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84話
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週2日ほどイルマナ様のところへ通って医術を教わっている。
学園がいつもより少し早く終わり、イルマナ様の屋敷に着くといつもの部屋に通された。
お客様が来られているみたいで、わたしは予習をしようといつものように庭へ出た。
客室は庭の窓から見える。
チラリと見えた姿にわたしは固まってしまった。
「………お父様…何故ここに?」
なんだか嫌な予感がした。
わたしは窓の下にこっそりと身を隠して窓の隙間から聞こえる話し声に耳を傾けた。
「ターナはもう持ちそうもない。なんとかもう一度治療をしてもらえないだろうか?」
「ハイド様、気持ちは分かりますがもうわたしの手に負える症状ではありません。リサ様もカイザ様もダメだったのです。わたしでは無理でしょう」
「リサにはターナの今の状態は伝えていない。なんとかリサの病気も落ち着いて普通の生活に戻り始めてはいるが、ターナのことを知れば精神的にまいると思う。それじゃなくてもアイシャのことで自分を責めているんだ。
もうこれ以上リサに心配をかけさせられない」
「……お気持ちはわかりますが……全て貴方達がしてしまったことだと思いますよ」
「わかっています、リサもターナもアイシャに対して酷いことをしてきました。わたし自身もアイシャを可愛がっていたつもりだったのに……いざとなると彼女を責めてしまった。
アイシャは何もしていない、なのに……家族がバラバラになって二人が壊れていく姿にわたしは耐えられなくて…………アイシャに言ってはいけないことを言ってしまいました。本気で思っていたわけではない、わたしはアイシャが可愛い、大切な娘なんだ。
でもあの時はもう疲れ果てて…莫迦なことを言ってしまった」
「…きつい言い方ですが、何も思っていなければそんな言葉は出ませんよ、少しでも思っていたから出た言葉なんです」
「…………心の底に?あったのか?」
「そう言うことだと思います。ターナ様のことはお気の毒様だと思います。しかし今この現状で助けるのは難しいでしょう」
窓の下でわたしは息を殺して聞いていた。
ーーターナがもうもたない?
それは死ぬと言うこと?
『お姉様!』
いつもわたしの後ろをついて回るターナ。
我儘ばかり言って怒るとすぐ泣いて、それでもわたしから離れようとしないターナ。
ターナはわたしを見るといつも笑顔で……そんなターナが可愛くて……
わたしはターナとの楽しい思い出すら忘れていた。
お母様とターナとお父様と四人で笑い合って過ごした日々もあった。
いつの間にか辛い日々へと変わってしまってもう記憶の底にしまい込んでいた。
でも確かにあった、幸せな日々が……
もう要らない、そう思っていたし今更求めようとは思わない。
でもだからと言ってターナに死んで欲しくはない。
今のわたしの技術と体力ではターナを助けることは難しいとイルマナ様は仰った。
でも少しでも可能性があるのならば、助けたい。
そのために今努力をしているのだもの。
わたしは思わず窓から二人に話しかけていた。
「ターナはわたしが助けます」
二人はわたしの方へ視線を向けた。
「アイシャ?」
「話を聞いていたのか?」
驚いた顔をした二人に言った。
「少しでも可能性があるのならばわたしにターナの治療をさせてください」
「ダメだ!アイシャの今の力ではまだ無理だ、アイシャが死んでしまうかもしれない。あと数年後なら或いは治療できたかもしれないが」
「アイシャもういいんだ、お前には負担はかけたくない。わたしは親として失格だった、リサのことだってお前に頼んではいけないのにお願いしてしまった。
わたしはもうアイシャには…………」
「わたしは貴方達が家族だから助けたいわけではありません、もうそんな感情は捨てました。ただ医術者になりたいと思っていて、わたしなら助けることが出来るかもしれないのなら、チャレンジしてみたいだけです」
「今のアイシャではまだ黒魔法に打ち勝つのは難しい。………だが闇にのまれたターナをこれ以上侵食させないようにすることはできるかもしれない」
「イルマナ様!」
「ただし、キリアンを呼ぶ。キリアンも光魔法の使い手だ。アイシャほど洗練された光魔法の使い手はいないがキリアンには高度な技術がある。少しはアイシャの役にたつだろう」
「キリアン様?」
「彼なら助けてくれるだろう。アイシャのためならね」
「………アイシャ、すまない、ありがとう」
「ハイド様、わたしは自分の意思でターナを助けるのです。気にしないでください」
お父様はわたしに他人のような言葉で話されてショックを受けていた。
わたしはこの家族と対峙して気づいた。
