【完結】好きです!あと何回言ったらわたしを好きになってくれますか?

たろ

文字の大きさ
1 / 8

前編

しおりを挟む
「貴方が好きです」
会うと必ず伝えるわたしの気持ち。

「ごめん」
必ず返って来る答え。

わかっているんだけど、どうしても伝えたい。

だって時間がないの。
タイムリミットまであとひと月なの。

わたしが彼に会えるのは。

「はあ、またダメだった」

大きな溜息を吐いて、ガックリと下を向く。

「あんな毎回直球で告白するのやめて今度は違う方法で頑張ってみたら?」

友達のエリーが笑いながらアドバイスをくれた。

「一応、手紙も出しているし、ご両親にもお願いに行ってるし、妹さんに餌付け…いや、プレゼントでお菓子を送ってわたしの良いところアピールもしてもらっているし、毎日朝彼が学校へ行く時に家の前に立って待って一緒に…いや、後ろからついて「好きです」って言ってるし……それにあとは……」

「ダリア、それダメなやつばかりしてる……いわゆるストーカー的な?」

「そうかなあ、出来ることは全てやりたいの!だってセザンに会えるのもあとひと月しかないんだよ」

「確かに…卒業したらセザンは外交官として働き出すからもうこの国にはいないんだよね」

「うん、だから今しかないの!」

セザンは平民なんだけど王立学園の首席でとっても優秀なの。
だから特待生で通っていて、普通なら平民ではなれない外交官の試験も受かってしまう、凄い人。

少しだけ無愛想だけど本当は優しいの。
わたしはこう見えて一応侯爵令嬢なの。

婚約者はまだいない。

お父様にどうしても好きな人がいるからまだ婚約者は作りたくないと駄々を捏ねて10年が経った。

セザンとは幼い頃からの知り合いで大好きで、13歳の時にはわたしを救ってくれた王子様なの。
ずっとずっとセザンが好きで大好きすぎてお父様とお母様には「結婚するならセザンがいい」と言い続けてきた。

もちろん平民の彼と侯爵令嬢では結婚なんて無理なのはわかっているわ。
だけど、彼しかいらないの。
彼が結婚してくれないならわたしは修道女になるつもり。もちろんこれはセザンには言ってない。

だってそんなこと言ったら重荷になって無理矢理結婚するしかなくなるかもしれない。

わたしはセザンに好きになってもらって結婚したい。

今のところ10年間の片思いは実ることがないんだけど。

でもね、セザンの優秀さに、反対していた両親も「彼なら平民でも我が家の婿として受け入れられる」と快く承諾してくれているの。

セザンの両親と妹のマーガレットとも一緒にお茶をしたり食事をするくらい仲良しなの。

でもセザンだけはわたしに塩対応。

笑顔すら見せてくれない。

「……セザン、愛しているのに」

あとひと月、叶わない恋なら諦めて修道院へ行くつもり。
他の人と結婚なんて絶対にしたくない。
わたしのこの体の全てはセザンだけのものよ!

わたしが振られたらその時はお父様に頼んでいる。
養子をとってその子に侯爵家の後を継いでもらうつもり。

「はあ、セザンも大概腹を括ってダリアに捕まればいいのにね」
エリーがわたしに聞こえないように呟いた。


◇ ◇ ◇

「ねえ、あれ」
わたしとエリーが昼食を食堂で食べていると、エリーがジロジロとわたしの後ろを見ていた。

「どうしたの?」
振り返ろうとしたら
「ダメ!」
エリーが突然止めた。

「後ろにセザンが座っているの。……あれは…1年生のユリアンって言う平民の子……最近可愛いって男どもが騒いでいた子よ。なんでセザンと一緒にいるのかしら?」
エリーが一人でぶつぶつ言っているのをわたしは呆然と聞いていた。

ーーあの、セザンが女の子と一緒にいる?
どうして?わたしなんか一緒に食事をしたこともないのに。

振り返る勇気すらなくて、まだ手を付けていなかったAランチは本日そのままの状態でトレーを返却することになってしまった。

◇ ◇ ◇

「お腹が空いたわ」
放課後、馬車のお迎えをいつもより遅めに来てもらうように頼んでいた。
だからお腹が空いても屋敷に帰れない。

本当は放課後、セザンのところへ突撃して告白する予定だった。

でもさすがに女の子と二人でいたと聞いてしまい、会いに行けないでいる。

ーー会いたい

でもユリアン様といた理由は?って問い詰めてしまう。
ま、聞いても返事なんかあるわけないけど。

「仕方ない、図書室にでも行って時間を潰そう」

図書室に行くと一応わたしのお気に入りの席に座る。
そう、一応勉強が苦手だけど、図書室には来るのだ。
いつもはセザン会いたさになんだけどね、

ーーさすがに今日は会いたくない

そんなわたしの気持ちを知ってなのか、セザンは図書室にいなかった。

ーーよかった、もしユリアン様とご一緒する姿を見たらわたしはどうなるんだろう……

前回読みかけていた本を棚から取って、お気に入りの席に座り読み始めた。

しばらくすると、わたしの大好きな声が聞こえてきた。
ーーセザン……もう一人は、女の子?

