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51話
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オリソン国もまた青い空が続いていた。
最近は天気も良く心地よい温度で歩くにも最適な日々が続いていた。
お祖母様と二人、寄り添い合いながら森の中を歩いた。
もちろん後ろからは侯爵家の護衛とあと少し制服の違う護衛の人が数人ついて来てくれていた。
「あの護衛の人たちはね、オリソン国の騎士様なのよ」
「騎士の方達がどうしているのですか?」
「わたくし達が元国王族だからよ」
「王族?」
初めて聞いた話だった。
「ふふっ、と言っても母が前王国の国王の娘だったというだけで、今の国王からしたら敵だったのだけどね」
オリソン国は以前、悪政に苦しめられ全王国は滅び、新しい国王が即位した。
その時前国王の親類縁者全てが処刑されたり罰を受けたわけではなかったらしい。
曾祖母の夫である公爵は、曾祖母の甥である国王の悪政を何度も諭し、国民のために仲間達と共に奮闘して回った。
飢饉により食糧不足の人たちのために自らの資金を使い外国から食糧を買いつけ配ったりもしていたそうだ。
治安が悪化した村々に騎士や兵士を向かわせ、治安維持に努めた。
現国王は、曾祖父達が努力してきたことを考慮して罰を与えることなく、逆に頼りにしたのだと教えてくれた。今はもう亡くなってしまったが、祖父や叔父達、公爵家の者達はこの国を支えているらしい。
でも……お出かけだけなら侯爵家の護衛で十分なのでは?
私の考えていることが顔に出ていたのだろう。
「ビアンカ、貴女はこの国に来てもう安心だと思っているでしょう?」
え?違うの?
継母の手を逃れ、こんなに穏やかな暮らしをしているのに?
「ミラー伯爵夫人は、今国内から姿を消しているの。アーシャの殺人容疑で逮捕しようとして……ミラー伯爵を刺して逃げているわ」
思ってもみなかった言葉に呆然とした。
「だからと言ってこの国に来るかはもちろんわからないわ。あんな女のために貴女が屋敷にじっと隠れているなんておかしいと思うの。でもね、安心しているわけにもいかない。
それで女性騎士を数人国王にお願いして回してもらったの」
なるほど。だから女性の騎士が二人後ろについているんだ。
「本当は話しておかなければいけない話だったのだけど、貴女が熱で寝込んでいたから迷ってしまっていたの。また後ほど詳しく話をするわ」
「……はい」
お父様が刺されたと聞いて内心ドキッとしたのに、急いで問いただそうと思わない。
死んでいないのならそれだけでいい。
私は冷たい娘かもしれない。
もうあの国を振り返ることはない。
でも、王妃様やシャルマ夫人にはお礼の手紙を書いた。
バァズやメイド長達にも元気でいること、またいつか会いたいと手紙を送った。
マリアナ達に手紙を送ったらすぐに返事が来た。
『馬鹿!どうしてわたくし達を頼ってくれなかったの?どうしてさよならを言わせてくれなかったの?どうして一人でいなくなったの?』
そんな内容の手紙に苦笑いをした。そして、マリアナ達のくれた手紙の字が滲んでいるのを見て、私も涙が溢れた。
彼女達に迷惑をかけたくなくて頼らずに国を出た。
でもみんなは……頼って欲しかった、子供の時は守ってあげられなかったからこそ今度は守ってあげたかったと書いてあった。
またいつかみんなに会いたい。
その想いを手紙に書いてまた返事を送った。
森の中を少し歩くと、たくさんの花が咲いていて、そこにお母様のお墓が建てられていた。
お母様は侯爵家の土地であるこの森が大好きで良く家族で遊びに来ていたらしい。
もちろん王妃様もこの森が大好きで、二人はよく森の中を散策したりピクニックをして楽しんでいたと話してくれた。
お母様は大好きだったオリソン国のこの森の中で静かに眠っていた。
すぐに再婚した父から遺骨を返してもらった。父は何か思うところはあったのだろうか?
それとも母の遺骨を簡単に手放したのかしら?
お母様は今のお父様に対してどう思っているの?
