【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ

文字の大きさ
47 / 97

47話  元アイシャ編

しおりを挟む
リサ様の態度にわたしは唖然とした。

そしてアイシャちゃんとの記憶が流れてきて、アイシャちゃんの悲しみを知った。

リサ様は、アイシャちゃんが膨大な魔力を持つことを知った時から少しずつ態度が変わっていったようだ。

初めは「アイシャ、凄いわ!素晴らしいわ!」と喜んでいたのに、神殿で属性を調べた時、判別ができなかったらしい。

アイシャちゃんは自分が属性もわからない駄目な子だと思っている。

でも今日キリアン君が話してくれた。

「アイシャお姉ちゃん、アイシャは属性がわからない。それは無属性で逆に全ての属性を持っているということでもあるんだ、だから、リサ様は、いや多分この国の高度な魔力を持った人達はアイシャに憧れ羨み、妬むと思うよ」

「どうして?」
わたしはアイシャちゃんの体にいても魔法の使い方なんてわからないし今は使えない状態。
だからよくわからない。

「それぞれ基本魔法は使えても、みんな水属性とか風属性とか得意な魔法を操るんだ。僕やリサ様は光属性だから、治癒や癒し。カイザ様は少し変わっていて光属性なんだけど癒しより、「時」の魔法を使えるんだ」

「なんだか凄い世界ね、絵本の中にいるみたい」

「うん、よくアイシャお姉ちゃんが読んでくれたよね」

「ふふ、懐かしいわ、魔法のお話の絵本はキリアン君のお気に入りだったわ」

「アイシャお姉ちゃん、僕思うんだ。アイシャお姉ちゃんも自分がみんなに本当は愛されていたと知らずに亡くなったから、まだ未練や後悔があったのかなって……」

「わからないわ、あの頃は絶望の中でしか生きていなかった。キリアン君達の優しさがわたしを幸せにしてくれたし、死ぬのも怖くなかった。だってあったかい中で死んでいけたのだもの」

「……もし、前世の父親や兄に会えると言われたら会ってみたい?」

「………それもわからない。だってもうわたしの記憶はぼんやりとしていることが多いの。鮮明になったりぼやけたり、感情もそう。ただ今のわたしはアイシャちゃんを元に戻してわたしは静かにアイシャちゃんの中でゆっくりと眠りについて消えていく……それだけなの。だからわたしはリサ様からアイシャちゃんを守りたい」

「アイシャのそばに俺がいてあげることができていたら……こんな酷い目に遭わなかったのに……」

キリアン君は悔しそうな顔をしてわたしを……ううん、アイシャちゃんを見た。

「キリアン君はアイシャちゃんを……アイシャお姉ちゃんではなくアイシャちゃんが好きなのね?」

「へ?な、何を言ってるの?違うよ、だって二人は同じアイシャだろう?」

「ううん、キリアン君にとってわたしはアイシャお姉ちゃん。
そしてアイシャちゃんはキリアン君にとって特別なアイシャなのよ。だってアイシャちゃんのことを話している時のキリアン君はとても優しそうな表情をしているわ、それに怒っている時のキリアン君はとても怖いもの。それにキリアン君だけだよ、ハッキリと区別して話すのは。ロウトさんもメリッサさんもそこまで区別してはいないわ」

キリアン君は頭をぽりぽりと掻いて、その後両手を顔に当てて俯いたが耳が真っ赤になっていた。

「アイシャお姉ちゃんがこの国にいると分かってから遠くで見守るとカイザ様と約束したんだ。今はまだ俺のこと見て記憶が混乱したら困るからね。でもアイシャお姉ちゃんにはとても見えなかった。
いつも明るくて使用人とも仲良く話す可愛い笑顔。魔力の制御が苦手で必死で練習している姿も目が離せなくて……」

少し顔を上げてわたしを見ると

「いつの間にかアイシャを見守るんじゃなくて、つい目が追ってたんだ。次は何をするんだろう、どんな表情を見せてくれるんだろうって」

照れ臭そうに言った。

「なのに、とても暗い顔をするんだ。もちろん普段は明るいのに。その理由が何かわからない、だって俺は遠くからしか見守れないからね」

「そっか……」

「理由がハッキリとわかったのは、カイザ様のところにアイシャが家出してからだったんだ」

わたしを、いや、アイシャちゃんを見ながらキリアン君は言った。

「今世では幸せになっていると思っていたアイシャが辛い思いをしていると知った時、その原因であるアイツらをどうやって消そうかと考えたよ」

「キリアン君……」







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

【書籍化決定】愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。 王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。 貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。 だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

あなたには彼女がお似合いです

風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。 妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。 でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。 ずっとあなたが好きでした。 あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。 でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。 公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう? あなたのために婚約を破棄します。 だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。 たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに―― ※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

処理中です...