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42話
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はあああ、反対方向へ来たということは……遠回りでしかない。
それでなくとも体力が弱っていて歩くのがつらいのに……お金をケチらないで辻馬車に乗ればよかった。
今更か……田舎道で辻馬車すらない。
地図で道は分かってはいるとはいえ……遠い……このままでは真っ暗になる頃にしか隣町へつかないかも……
前途多難で、ダイガットについ恨みが……ほんと、あいつ碌なことしない。あそこにいなければ真っ直ぐ隣村への道へ行けたので、時間もかからなかったのに。
ぶつぶつと文句を言いながらも取り敢えず前を進むしかない。
もう少し歩けば賑わいのあるお店屋さんが並ぶ村の中心街へと着くはず。そこで馬車を探してセント村まで乗せてもらおう。
トボトボと歩いていると「ビアンカ!!」と後ろから声が聞こえて来た。
馬車の走る音も聞こえる。
この声は、バァズ?
思わず人寂しくなって心も弱っていたので振り返った。
馬車の中から体を乗り出して手を振っているバァズ。
「バァズ!!どうしたの?なんでここに居るの?」
つい嬉しくなって声が大きくなった。
「ビアンカ!そこに止まってて!」
「うん」
バァズの馬車が目の前に止まった。
「乗って!」
「え?」
「え?じゃないよ!勝手に侯爵家を出て行って探し回ったんだから!侯爵家のメイド長に無理やり聞き出してセントに向かってるかもと聞いて馬車で追いかけたけど見つからなくて、ビアンカを見かけなかったか聞いてまわってなんとか見つけたんだからね?」
「探し回ったの?」
「うん、セントに向かったはずなのになんでこんな遠回りしているんだい?どこか違うところを目指してたの?」
「街中でダイガットとフランソア様のイチャイチャしているところを見かけて、見つかる前に思わず反対方向へと足が進んでしまったの」
「あの二人?確かに俺と見た!二人で仲良くくっついて買い物してた。アレを見たのか……」
「うん」
「……傷ついた?悲しかった?」
「………はああ?もしかしてダイガットが浮気してるの見てショック受けたと思ったの?違うわ!もし大きな鞄を持って歩いているのを見られたらどんな難癖をつけられるかわからないから見つからないように逃げたの」
「そっか……宮廷から戻ったと聞いて、侯爵家に訪ねたらビアンカが屋敷を出て行ったと聞いて慌てて探しに来たんだ。せめて俺に声をかけてくれたらいいのに。
確かにまだ俺じゃあ頼りないけど、兄さんもいるしビアンカのためなら喜んで手助けするのに、水くさいよ!」
「ごめんなさい……でも近所に住んでいるから迷惑はかけたくないの、あの人は今とてもご機嫌が悪いから私が関わる人たちに何するかわからないもの」
「君の継母の実家は確かにこの国一番の金持ちの公爵家だけど、今は嫁いで伯爵家だろう?」
「あの人は今もまだ実家の力を使って好き勝手してるの。今回たくさんの人の前で私に怪我をさせたけど、私に鞭を打ったことは誰も怖くて証人にならなかったわ。平民の御者に対して叱っただけだから罪に問われなかった。私の怪我には無関係だと言ってすぐに牢から出たわ……彼女は罪を問おうとした私を恨んでるわ」
「じゃあビアンカは怪我をして恨まれて、この国から逃げ出すの?」
「うーん……元々この国から出たかったから、逃げ出すことに後悔はないの」
バァズは納得できないみたいで悔しそうにしていた。
「バァズ、セントまで連れて行ってくれないかな?流石に病み上がりの体に遠回りは疲れちゃって、馬車を探そうと思っていたの」
「…………わかった」
「とっても助かったわ、ありがとう」
「そんな青い顔をしてるのに放ってはおけないだろう?」
「顔色悪い?」
「ああ、だから、ビアンカが落ち着くまでついて行くよ」
「いやいや、バァズは学校があるのだから駄目よ?」
なんとか彼を諭さないと……ほんとお子ちゃまなんだから。
それでなくとも体力が弱っていて歩くのがつらいのに……お金をケチらないで辻馬車に乗ればよかった。
今更か……田舎道で辻馬車すらない。
地図で道は分かってはいるとはいえ……遠い……このままでは真っ暗になる頃にしか隣町へつかないかも……
前途多難で、ダイガットについ恨みが……ほんと、あいつ碌なことしない。あそこにいなければ真っ直ぐ隣村への道へ行けたので、時間もかからなかったのに。
ぶつぶつと文句を言いながらも取り敢えず前を進むしかない。
もう少し歩けば賑わいのあるお店屋さんが並ぶ村の中心街へと着くはず。そこで馬車を探してセント村まで乗せてもらおう。
トボトボと歩いていると「ビアンカ!!」と後ろから声が聞こえて来た。
馬車の走る音も聞こえる。
この声は、バァズ?
