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第一部 転生編
第13話 反撃開始
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クレイが使ったのは “魔導銃” であった。火薬の代わりに魔力を爆発的に膨張させ、弾丸を射出する道具である。
ジャクリンはおもちゃと言ったが、元々武器として開発されたモノである。ただ、威力が弱すぎておもちゃ扱いされていただけである。
弱いと言っても、人を全力でぶん殴るくらいの威力はあったのだが。
しかしこの世界の貴族は、魔力による身体強化が主流であった。純粋な筋力だけで殴られたとしても、強化魔法を使った人間には痛くも痒くもないのだ。そのため、魔導銃も武器としては使い物にはならず、子供のおもちゃと呼ばれる事になってしまったのだ。
だが、前世の知識も活用し、クレイはこの銃を色々と改良したのである。クレイが使った魔導銃は、原始的な構造の銃である。大まかに、魔力を爆発させる部分、弾が装填され射出される筒状の部分に分けられる。(地球の銃の弾丸は火薬が詰まっている薬莢と弾丸が一体になっているが、魔導銃では別になっている。また魔莢は魔力を再充填すれば使い回せるのでできたら捨てないで取っておく。)
魔導銃を強化するに当たってクレイは、まず魔力の爆発力を高めようとした。魔莢の内部には魔力を溜めておく魔石があり、爆発的に膨張させる魔法陣が莢に刻まれているが、その魔法陣をデコンパイルして解析。内容を一部書き換え、爆発力を高める事に成功した。
さらに、砲筒(銃身)部分に、いわゆるライフリングの代わりに内部を通過するモノに回転運動を与える魔法陣を付け加えた。それにより、弾が回転しながら射出されるようになり、直進性と貫通力を増す事ができる。
さらに、打ち出される弾丸も、様々な種類を考案した。今回装填されていたのは、ゴムのように柔らかい素材で、打ち出されると遠心力で折りたたまれた弾頭が広がって面積が大きくなる弾丸である。あえて貫通力を落とし面で大きな衝撃を与える事が狙いで、相手に怪我をさせずに衝撃を与える非殺傷型の弾丸である。
これをまともに腹に受け、ジャクリンは飛ばされたわけである。
ジャクリン 「くそ、油断した…。魔なしのくせに生意気だぞ!」
だが、クレイの予想に反し、ジャクリンはすぐに立ち上がってきた。大したダメージもないようである。
クレイ 「いやいや、普通の人間ならしばらくは動けなくなるくらいの衝撃のはずだったんだけど……」
ジャクリン 「この程度で参っているようでは、騎士団は務まらんのだよ!
…だが、少し驚いたぞ。魔導具に私を止めるほどの威力があるなんて、一体……
…それは! 確か、子供の頃に見たことがあるぞ。たしか倉庫にあった、祖父の魔導具の中にあったおもちゃだな。だが、それにそんな威力はなかったはずだ」
クレイ 「改良したんだよ!」
そう言いながらクレイは慌てて次弾を発射した。だが、なんとジャクリンはそれを立ったまままともに腹で受け止め、倒れもせずに踏みとどまって跳ね返してみせたのであった。
ジャクリン 「それで終わりか?!」
クレイ 「うそだろ……、身体強化魔法ってとんでもないな…」
なるほど、魔導具の武器が普及しなかったわけが理解できたクレイであった。
そして次の瞬間、魔導銃が通用しないと分かったクレイは反転して脱兎のごとく走り出す。魔導銃は銃身が二本セットされているので二発までは連射できるが、それで弾切れなのである。これでクレイにはもう手持ちの武器はない。
クレイはなんとか自分の部屋に逃げ込みたい。部屋に行けば、試作中の武器や防具がいくつかあるからである。