「セザン様、ここがわからないんです」

「あ、これね、これは解き方があってこっちを……」

ユリアン様と満足二人で勉強をしているみたい。

セザンはこんなに優しい声で話すのね。
わたし以外の女の子に……

その姿を見たくなくて、席をこっそり立った。
ーー彼に気づかれませんように。

わたしは鞄をギュッと持ち、本を急いで棚に返した。

ガタッ‼︎

ーーしまった!鞄を勢いよく落としてしまった。

わたしは二人が座っている方を振り返ることができなくて、鞄を拾いそのままドアに向かい歩き出した。

ーー絶対あっちを向いてはダメ。自然に、気づいてないフリをして歩かなきゃ。

涙が出そうになりながら普通に歩く。
普通って何?
右足と左手を出すんだったよね?

頭の中がパニックになってる。
見たくない。セザンが他の子に優しくする姿なんて!

「あれ?ダリア」
ドアを開けようとした時目の前にいたのはバン・ガーナー侯爵令息だった。
わたしの幼馴染。

「バン!もう目の前にいるからびっくりするじゃない」

「どうしたの?慌てて」
ーーやっぱり慌ててるように見えるのね

「馬車のお迎えが来る時間になったから急いでいるの」

図書室の中にいるセザンに聞こえるようにわざとらしく言い訳をした。

「ふうん、じゃ、馬車乗り場まで送るよ」

「あら?親切ね、嬉しいわ」

バンと一緒に外に出て廊下を歩いた。

「何泣きそうな顔してるんだ、セザンが女の子といるのに気がついて逃げ出そうとしたんだろ?」

「だって、わたしにはあんな優しい態度をしたことない。セザンのあんな優しい声聞いたことない。
わたしってどれだけ嫌われているのか突きつけられたのよ?泣きそうにもなるわ」

「だったら諦めたらいいのに」

「……あと少しだけ頑張りたいの。駄目なら諦めて……」

「修道院だけは駄目だ。それなら他のことをすればいい」

「わたしはセザン以外と結婚なんてしたくない。セザンがわたしを愛してくれないならわたしは修道院で過ごすしかないの、他の人に触られるなんて絶対に嫌!」

「世の中にはいっぱい男はいるよ、それにダリアを愛している男も他にいるとは思わないの?」

「わたしなんか愛してくれる人なんていないわ、セザンなんかいつもわたしのことを冷たい目で見ているもの」

「だったら諦めればいいのに」

「あと少し。あと少ししたら諦めるわ」



バンは後ろを振り返って、廊下に立ちこっちを見ているセザンを見て溜息をついた。

ーーダリアは後ろを見てないから言うんだ。
俺と二人で出て行こうとした時のセザンの顔。
慌てて追いかけて立ち尽くすアイツ。
俺を睨んで、ダリアを切なそうに見ていた。
あれのどこがダリアを嫌ってるんだ。

あいつはいつもダリアの姿を探している。
だって俺もダリアの姿を探しているからわかるんだ。
なのにあいつはダリアに対して冷たい。

ダリアの気持ちを受け入れられないならダリアのこと目で追うな!
ダリアを泣かせるあいつになんか渡してやらない。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

顔も知らない旦那様に間違えて手紙を送ったら、溺愛が返ってきました

ラム猫
恋愛
 セシリアは、政略結婚でアシュレイ・ハンベルク侯爵に嫁いで三年になる。しかし夫であるアシュレイは稀代の軍略家として戦争で前線に立ち続けており、二人は一度も顔を合わせたことがなかった。セシリアは孤独な日々を送り、周囲からは「忘れられた花嫁」として扱われていた。  ある日、セシリアは親友宛てに夫への不満と愚痴を書き連ねた手紙を、誤ってアシュレイ侯爵本人宛てで送ってしまう。とんでもない過ちを犯したと震えるセシリアの元へ、数週間後、夫から返信が届いた。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。 ※全部で四話になります。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました

Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。 「彼から恋文をもらっていますの」。 二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに? 真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。 そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

結婚式の晩、「すまないが君を愛することはできない」と旦那様は言った。

雨野六月(旧アカウント)
恋愛
「俺には愛する人がいるんだ。両親がどうしてもというので仕方なく君と結婚したが、君を愛することはできないし、床を交わす気にもなれない。どうか了承してほしい」 結婚式の晩、新妻クロエが夫ロバートから要求されたのは、お飾りの妻になることだった。 「君さえ黙っていれば、なにもかも丸くおさまる」と諭されて、クロエはそれを受け入れる。そして――

婚約者に値踏みされ続けた文官、堪忍袋の緒が切れたのでお別れしました。私は、私を尊重してくれる人を大切にします!

ささい
恋愛
王城で文官として働くリディア・フィアモントは、冷たい婚約者に評価されず疲弊していた。三度目の「婚約解消してもいい」の言葉に、ついに決断する。自由を得た彼女は、日々の書類仕事に誇りを取り戻し、誰かに頼られることの喜びを実感する。王城の仕事を支えつつ、自分らしい生活と自立を歩み始める物語。 ざまあは後悔する系( ^^) _旦~~ 小説家になろうにも投稿しております。

その結婚は、白紙にしましょう

香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。 彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。 念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。 浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」 身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。 けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。 「分かりました。その提案を、受け入れ──」 全然受け入れられませんけど!? 形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。 武骨で不器用な王国騎士団長。 二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。

処理中です...