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評判の悪い婚約者
しおりを挟む「何かあったの?」
執事長とメイド長を執務室に入れ話を聞くことにした。
「それでは私から報告をさせてもらいます」
執事長が言った。
「お願いするわね」
二人を向かいのソファに座らせお茶を用意した。なんとなく長くなりそうな気がしたから。
「ジェラール様がドロン伯爵家から連れてこられたクララと言う使用人の事です」
「何か問題があったのね?」
病弱だとか言うジェラール様の幼馴染ね。
「ジェラール様はお嬢様に権限を任されたと仰いました」
「個室は空いてないと言ったわ。流石に無茶な事はしないでしょう? うちにはうちのルールがあってそれを守ってもらうよう、雇用の書類も用意してあるのだし、無用な争いは起きないでしょう?」
侯爵家で働くにあたってはルールがある。屋敷内で起きた事は口外しないとか、勤務時間だとか、給金についての事や、仕事の内容について。その他諸々……。
侯爵家には身元のしっかりした者しか使用人には居ませんし、自慢ではありませんが働き甲斐のある屋敷として人気の職場です。
やる気のある人や頑張りを見せた人は給金をアップしたり、メイドのランクも上がります。
何か不満でもあったのでしょうか?
「ジェラール様はクララを使用人から外しゲストとして迎えるようにと仰いまして、現在クララはゲストルームを使用しています」
「なんですって! そんな事が?」
呆れて物が言えないとはこう言うことを言うのでしょうか……ジェラール様はバカなの? 時が止まった……。
実際は止まってませんのよ。時が止まったように感じました。驚くとこうなりますのね。初めての体験ですわね……。
………はぁ。
「お嬢様の指示通り、お嬢様が領地にお戻りの間はジェラール様が何をしても口を出しませんでしたが、流石に使用人からは良いように思われておりません」
執事長が言った後にメイド長からも一言
「それで、クララにメイドを一人つけるようにと言われまして、取り敢えず新人のメイドを一人付けさせましたが、病弱と言うには些か無理があるようでして」
「何があってそう思ったのかしら?」
「はい。ゲストルームではゲストの方にゆっくりと過ごして頂けるようにと、ドレスなどが用意されているのはもちろんご存じだと思います」
「えぇ、勿論よ。急に宿泊される場合、女性のゲストにはドレスや化粧品、小物類まで用意してあるわね」
もちろん男性バージョンも用意してある。どこの屋敷でもそうなのだから。
「クララはゲストルームのものも図々しく使っています」
「まぁ、なんて事……」
はぁ。たった一週間タウンハウスを空けただけなのに……なんて事でしょう。
「取り敢えず、分かったわ……ところでジェラール様の執務の進み具合は? 簡単な書類は残しておいたのだけれど」
「それがさっぱりでして……」
と執事
「さっぱり? え! やっていないと言う事?」
「はい、連日お出掛けをしておりまして」
とメイド長
「どこへ出掛けているの?」
「御者によりますと街へ行っているようです」
「仕事を放って、また何をしに?」
「クララと街に買い物へ行ったり、舞台観劇などという事です」
「……そう。ところでジェラール様とクララさんはどうしているの? 姿が見えなかったわね。私が帰ってくる事は知っているのよね?」
「それが、流行りのカフェがあるとかでお嬢様が帰られる少し前に出て行ってしまいました」
「そう……。わかりました。それではまずジェラール様が帰ってきてから話を伺いましょうか」
「「はい」」
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