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第一部 転生編
第12話 そして、ジャクリンと対決す
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学園の見学から戻ったクレイは、両親に学校へはやはり行かないと伝え、それ以上は何も話さなかった。何かを察した両親も「そうか」と言っただけで終わった。
(それから噂が巡り巡ってジャクリンのライバルの貴族の耳に入り、ジャクリンが嘲笑されるのはもう少し後の事になる。)
学園から戻ったクレイは、魔導具の研究の方向性を少し変える事にした。
学園で貴族の子達に馬鹿にされた。相手は貴族の優秀な子供達。皆豊富な魔力を持っており、喧嘩したところで敵う相手ではないから我慢するしかなかったが、やはり腹が立ったからである。
それまではクレイは生活に役立つような魔導具を作ろうと考えていたのだが、攻撃・防御のための魔法陣/魔導具を作る方向にシフトしたのである。既にあった研究成果で転用できるものが多かったため、それほど苦労はなかった。ゼロから新しい魔法陣を構築するのは難しいが、既存の魔法陣を利用して “改良” すれば割と仕事は捗る。
そして、学園での事など忘れた頃……
怒れるジャクリンの襲撃があった。
王都の騎士団は東西南北に分けられており、ジャクリンはその東支部の支部長である。ところがある日、各支部の上で全体の指揮を取る騎士団長が高齢で引退する事が発表された。そして次の騎士団長にジャクリンの名前が上がったのだ。
だが、他の支部長達がジャクリンが上に立つ事に反発。ジャクリンの実家であるヴァレット家は不良品が生まれる家系であると、わざわざ国王や貴族達の居る前でジャクリンを嘲笑したのだ。
結局、血筋を重んじる古い貴族達の意見で、次の騎士団長には侯爵家の血筋である西支部長カイルが任命された。
その決定について、クレイの事が影響があったかどうかは分からないのだが、熾烈な出世競争を戦っていたジャクリンは、大事なところで足を引っ張られた事が我慢ならず、ついにクレイを処分する決意をしたのだ。
だが、クレイの両親が居れば邪魔をされるのは間違いない。そこれで、二人が所用で王都へ出掛けて不在である日を待って、屋敷に襲来したのであった。
ジャクリン 「悪いがお前には死んでもらう」
剣を抜き、殺気を放つジャクリン。
クレイ 「殺すとか、本気かよ……」
ジャクリン 「貴族社会にヴァレット家から魔なしが生まれたという噂が広まっている。私も貴族達に嘲笑されたよ。
ったく……だからこうなる前に早く家を出ろと言っていたのだ。ここまで来たらもう家を出たくらいでは済まされないんだよ」
ジャクリンはゆっくりとクレイの側まで近づくと、剣を大上段に振りかぶる。
ジャクリンは魔力で筋力を強化している。王都で一二を争う実力の持ち主である。その本気の剣速は、魔なしのクレイでは視認すらできないだろう。そう高を括っての余裕の動きであった。
ジャクリン 「安心しろ、苦しまないように一瞬で殺してやる」
さすがにクレイもジャクリンが本気であると悟ったが、クレイもこのままおめおめと殺されてやるつもりはない。
ジャクリンの剣が振り上げられた瞬間、クレイは手に持っていた魔導具をジャクリンに向け引き金を引いた。直径五センチほど、長さは三十センチほどの筒が二本並んだ形の魔道具である。ジャクリンに窓から放り出された時、とっさにそれだけは掴んでいたのだ。
ジャクリンの剣速は稲妻のごとく速い。おそらく、クレイが引き金を引く速度より剣を振り下ろす速度のほうが速いはずだ。と言う事は、剣が振り下ろされ始めるより早く引き金を引くしかない。だが、剣が当たらないほど遠間だと、命中しない可能性があるし、中途半端に届く距離で銃を構えれば、銃を何らかの武器と認識して(腕ごと?)斬り落されてしまう可能性がある。そのため、クレイはギリギリまで引き付けてから撃つようにしたのだ。
無我夢中で銃を向け引き金を引いたクレイ。結果は―――ジャクリンが剣を振り下ろすより先に、筒状の魔導具から射出されたモノがジャクリンを後方へ吹き飛ばした。
数メートルほど後方へ飛ばされ、着地できずに地面を転がるジャクリン。
クレイ 「俺は確かに魔法は使えないけど、魔導具なら使えるんだよ」
この時点で既にクレイは、自分で魔導具をある程度は作ったり改良したりできるようになっていたのである。
クレイのスキルであるクロネコツールは、デコンパイルだけでなく、当然コンパイル・ビルドの機能もあった。古代魔法言語でソースを書き、それをコンパイルすると、実行可能なライブラリが作成され登録される。そこから必要なモノを組み合わせ、魔法陣生成すると魔法陣の完成である。
そのビルド済み魔法陣を使って魔導具を作る事で、クレイも魔法が擬似的に使えるようになったのである。