もうわたしの中に彼らを家族として求める心がないことを……でも、だからと言って死んでほしくはない。
助かって欲しいし助けてあげたい。
学園がいつもより少し早く終わり、イルマナ様の屋敷に着くといつもの部屋に通された。
お客様が来られているみたいで、わたしは予習をしようといつものように庭へ出た。
客室は庭の窓から見える。
チラリと見えた姿にわたしは固まってしまった。
「………お父様…何故ここに?」
なんだか嫌な予感がした。
わたしは窓の下にこっそりと身を隠して窓の隙間から聞こえる話し声に耳を傾けた。
「ターナはもう持ちそうもない。なんとかもう一度治療をしてもらえないだろうか?」
「ハイド様、気持ちは分かりますがもうわたしの手に負える症状ではありません。リサ様もカイザ様もダメだったのです。わたしでは無理でしょう」
「リサにはターナの今の状態は伝えていない。なんとかリサの病気も落ち着いて普通の生活に戻り始めてはいるが、ターナのことを知れば精神的にまいると思う。それじゃなくてもアイシャのことで自分を責めているんだ。
もうこれ以上リサに心配をかけさせられない」
「……お気持ちはわかりますが……全て貴方達がしてしまったことだと思いますよ」
「わかっています、リサもターナもアイシャに対して酷いことをしてきました。わたし自身もアイシャを可愛がっていたつもりだったのに……いざとなると彼女を責めてしまった。
アイシャは何もしていない、なのに……家族がバラバラになって二人が壊れていく姿にわたしは耐えられなくて…………アイシャに言ってはいけないことを言ってしまいました。本気で思っていたわけではない、わたしはアイシャが可愛い、大切な娘なんだ。
でもあの時はもう疲れ果てて…莫迦なことを言ってしまった」
「…きつい言い方ですが、何も思っていなければそんな言葉は出ませんよ、少しでも思っていたから出た言葉なんです」
「…………心の底に?あったのか?」
「そう言うことだと思います。ターナ様のことはお気の毒様だと思います。しかし今この現状で助けるのは難しいでしょう」
窓の下でわたしは息を殺して聞いていた。
ーーターナがもうもたない?
それは死ぬと言うこと?
『お姉様!』
いつもわたしの後ろをついて回るターナ。
我儘ばかり言って怒るとすぐ泣いて、それでもわたしから離れようとしないターナ。
ターナはわたしを見るといつも笑顔で……そんなターナが可愛くて……
わたしはターナとの楽しい思い出すら忘れていた。
お母様とターナとお父様と四人で笑い合って過ごした日々もあった。
いつの間にか辛い日々へと変わってしまってもう記憶の底にしまい込んでいた。
でも確かにあった、幸せな日々が……
もう要らない、そう思っていたし今更求めようとは思わない。
でもだからと言ってターナに死んで欲しくはない。
今のわたしの技術と体力ではターナを助けることは難しいとイルマナ様は仰った。
でも少しでも可能性があるのならば、助けたい。
そのために今努力をしているのだもの。
わたしは思わず窓から二人に話しかけていた。
「ターナはわたしが助けます」
二人はわたしの方へ視線を向けた。
「アイシャ?」
「話を聞いていたのか?」
驚いた顔をした二人に言った。
「少しでも可能性があるのならばわたしにターナの治療をさせてください」
「ダメだ!アイシャの今の力ではまだ無理だ、アイシャが死んでしまうかもしれない。あと数年後なら或いは治療できたかもしれないが」
「アイシャもういいんだ、お前には負担はかけたくない。わたしは親として失格だった、リサのことだってお前に頼んではいけないのにお願いしてしまった。
わたしはもうアイシャには…………」
「わたしは貴方達が家族だから助けたいわけではありません、もうそんな感情は捨てました。ただ医術者になりたいと思っていて、わたしなら助けることが出来るかもしれないのなら、チャレンジしてみたいだけです」
「今のアイシャではまだ黒魔法に打ち勝つのは難しい。………だが闇にのまれたターナをこれ以上侵食させないようにすることはできるかもしれない」
「イルマナ様!」
「ただし、キリアンを呼ぶ。キリアンも光魔法の使い手だ。アイシャほど洗練された光魔法の使い手はいないがキリアンには高度な技術がある。少しはアイシャの役にたつだろう」
「キリアン様?」
「彼なら助けてくれるだろう。アイシャのためならね」
「………アイシャ、すまない、ありがとう」
「ハイド様、わたしは自分の意思でターナを助けるのです。気にしないでください」
お父様はわたしに他人のような言葉で話されてショックを受けていた。
わたしはこの家族と対峙して気づいた。
もうわたしの中に彼らを家族として求める心がないことを……でも、だからと言って死んでほしくはない。
助かって欲しいし助けてあげたい。
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