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第二部 ダンジョン攻略編
第77話 五体満足…?
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久々に家族が集まってのヴァレット家の晩餐。ワルドマは結婚して別宅に住んでいるのだが今日はクレイのために実家に戻って晩餐に加わった。残念ながら姉のステラは不在であったが。
(※姉のステラは在学中に恋仲になった遠方の伯爵家に嫁いだからである。貴族の結婚は政略結婚が当たり前、恋愛結婚など普通は許されないものだが、今回は先方の伯爵家が同じ王族派の上位貴族であり、先方も子爵ではあるがヴァレット家の活躍を評価してくれていたため許されたのであった。)
さて、クレイの体験談であるが、あまり楽しい話ではないため、肝心な部分は食事が終わった後に話す事にした。
ダンジョンの深層で死にかけた話を聞いて、クレイの母マイアは絶句していた。父ブランドも眉間にシワを寄せている。
ブランド 「冒険者になれば命の危険もあるとは思っていたが…こんな事ならお前にはやっぱりもっと違う道を進ませるべきだったな。というか、お前はてっきり魔道具を生産する仕事に就くと思っていたんだが…」
クレイ 「ごめんなさい、勝手に冒険者になって。古代遺跡ダンジョンの魔法陣に興味があったので…
でも、そうなると思ってたんだよね? ギルドマスターに聞いたよ?」
ブランド 「サイモンか。まぁ、お前はずっと、古代遺物の魔法陣を調べたいと言っていたからな。いずれ行く時もくるだろうとは思って声を掛けておいたんだ」
クレイ 「まぁ、僕も簡単ではないとは思ってはいたんだけどね。でもまさかいきなり死にかけるとは思わなかった」(笑)
ワルドマ 「笑い事か! …しかし、よくそんな状況から五体満足で生きて帰れたな?」
クレイ 「五体満足…?
…そういえば、父さんの治療は? もちろんするんですよね? 王都に行けば手足の欠損も治療できる治癒魔法師が居ると聞いたけど」
ワルドマ 「受けさせたいと俺は思っている。だが、ずっと説得しているんだが、うんと言ってくれないんだよ」
ブランド 「民の税収からそんな無駄使いをさせるわけにはいかんと言っているだろうが」
ワルドマ 「…という調子でね。王もスタンピードを収め王都に被害を出さなかった事を評価して、王の特別推薦で、治療費は格安、順番も先にしてくれると言ってくれたんだけどね」
ブランド 「格安と言ってもこの領地にとっては決して安くはない金額なのだ。それに、順番を待っている人を飛ばして自分が受けるのもな…。
幸い領主の仕事はワルドマが立派に引き継いでくれている。近いうちに爵位も正式に引き継いで隠居しようと考えているんだ。隠居の身であれば、体に多少不自由があろうとも問題はない…」
ワルドマ 「父さんはまだ隠居するような歳じゃないじゃないか」
クレイ 「父さん……その治療だけど…俺にやらせてくれないか? 通常の魔法治療とは少し違うんだけど…」
ワルドマ 「どういう事だ?」
クレイ 「条件は、秘密を守ってくれる事。まぁ父さんには話そうと思っていたんだけどね。あの時、死にかけた、というか一度死んだんだけど、そこからどうして僕が生還できたのか、その秘密を……」
ブランド 「うむ、まだ肝心なところを聞いていないな。どうやって助かったんだ?」
クレイ 「さっき、ワルドマ兄さんは五体満足でって言ったけど、ちょっと違うんだ」
そう言いながら、クレイは右手を外してみせた。
ワルドマ 「!!」
ブランド 「…それは……?!」
手首の断面には何か光る機械的なモノが見えている。
クレイ 「義手だよ。と言っても、普通の手とまったく変わらない、感覚もあるし、自由に動く」
手首を戻し、手を閉じたり開いたりして見せるクレイ。
クレイ 「あの時、魔物に―――マシンアラクネに襲われて、僕は右手と左足を失くしたんだ。あと、右目も失明してた。ふふ、父さんと同じだね」
ブランド 「クレイ……」
クレイ 「大丈夫だよ、目も見えてるし、手も足も普通に使える。普通というか、前より高性能になったし。これと同じ治療を父さんも受けてみないか?」
ブランド 「その治療はどこで? どうやら魔道具のようだが、莫大な料金を取られたのではないか?」
クレイ 「金は一切必要ないし、順番待ちもないよ」
ブランド 「まさか、お前が開発したのか?」
クレイ 「そうだと言いたいけど、残念がら僕にそんな能力はないよ」
ワルドマ 「では一体誰に…?」
クレイ 「人じゃない、ダンジョンの深層……というか、深層を超えた更にその下? にある、古代文明の遺跡だよ」
ワルドマ 「古代文明の遺跡だと?! まさかお前は…」
ブランド 「リジオンは古代遺跡のダンジョンだとは聞いていたが、まさかお前は、ダンジョンの最下層に辿り着いたのか?」