そして、ここ半年は、攻撃や防御に使える魔導具を準備してきた。この世界で生きていくため、クレイは魔導具で身を固める事で、戦えるようになる事を目指したのだ。
(それから噂が巡り巡ってジャクリンのライバルの貴族の耳に入り、ジャクリンが嘲笑されるのはもう少し後の事になる。)
学園から戻ったクレイは、魔導具の研究の方向性を少し変える事にした。
学園で貴族の子達に馬鹿にされた。相手は貴族の優秀な子供達。皆豊富な魔力を持っており、喧嘩したところで敵う相手ではないから我慢するしかなかったが、やはり腹が立ったからである。
それまではクレイは生活に役立つような魔導具を作ろうと考えていたのだが、攻撃・防御のための魔法陣/魔導具を作る方向にシフトしたのである。既にあった研究成果で転用できるものが多かったため、それほど苦労はなかった。ゼロから新しい魔法陣を構築するのは難しいが、既存の魔法陣を利用して “改良” すれば割と仕事は捗る。
そして、学園での事など忘れた頃……
怒れるジャクリンの襲撃があった。
王都の騎士団は東西南北に分けられており、ジャクリンはその東支部の支部長である。ところがある日、各支部の上で全体の指揮を取る騎士団長が高齢で引退する事が発表された。そして次の騎士団長にジャクリンの名前が上がったのだ。
だが、他の支部長達がジャクリンが上に立つ事に反発。ジャクリンの実家であるヴァレット家は不良品が生まれる家系であると、わざわざ国王や貴族達の居る前でジャクリンを嘲笑したのだ。
結局、血筋を重んじる古い貴族達の意見で、次の騎士団長には侯爵家の血筋である西支部長カイルが任命された。
その決定について、クレイの事が影響があったかどうかは分からないのだが、熾烈な出世競争を戦っていたジャクリンは、大事なところで足を引っ張られた事が我慢ならず、ついにクレイを処分する決意をしたのだ。
だが、クレイの両親が居れば邪魔をされるのは間違いない。そこれで、二人が所用で王都へ出掛けて不在である日を待って、屋敷に襲来したのであった。
ジャクリン 「悪いがお前には死んでもらう」
剣を抜き、殺気を放つジャクリン。
クレイ 「殺すとか、本気かよ……」
ジャクリン 「貴族社会にヴァレット家から魔なしが生まれたという噂が広まっている。私も貴族達に嘲笑されたよ。
ったく……だからこうなる前に早く家を出ろと言っていたのだ。ここまで来たらもう家を出たくらいでは済まされないんだよ」
ジャクリンはゆっくりとクレイの側まで近づくと、剣を大上段に振りかぶる。
ジャクリンは魔力で筋力を強化している。王都で一二を争う実力の持ち主である。その本気の剣速は、魔なしのクレイでは視認すらできないだろう。そう高を括っての余裕の動きであった。
ジャクリン 「安心しろ、苦しまないように一瞬で殺してやる」
さすがにクレイもジャクリンが本気であると悟ったが、クレイもこのままおめおめと殺されてやるつもりはない。
ジャクリンの剣が振り上げられた瞬間、クレイは手に持っていた魔導具をジャクリンに向け引き金を引いた。直径五センチほど、長さは三十センチほどの筒が二本並んだ形の魔道具である。ジャクリンに窓から放り出された時、とっさにそれだけは掴んでいたのだ。
ジャクリンの剣速は稲妻のごとく速い。おそらく、クレイが引き金を引く速度より剣を振り下ろす速度のほうが速いはずだ。と言う事は、剣が振り下ろされ始めるより早く引き金を引くしかない。だが、剣が当たらないほど遠間だと、命中しない可能性があるし、中途半端に届く距離で銃を構えれば、銃を何らかの武器と認識して(腕ごと?)斬り落されてしまう可能性がある。そのため、クレイはギリギリまで引き付けてから撃つようにしたのだ。
無我夢中で銃を向け引き金を引いたクレイ。結果は―――ジャクリンが剣を振り下ろすより先に、筒状の魔導具から射出されたモノがジャクリンを後方へ吹き飛ばした。
数メートルほど後方へ飛ばされ、着地できずに地面を転がるジャクリン。
クレイ 「俺は確かに魔法は使えないけど、魔導具なら使えるんだよ」
この時点で既にクレイは、自分で魔導具をある程度は作ったり改良したりできるようになっていたのである。
クレイのスキルであるクロネコツールは、デコンパイルだけでなく、当然コンパイル・ビルドの機能もあった。古代魔法言語でソースを書き、それをコンパイルすると、実行可能なライブラリが作成され登録される。そこから必要なモノを組み合わせ、魔法陣生成すると魔法陣の完成である。
そのビルド済み魔法陣を使って魔導具を作る事で、クレイも魔法が擬似的に使えるようになったのである。
そして、ここ半年は、攻撃や防御に使える魔導具を準備してきた。この世界で生きていくため、クレイは魔導具で身を固める事で、戦えるようになる事を目指したのだ。
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