走るクレイ、追うジャクリン。
だが、身体強化したジャクリンの走力は速く、あっという間にクレイは追手に回り込まれる。(後ろから斬り付けないのは騎士道的な制約らしい。)
慌てて立ち止まったクレイに対し、ジャクリンの剣が振り下ろされる。その高速の剣撃にクレイは反応できず、剣はクレイの首を捉えたかに見えた。だが、浮かび上がった魔法陣によって剣は止められていた。
ジャクリン 「魔法障壁!? 兄貴め、そんな魔導具まで与えていたのか! 甘やかしすぎだ!」
ジャクリンは防御用の高価な魔導具をクレイが装着していたと考えたのだが、実は魔法障壁は魔導具によるものではなく、クレイの体そのものから発動している。クレイは自身の体を魔導具の器として、防御用の魔法陣を描いておいたのだ。(自分の体を魔導具扱いするというのもこの世界の常識にはない、ある意味邪道的な事であるのだが。)
クレイ (障壁がうまく発動して良かった…)
だが、障壁はジャクリンの剣の一撃で砕けてしまった。しかし一度でも剣を止める事ができたため、クレイが飛び退いて次の手を打つ時間を作る事ができた。
もう一つ、腕に描いておいた魔法陣を発動するクレイ。それは、初期の実験のためにさんざん使用した、一番初歩的な光を発するだけの魔法のコードを魔法陣化したものである。ただし、内容を加筆し、狙った場所に光を出せるようにしたものである。
ただ、光を出せる場所は半径3m以内、光もそれほど強いものではなく、少し明るめの部屋の照明程度(地球で言うところの “百ワット相当” 程度)しかない。持続時間も僅かで、一瞬で消えてしまう、何の役に立つのか? というしょぼい魔法であったが、魔法が使えない自分が唯一使えるようになった魔法という事で、クレイは嬉しがってこの魔法陣を腕に描いては遊んでいたのだ。
だが、遊びとは言えこの魔法を頻繁に使っていいる内に、この魔法の有効な使い方をクレイは思いついていた。それは目眩まし。とは言え、一瞬光るだけの部屋の照明程度の明るさでは目眩ましにするのは難しい。だが、その光が眼球の中で発生したらどうか?
この魔法は、射程距離内であればどこにでも光を発生させられる。ただの光なので無害なので、相手の体内にも容易に発生させられるのだ。さすがに眼球の中に発生させられたら、一瞬とはいえ十分目眩ましの効果はあるだろう。
案の定、ジャクリンは突然の眩しさに驚き、しばらく動きが止まった。
その間に再び走り出したクレイは、すぐ再起動して追ってきたジャクリンに捕まる直前、自室の窓からカンフー映画ばりの “飛び込み前転” で部屋に飛び込む事に成功したのであった。
即座に防御用の魔導具を起動するクレイ。窓に魔法障壁が展開される。これも自作の試作品である。
だが、ジャクリン相手では障壁はそう長くは持たないだろう。
予想通り、ジャクリンが三度ほど剣をふるっただけで障壁は砕けてしまった。
だが、その間にクレイは大急ぎで部屋の中から使えそうな武器をひっ掴む。
そして、障壁が砕けた瞬間、次の武器が炸裂する。
手に取ったのはボーラガン。先程の同じような二連筒の魔導具だが、二本同時に弾が射出される。発射された弾頭には極細だが強靭な紐が付けられている。弾頭は左右に広がりながら飛び、間の紐が目標に当たると、弾頭が重りとなって紐が巻き付く仕組みである。
ボーラ弾はジャクリンに見事命中。ジャクリンの体にグルグルとワイヤーが巻き付き、動きを封じていく。
だがなんと! ジャクリンは体に巻き付いた糸を力づくで引きちぎってみせた。珍しい魔物から採取した素材で、普通は人力で引きちぎるなどできないはずなのだが…。
身体強化魔法恐るべき。
だが、クレイもボーラだけでジャクリンを止められるとは思っていない。これも時間稼ぎである。目論見は成功、さすがのジャクリンも、特殊素材の紐を引きちぎるのに少々だが時間を費やしてしまったのだ。
