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花畑の頭の中
しおりを挟む~ジェラール視線~
「おいしかったね!」
「そうだな、また連れて行ってやろう」
「わーい! ジェラールありがとう」
楽しい気分で屋敷に帰ってきたと言うのになんだこの雰囲気は……っ、
あっ!!!!!
「おかえりなさい、ジェラール様」
にこりと微笑む美しい令嬢は私の婚約者のアナベルだった。
「……あれ? 帰ってくるのは明日だったよな?」
日付の確認をした。あれ? 今日は六日? すっかり忘れていた。
ここ一週間はうるさく言うものが少なかったからうっかりしていたではないか! なぜスケジュールを言わないんだ!
執事失格だろ! 執事長を睨む。
「本日ですわよ」
「……どうやらそのようだな」
まずいぞ……なんか……マズイ。
「ジェラール様の腕に絡みついているのは、ドロン伯爵家から連れてきた使用人のクララさんでしたわね?」
腕に絡みついて……?
「! これはだな、この前も言った通りクララは身体が弱いんだ! 杖代わりだよ」
「そうでしたか、随分と使用人にお優しいのですね」
「あぁ……足も悪いし……幼馴染だからな」
クララはどこが悪かったんだっけ……焦って足も悪いと言ってしまった!
「いつまでそうしているのですか? 今日は体の調子がよろしいのね、クララさん」
アナベルがクララをちらっと見ると
「あっ……急に目眩が………」
ふらっと私に寄りかかるクララ。足ではなく頭……頭痛持ちだったのか?
「クララ、早く部屋に戻るがいい」
そうだ! ここは一旦部屋に下がらせよう。クララにつかせている若いメイドを呼んだ。
「あら? どうしてユリアがクララさんについているのかしら?」
ユリア? この若いメイドの名前か……
「それにクララさん、素敵なドレスをお召しになっておられるのね?」
「アナベル。クララはな、もう使用人ではないんだ」
「そうよ。失礼ね!」
ふんと。顔を背けるクララ
「それはどう言う事ですの?」
「クララは身体が弱いだろう? だから働くことは無理だと思い、身体が万全になるまで一旦使用人を辞めさせたんだ」
「まぁ、そうでしたの? それではご実家にお戻りなるのですか?」
「いや……そうではない今は私のゲストとしてこの屋敷に迎えているんだ」
「あら……そうですのそれは誰が許可を出しましたの?」
「俺、いや私の独断だが……」
「まぁ! ジェラール様の……そうですか」
まずいな。とてもまずい!
しかしアナベルは優しいから説明すれば許してくれるだろう……。
「私の幼馴染が私を頼ってきているんだ。近い将来妻になるアナベルとも仲良くして欲しいと思っている」
私の知り合いとは仲良くして欲しいと思うのは間違いではないだろう? 夫婦になるのだからな。うん。
「伯爵家が使用人として連れてきたクララさんが、私の知らない間に侯爵家のゲストとして迎えられているのはおかしいですわね」
「アナベルに相談したら空室があれば良いと言ったよな」
「ゲストルームは空室ではございませんよ? ご存知ありませんでしたか?」
「……空いている部屋だろ。誰も使っていないのだから。私もゲストルームを使っている」
「だからお隣にクララさんを?」
「そうだ! 何かあっては大変だからな」
「……ゲストルームを使う事は許しませんわよ。使用人として働かないのなら出ていってもらいますわよ」
はぁ。とわざとらしく大きなため息を吐くアナベル
「血も涙もないやつだな! アナベルはなんでも持っているのだから、人に分け与えるくらいの優しさはないのか? ゲストルームを使っていけないのなら、私の部屋に住まわせることにする」
「あら、お二人で一つのお部屋をですか?」
「そうだ! それなら文句はなかろう。私の部屋は広いから問題はない!」
「……お好きにどうぞ。私は認めていませんけれどね。止めましたわよ?」
そう言ってアナベルは俺の前から立ち去った。怒っているかな……。
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