捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻

文字の大きさ
16 / 71

1-16. 美しき暗黒龍

しおりを挟む
 と、その時だった。激しいエネルギー反応を感じ、ヴィクトルはあわてて回避行動を取る。
「危ない!」
 鮮烈な火炎エネルギーがヴィクトルをかすめて上空へと消えていった。

 見ると、巨大な魔物が大きな翼をバッサバッサと羽ばたかせながら近づいてくる。鑑定をかけると、

ルコア レア度:★★★★★★
暗黒龍 レベル 304

 なんと伝説に聞こえた龍らしい。確かいにしえの時代にこの龍の逆鱗に触れて街が一つ滅ぼされた、という話を聞いたことがある。

小童こわっぱ! 断りもなく我が地を飛び回るとはどういう料簡りょうけんじゃ!」
 厳ついウロコ、鋭いトゲに覆われた恐竜のような巨体が重低音で吠え、大きく開いた真っ青に光る瞳でギョロリとにらむ。
「これは失礼。そうとは知らなかったもので。でも、いきなり撃ってくるというのもどうですかね?」
 ヴィクトルはにらみ返した。
「生意気な小僧が! 死ね!」
 そう言うと暗黒龍ルコアはファイヤーブレスを吐いた。鮮烈に走る火炎放射はまっすぐにヴィクトルを襲う。
 ヴィクトルは直前でかわすと、間合いを詰める魔法『縮地』でルコアのすぐ横に迫った。
「へっ!?」
 驚くルコアの横っ面を、思いっきりグーでパンチをする。

 ギャゥッ!
 悲鳴を残してルコアはクルクルと回りながら落ちて行く。
「暴れ龍め! 僕が食ってやる!」
 ヴィクトルは全力の飛行魔法で追いかけると、音速の勢いのまま、どてっぱらに思いっきり蹴りを入れた。

 ドーン!
 蹴りの衝撃音はすさまじく、山にこだまする。

 グハァ!
 蹴り飛ばされた龍の巨体は崖にぶち当たり、めり込んで止まった。
 ルコアはヴィクトルをにらみ、
「き、貴様ぁ……」
 と、言うと、真紅の魔法陣をヴィクトルに向けて展開する。
 それを見たヴィクトルは、それに比べて二回りも大きな銀色の魔法陣をルコアに向けて同時に展開した。
「へっ!?」
 ルコアが気がついた時には、すでに真紅の魔法陣から鮮烈なエネルギー波が発射されており、それはヴィクトルの魔法陣に反射され、そのままルコアを襲った。

 ウギャ――――!!
 重低音の悲鳴と共にルコアは大爆発を起こし、爆炎が崖や周りの森を焦がす。
 ブスブスと辺りが立ち上がる煙にけぶる中、ルコアは崖から落ちてくる。

 ズーン!
 地響きを起こしながら巨体が岩場に転がった。
 ヴィクトルはルコアの脇に降り立つと、ニコニコしながら言う。
「魔石になるか、僕の手下になるか選んで」
 ルコアはボロボロになった身体をヨロヨロと持ち上げ、チラッとヴィクトルを見て、目をつぶって言った。
「わ、我を倒しても魔石には……、ならん。我は魔物では……ないのでな……」
「ふぅん、じゃ、試してみるね!」
 そう言うとヴィクトルは腕に青色の光をまとわせ、振り上げた。
「ま、待ってください!」
 ルコアはそう言うと、ボンッ! と爆発を起こす。
 そして、爆煙の中から美しい少女が現れたのだった。
「えっ?」
 ヴィクトルは唖然あぜんとした。
 少女は白地に青い模様のワンピースを着て、流れるような銀髪に白い透き通るような肌……、そして、碧眼の澄み通った青がこの世の者とは思えない美しさを放っていた。
「手下……になったら何をさせる……おつもりですか?」
 少女は不安そうに聞く。
「え……? 何って……、何だろう……?」
 ヴィクトルは、あまりにも美しい少女の問いかけにドギマギとし、言葉に詰まる。
「エッチなこととか……、悪いこととか……」
 少女はおびえながら上目づかいで言う。
「そ、そんなこと、やらせないよ!」
 ヴィクトルは真っ赤になって言った。
「ほ、本当……ですか?」
「手下って言い方が悪かったな……。仲間……だな。一緒に楽しいことする仲間が欲しかったんだ」
 ヴィクトルはちょっと照れる。

 少女はホッとしたように笑顔を見せると、ひざまずいて言った。
ぬしさま、ご無礼をいたしました。かように強い御仁には生まれてこの方千年、会ったことがありません。ぜひ、喜んで仕えさせていただきます」
 少女はずっと山の中ばかりでさすがに飽き飽きしていたのだ。もちろん、たまにちょっかいを出しに来る輩もいたが、弱すぎて話にならない。そこにいきなり現れた異常に強い少年、しかもその強さを欲望の手段にしない高潔さを持ちながら、仲間にしてくれるという。少女にとってはまさに渡りに船だった。

「あ、ありがとう。君は……暗黒龍……なんだよね?」
 ヴィクトルは、龍が美しい少女になったことに驚きを隠せずに聞く。
「うふふ、この姿……お嫌いですか?」
 そう言ってルコアはまばゆい笑顔を見せる。
「い、いや、こっちの方が……いいよ……」
「これからは主様のために精一杯勤めさせていただきます」
 ルコアは胸に手を当て、うやうやしく言う。
「あ、ありがとう」
 ヴィクトルは、裸とボサボサの髪を気にして恥ずかしそうに言った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...