思わず人寂しくなって心も弱っていたので振り返った。
馬車の中から体を乗り出して手を振っているバァズ。
「バァズ!!どうしたの?なんでここに居るの?」
つい嬉しくなって声が大きくなった。
「ビアンカ!そこに止まってて!」
「うん」
バァズの馬車が目の前に止まった。
「乗って!」
「え?」
「え?じゃないよ!勝手に侯爵家を出て行って探し回ったんだから!侯爵家のメイド長に無理やり聞き出してセントに向かってるかもと聞いて馬車で追いかけたけど見つからなくて、ビアンカを見かけなかったか聞いてまわってなんとか見つけたんだからね?」
「探し回ったの?」
「うん、セントに向かったはずなのになんでこんな遠回りしているんだい?どこか違うところを目指してたの?」
「街中でダイガットとフランソア様のイチャイチャしているところを見かけて、見つかる前に思わず反対方向へと足が進んでしまったの」
「あの二人?確かに俺と見た!二人で仲良くくっついて買い物してた。アレを見たのか……」
「うん」
「……傷ついた?悲しかった?」
「………はああ?もしかしてダイガットが浮気してるの見てショック受けたと思ったの?違うわ!もし大きな鞄を持って歩いているのを見られたらどんな難癖をつけられるかわからないから見つからないように逃げたの」
「そっか……宮廷から戻ったと聞いて、侯爵家に訪ねたらビアンカが屋敷を出て行ったと聞いて慌てて探しに来たんだ。せめて俺に声をかけてくれたらいいのに。
確かにまだ俺じゃあ頼りないけど、兄さんもいるしビアンカのためなら喜んで手助けするのに、水くさいよ!」
「ごめんなさい……でも近所に住んでいるから迷惑はかけたくないの、あの人は今とてもご機嫌が悪いから私が関わる人たちに何するかわからないもの」
「君の継母の実家は確かにこの国一番の金持ちの公爵家だけど、今は嫁いで伯爵家だろう?」
「あの人は今もまだ実家の力を使って好き勝手してるの。今回たくさんの人の前で私に怪我をさせたけど、私に鞭を打ったことは誰も怖くて証人にならなかったわ。平民の御者に対して叱っただけだから罪に問われなかった。私の怪我には無関係だと言ってすぐに牢から出たわ……彼女は罪を問おうとした私を恨んでるわ」
「じゃあビアンカは怪我をして恨まれて、この国から逃げ出すの?」
「うーん……元々この国から出たかったから、逃げ出すことに後悔はないの」
バァズは納得できないみたいで悔しそうにしていた。
「バァズ、セントまで連れて行ってくれないかな?流石に病み上がりの体に遠回りは疲れちゃって、馬車を探そうと思っていたの」
「…………わかった」
「とっても助かったわ、ありがとう」
「そんな青い顔をしてるのに放ってはおけないだろう?」
「顔色悪い?」
「ああ、だから、ビアンカが落ち着くまでついて行くよ」
「いやいや、バァズは学校があるのだから駄目よ?」
なんとか彼を諭さないと……ほんとお子ちゃまなんだから。
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