その間に、クレイは引き出しの奥に引っかかっていた別の魔導銃を取り出す事に成功していた。
ジャクリンはおもちゃと言ったが、元々武器として開発されたモノである。ただ、威力が弱すぎておもちゃ扱いされていただけである。
弱いと言っても、人を全力でぶん殴るくらいの威力はあったのだが。
しかしこの世界の貴族は、魔力による身体強化が主流であった。純粋な筋力だけで殴られたとしても、強化魔法を使った人間には痛くも痒くもないのだ。そのため、魔導銃も武器としては使い物にはならず、子供のおもちゃと呼ばれる事になってしまったのだ。
だが、前世の知識も活用し、クレイはこの銃を色々と改良したのである。クレイが使った魔導銃は、原始的な構造の銃である。大まかに、魔力を爆発させる部分、弾が装填され射出される筒状の部分に分けられる。(地球の銃の弾丸は火薬が詰まっている薬莢と弾丸が一体になっているが、魔導銃では別になっている。また魔莢は魔力を再充填すれば使い回せるのでできたら捨てないで取っておく。)
魔導銃を強化するに当たってクレイは、まず魔力の爆発力を高めようとした。魔莢の内部には魔力を溜めておく魔石があり、爆発的に膨張させる魔法陣が莢に刻まれているが、その魔法陣をデコンパイルして解析。内容を一部書き換え、爆発力を高める事に成功した。
さらに、砲筒(銃身)部分に、いわゆるライフリングの代わりに内部を通過するモノに回転運動を与える魔法陣を付け加えた。それにより、弾が回転しながら射出されるようになり、直進性と貫通力を増す事ができる。
さらに、打ち出される弾丸も、様々な種類を考案した。今回装填されていたのは、ゴムのように柔らかい素材で、打ち出されると遠心力で折りたたまれた弾頭が広がって面積が大きくなる弾丸である。あえて貫通力を落とし面で大きな衝撃を与える事が狙いで、相手に怪我をさせずに衝撃を与える非殺傷型の弾丸である。
これをまともに腹に受け、ジャクリンは飛ばされたわけである。
ジャクリン 「くそ、油断した…。魔なしのくせに生意気だぞ!」
だが、クレイの予想に反し、ジャクリンはすぐに立ち上がってきた。大したダメージもないようである。
クレイ 「いやいや、普通の人間ならしばらくは動けなくなるくらいの衝撃のはずだったんだけど……」
ジャクリン 「この程度で参っているようでは、騎士団は務まらんのだよ!
…だが、少し驚いたぞ。魔導具に私を止めるほどの威力があるなんて、一体……
…それは! 確か、子供の頃に見たことがあるぞ。たしか倉庫にあった、祖父の魔導具の中にあったおもちゃだな。だが、それにそんな威力はなかったはずだ」
クレイ 「改良したんだよ!」
そう言いながらクレイは慌てて次弾を発射した。だが、なんとジャクリンはそれを立ったまままともに腹で受け止め、倒れもせずに踏みとどまって跳ね返してみせたのであった。
ジャクリン 「それで終わりか?!」
クレイ 「うそだろ……、身体強化魔法ってとんでもないな…」
なるほど、魔導具の武器が普及しなかったわけが理解できたクレイであった。
そして次の瞬間、魔導銃が通用しないと分かったクレイは反転して脱兎のごとく走り出す。魔導銃は銃身が二本セットされているので二発までは連射できるが、それで弾切れなのである。これでクレイにはもう手持ちの武器はない。
クレイはなんとか自分の部屋に逃げ込みたい。部屋に行けば、試作中の武器や防具がいくつかあるからである。
走るクレイ、追うジャクリン。
だが、身体強化したジャクリンの走力は速く、あっという間にクレイは追手に回り込まれる。(後ろから斬り付けないのは騎士道的な制約らしい。)