お母様のお墓の前で手を合わせ話しかけた。
「お母様……ずっと会いに来れなくてごめんなさい……やっと……会えました」
お祖母様は手を合わせた後すぐにその場を離れ護衛達と別の場所でゆっくり過ごしていた。
私は久しぶりにお母様と話をした。一方的な問いかけでしかないけど、お母様にぽつりぽつりと話したかったこと、聞いてほしい自分の気持ちを語った。
「お母様、これからは度々会いに来ますね」
最近は天気も良く心地よい温度で歩くにも最適な日々が続いていた。
お祖母様と二人、寄り添い合いながら森の中を歩いた。
もちろん後ろからは侯爵家の護衛とあと少し制服の違う護衛の人が数人ついて来てくれていた。
「あの護衛の人たちはね、オリソン国の騎士様なのよ」
「騎士の方達がどうしているのですか?」
「わたくし達が元国王族だからよ」
「王族?」
初めて聞いた話だった。
「ふふっ、と言っても母が前王国の国王の娘だったというだけで、今の国王からしたら敵だったのだけどね」
オリソン国は以前、悪政に苦しめられ全王国は滅び、新しい国王が即位した。
その時前国王の親類縁者全てが処刑されたり罰を受けたわけではなかったらしい。
曾祖母の夫である公爵は、曾祖母の甥である国王の悪政を何度も諭し、国民のために仲間達と共に奮闘して回った。
飢饉により食糧不足の人たちのために自らの資金を使い外国から食糧を買いつけ配ったりもしていたそうだ。
治安が悪化した村々に騎士や兵士を向かわせ、治安維持に努めた。
現国王は、曾祖父達が努力してきたことを考慮して罰を与えることなく、逆に頼りにしたのだと教えてくれた。今はもう亡くなってしまったが、祖父や叔父達、公爵家の者達はこの国を支えているらしい。
でも……お出かけだけなら侯爵家の護衛で十分なのでは?
私の考えていることが顔に出ていたのだろう。
「ビアンカ、貴女はこの国に来てもう安心だと思っているでしょう?」
え?違うの?
継母の手を逃れ、こんなに穏やかな暮らしをしているのに?
「ミラー伯爵夫人は、今国内から姿を消しているの。アーシャの殺人容疑で逮捕しようとして……ミラー伯爵を刺して逃げているわ」
思ってもみなかった言葉に呆然とした。
「だからと言ってこの国に来るかはもちろんわからないわ。あんな女のために貴女が屋敷にじっと隠れているなんておかしいと思うの。でもね、安心しているわけにもいかない。
それで女性騎士を数人国王にお願いして回してもらったの」
なるほど。だから女性の騎士が二人後ろについているんだ。
「本当は話しておかなければいけない話だったのだけど、貴女が熱で寝込んでいたから迷ってしまっていたの。また後ほど詳しく話をするわ」
「……はい」
お父様が刺されたと聞いて内心ドキッとしたのに、急いで問いただそうと思わない。
死んでいないのならそれだけでいい。
私は冷たい娘かもしれない。
もうあの国を振り返ることはない。
でも、王妃様やシャルマ夫人にはお礼の手紙を書いた。
バァズやメイド長達にも元気でいること、またいつか会いたいと手紙を送った。
マリアナ達に手紙を送ったらすぐに返事が来た。
『馬鹿!どうしてわたくし達を頼ってくれなかったの?どうしてさよならを言わせてくれなかったの?どうして一人でいなくなったの?』
そんな内容の手紙に苦笑いをした。そして、マリアナ達のくれた手紙の字が滲んでいるのを見て、私も涙が溢れた。
彼女達に迷惑をかけたくなくて頼らずに国を出た。
でもみんなは……頼って欲しかった、子供の時は守ってあげられなかったからこそ今度は守ってあげたかったと書いてあった。
またいつかみんなに会いたい。
その想いを手紙に書いてまた返事を送った。
森の中を少し歩くと、たくさんの花が咲いていて、そこにお母様のお墓が建てられていた。
お母様は侯爵家の土地であるこの森が大好きで良く家族で遊びに来ていたらしい。
もちろん王妃様もこの森が大好きで、二人はよく森の中を散策したりピクニックをして楽しんでいたと話してくれた。
お母様は大好きだったオリソン国のこの森の中で静かに眠っていた。
すぐに再婚した父から遺骨を返してもらった。父は何か思うところはあったのだろうか?
それとも母の遺骨を簡単に手放したのかしら?
お母様は今のお父様に対してどう思っているの?
お母様のお墓の前で手を合わせ話しかけた。
「お母様……ずっと会いに来れなくてごめんなさい……やっと……会えました」
お祖母様は手を合わせた後すぐにその場を離れ護衛達と別の場所でゆっくり過ごしていた。
私は久しぶりにお母様と話をした。一方的な問いかけでしかないけど、お母様にぽつりぽつりと話したかったこと、聞いてほしい自分の気持ちを語った。
「お母様、これからは度々会いに来ますね」
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