? と言われましても、」
うーん。うーん……なんて言おう?
「ベル、どういう事だい? この書類を見る限り執務はこなしているようだが」
ベルとは私の愛称です。両親が私を呼ぶときにはベルと呼びます……。
「ジェラール様はね、まず屋敷に慣れたい? と仰ってまだ執務に手は付けていませんの」
「なんだって? 伯爵が早く侯爵家に馴染めるように執務を教えてやって欲しい。とうちに越してきたというのに! 一体何をしているんだ!」
「何を……と言われましても……私も執務を手伝ってもらいたくて何度もお誘いしましたのよ。今日もこちらに来るようにとお誘いましましたし……」
両親とヴィヴィははっとした顔をしました
「そういえば、ジェラール様はどうしたの?」
お母様? 今気が付きましたのね。ジェラール様は影が薄い事……。
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