クレイ 「古代文明の遺跡なんだけど、現在も稼働していたんだ。それは、どちらかと言うと “研究所” みたいな感じかな。まぁ、あまり詳しくは言えないんだけど、公表してほしくないらしいから。
父さん達も黙っていてくれるよね? もし、公表するというのなら、この話は聞かなかったことにして。僕も姿を消さないといけなくなるけど…」
ブランド 「…ああ、ちょっと話についていけていないが、話してはいけない事なら誰にも言わない。約束する」
それから、クレイはあの後何があったのかを話し始めた。
(※姉のステラは在学中に恋仲になった遠方の伯爵家に嫁いだからである。貴族の結婚は政略結婚が当たり前、恋愛結婚など普通は許されないものだが、今回は先方の伯爵家が同じ王族派の上位貴族であり、先方も子爵ではあるがヴァレット家の活躍を評価してくれていたため許されたのであった。)
さて、クレイの体験談であるが、あまり楽しい話ではないため、肝心な部分は食事が終わった後に話す事にした。
ダンジョンの深層で死にかけた話を聞いて、クレイの母マイアは絶句していた。父ブランドも眉間にシワを寄せている。
ブランド 「冒険者になれば命の危険もあるとは思っていたが…こんな事ならお前にはやっぱりもっと違う道を進ませるべきだったな。というか、お前はてっきり魔道具を生産する仕事に就くと思っていたんだが…」
クレイ 「ごめんなさい、勝手に冒険者になって。古代遺跡ダンジョンの魔法陣に興味があったので…
でも、そうなると思ってたんだよね? ギルドマスターに聞いたよ?」
ブランド 「サイモンか。まぁ、お前はずっと、古代遺物の魔法陣を調べたいと言っていたからな。いずれ行く時もくるだろうとは思って声を掛けておいたんだ」
クレイ 「まぁ、僕も簡単ではないとは思ってはいたんだけどね。でもまさかいきなり死にかけるとは思わなかった」(笑)
ワルドマ 「笑い事か! …しかし、よくそんな状況から五体満足で生きて帰れたな?」
クレイ 「五体満足…?
…そういえば、父さんの治療は? もちろんするんですよね? 王都に行けば手足の欠損も治療できる治癒魔法師が居ると聞いたけど」
ワルドマ 「受けさせたいと俺は思っている。だが、ずっと説得しているんだが、うんと言ってくれないんだよ」
ブランド 「民の税収からそんな無駄使いをさせるわけにはいかんと言っているだろうが」
ワルドマ 「…という調子でね。王もスタンピードを収め王都に被害を出さなかった事を評価して、王の特別推薦で、治療費は格安、順番も先にしてくれると言ってくれたんだけどね」
ブランド 「格安と言ってもこの領地にとっては決して安くはない金額なのだ。それに、順番を待っている人を飛ばして自分が受けるのもな…。
幸い領主の仕事はワルドマが立派に引き継いでくれている。近いうちに爵位も正式に引き継いで隠居しようと考えているんだ。隠居の身であれば、体に多少不自由があろうとも問題はない…」
ワルドマ 「父さんはまだ隠居するような歳じゃないじゃないか」
クレイ 「父さん……その治療だけど…俺にやらせてくれないか? 通常の魔法治療とは少し違うんだけど…」
ワルドマ 「どういう事だ?」
クレイ 「条件は、秘密を守ってくれる事。まぁ父さんには話そうと思っていたんだけどね。あの時、死にかけた、というか一度死んだんだけど、そこからどうして僕が生還できたのか、その秘密を……」
ブランド 「うむ、まだ肝心なところを聞いていないな。どうやって助かったんだ?」
クレイ 「さっき、ワルドマ兄さんは五体満足でって言ったけど、ちょっと違うんだ」
そう言いながら、クレイは右手を外してみせた。
ワルドマ 「!!」
ブランド 「…それは……?!」
手首の断面には何か光る機械的なモノが見えている。
クレイ 「義手だよ。と言っても、普通の手とまったく変わらない、感覚もあるし、自由に動く」
手首を戻し、手を閉じたり開いたりして見せるクレイ。
クレイ 「あの時、魔物に―――マシンアラクネに襲われて、僕は右手と左足を失くしたんだ。あと、右目も失明してた。ふふ、父さんと同じだね」
ブランド 「クレイ……」
クレイ 「大丈夫だよ、目も見えてるし、手も足も普通に使える。普通というか、前より高性能になったし。これと同じ治療を父さんも受けてみないか?」
ブランド 「その治療はどこで? どうやら魔道具のようだが、莫大な料金を取られたのではないか?」
クレイ 「金は一切必要ないし、順番待ちもないよ」
ブランド 「まさか、お前が開発したのか?」
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ワルドマ 「古代文明の遺跡だと?! まさかお前は…」
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