慌てて立ち止まったクレイに対し、ジャクリンの剣が振り下ろされる。その高速の剣撃にクレイは反応できず、剣はクレイの首を捉えたかに見えた。だが、浮かび上がった魔法陣によって剣は止められていた。
ジャクリン 「魔法障壁!? 兄貴め、そんな魔導具まで与えていたのか! 甘やかしすぎだ!」
ジャクリンは防御用の高価な魔導具をクレイが装着していたと考えたのだが、実は魔法障壁は魔導具によるものではなく、クレイの体そのものから発動している。クレイは自身の体を魔導具の器として、防御用の魔法陣を描いておいたのだ。(自分の体を魔導具扱いするというのもこの世界の常識にはない、ある意味邪道的な事であるのだが。)
クレイ (障壁がうまく発動して良かった…)
だが、障壁はジャクリンの剣の一撃で砕けてしまった。しかし一度でも剣を止める事ができたため、クレイが飛び退いて次の手を打つ時間を作る事ができた。
もう一つ、腕に描いておいた魔法陣を発動するクレイ。それは、初期の実験のためにさんざん使用した、一番初歩的な光を発するだけの魔法のコードを魔法陣化したものである。ただし、内容を加筆し、狙った場所に光を出せるようにしたものである。
ただ、光を出せる場所は半径3m以内、光もそれほど強いものではなく、少し明るめの部屋の照明程度(地球で言うところの “百ワット相当” 程度)しかない。持続時間も僅かで、一瞬で消えてしまう、何の役に立つのか? というしょぼい魔法であったが、魔法が使えない自分が唯一使えるようになった魔法という事で、クレイは嬉しがってこの魔法陣を腕に描いては遊んでいたのだ。
だが、遊びとは言えこの魔法を頻繁に使っていいる内に、この魔法の有効な使い方をクレイは思いついていた。それは目眩まし。とは言え、一瞬光るだけの部屋の照明程度の明るさでは目眩ましにするのは難しい。だが、その光が眼球の中で発生したらどうか?
この魔法は、射程距離内であればどこにでも光を発生させられる。ただの光なので無害なので、相手の体内にも容易に発生させられるのだ。さすがに眼球の中に発生させられたら、一瞬とはいえ十分目眩ましの効果はあるだろう。
案の定、ジャクリンは突然の眩しさに驚き、しばらく動きが止まった。
その間に再び走り出したクレイは、すぐ再起動して追ってきたジャクリンに捕まる直前、自室の窓からカンフー映画ばりの “飛び込み前転” で部屋に飛び込む事に成功したのであった。
即座に防御用の魔導具を起動するクレイ。窓に魔法障壁が展開される。これも自作の試作品である。
だが、ジャクリン相手では障壁はそう長くは持たないだろう。
予想通り、ジャクリンが三度ほど剣をふるっただけで障壁は砕けてしまった。
だが、その間にクレイは大急ぎで部屋の中から使えそうな武器をひっ掴む。
そして、障壁が砕けた瞬間、次の武器が炸裂する。
手に取ったのはボーラガン。先程の同じような二連筒の魔導具だが、二本同時に弾が射出される。発射された弾頭には極細だが強靭な紐が付けられている。弾頭は左右に広がりながら飛び、間の紐が目標に当たると、弾頭が重りとなって紐が巻き付く仕組みである。
ボーラ弾はジャクリンに見事命中。ジャクリンの体にグルグルとワイヤーが巻き付き、動きを封じていく。
だがなんと! ジャクリンは体に巻き付いた糸を力づくで引きちぎってみせた。珍しい魔物から採取した素材で、普通は人力で引きちぎるなどできないはずなのだが…。
身体強化魔法恐るべき。
だが、クレイもボーラだけでジャクリンを止められるとは思っていない。これも時間稼ぎである。目論見は成功、さすがのジャクリンも、特殊素材の紐を引きちぎるのに少々だが時間を費やしてしまったのだ。
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