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92話
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バナッシユ国の陛下に謁見することになった。
キリアン様とお父様が付いてきてくれた。
前世のアイシャが王太子妃教育で通った王宮。
懐かしいような、でも辛いことがあり過ぎた場所なので心がザワザワとしながら周りを見渡した。
「アイシャ、嫌な気持ちなった?帰ろうか?」
キリアン様は押し黙ってしまったわたしの様子に気がついた。
「……大丈夫です。ここでの辛い記憶がどんどん頭の中に流れてきて気持ち悪くて……でも気持ち悪いけど悲しいとか辛くなったとかはないのです。
たぶん、わたしと前世のアイシャが本当に一つになったのだと思います。過去は過去でしか無くなったんです。だから記憶として残ってももうそれ以上わたしの中で悪さすることはありません……ちょっと辛すぎる体験が多くて気持ちを整理するのが大変でしたが。
不思議に整理して終わりです!」
「アイシャ、わたしが守ってあげられなくてすまなかった」
お父様が暗い顔をして謝罪が始まる。
「お父様を責めているわけではありません。過去でしかありません。もう終わったことなんです」
わたしは出来るだけ明るくお父様に言った。
お父様はどうするか考えつつ
「わかった、アイシャのためにもわたし自身が引きずらないようにしないといけないな。すまなかった」
それからはわたしは出来るだけ明るい顔をして王宮内の庭園を通った。
案内してくれた女性が態々庭園を通ってくれたのだ。
手入れされた花達は綺麗に咲いていた。
道を歩くと途中、たくさんの種類の薔薇の花が咲いていて思わず立ち止まり見てしまった。
「とても綺麗」
あの頃のわたしは花を綺麗だと思う余裕もなかった。
ふとそんなことを思った。
ーーーーー
王宮内の陛下の私室の客間に案内された。
その部屋はかなり広く、丁寧に彫刻を施された家具が置かれたとても高級感のある部屋だった。
高級なソファに座ることを勧められて、わたしは緊張しながらキリアン様とお父様の間に座った。
そして扉から現れたのはわたしの記憶にある20歳くらいだったジャン様が、突然30代後半のさらに素敵な紳士様になっていた。
しかしジャン様の面影はしっかりと残っていた。
ソファから三人は立つと頭を下げた。
「ハウザー陛下にご挨拶申し上げます」
頭を上げて陛下の顔を見ると優しくわたしに微笑んでいた。
「あの弱々しかったアイシャがこんなに元気そうにしているなんてとても嬉しいよ」
わたしにとっては初めてお会いする人なのだけど、前世の記憶のおかげでとても懐かしい人に感じた。
そしてこの人は優しい温かな人だと感じる。
病気でいつ死んでもおかしくない時に、そばにいて散歩に付き合ってくれたり倒れないように手を貸してくれた人。
そしてキリアン様には内緒だけど彼に憧れていた、恋ほど切ないものではなくて、会うとドキドキする可愛らしい憧れだった。
そんな記憶が蘇りわたしは戸惑いながらも返事をした。
「はい、今のわたしはとても元気で病気をする事もなく過ごしております」
「そうか、元気なんだね。この国には辛い過去しかない、でもこの国に帰ってきてくれたなら君が幸せに暮らせる国になれるようにさらに努力するよ、ね、キリアン?」
キリアン様はニコリともせずに答えた。
「もちろんです。アイシャが幸せに暮らせるように俺が全力でこの国を良くしてあげます」
「まぁほどほどにして手を抜いてね」
「それは難しいですね」
この時は知らなかったのだけど、キリアン様はこの国でわたしにとって害になる貴族や官僚達を見つけ出してはこの王宮から追い出して地方に飛ばしたらしい。
「害虫は要らない」
これがキリアン様のここ数年の口癖だったらしい。
キリアン様には感謝しつつも黒いオーラが出ているキリアン様に言った。
「キリアン様、わたしは守られるだけのアイシャではありません!キリアン様の横に並べる人でいたいのです」
「……アイシャはいつも俺の横に並んでいるよ?でも女の子だから是非俺に守られていて欲しい」
ーーわたしはずっとキリアン様に守られている。
前世の時も今も。
キリアン様とお父様が付いてきてくれた。
前世のアイシャが王太子妃教育で通った王宮。
懐かしいような、でも辛いことがあり過ぎた場所なので心がザワザワとしながら周りを見渡した。
「アイシャ、嫌な気持ちなった?帰ろうか?」
キリアン様は押し黙ってしまったわたしの様子に気がついた。
「……大丈夫です。ここでの辛い記憶がどんどん頭の中に流れてきて気持ち悪くて……でも気持ち悪いけど悲しいとか辛くなったとかはないのです。
たぶん、わたしと前世のアイシャが本当に一つになったのだと思います。過去は過去でしか無くなったんです。だから記憶として残ってももうそれ以上わたしの中で悪さすることはありません……ちょっと辛すぎる体験が多くて気持ちを整理するのが大変でしたが。
不思議に整理して終わりです!」
「アイシャ、わたしが守ってあげられなくてすまなかった」
お父様が暗い顔をして謝罪が始まる。
「お父様を責めているわけではありません。過去でしかありません。もう終わったことなんです」
わたしは出来るだけ明るくお父様に言った。
お父様はどうするか考えつつ
「わかった、アイシャのためにもわたし自身が引きずらないようにしないといけないな。すまなかった」
それからはわたしは出来るだけ明るい顔をして王宮内の庭園を通った。
案内してくれた女性が態々庭園を通ってくれたのだ。
手入れされた花達は綺麗に咲いていた。
道を歩くと途中、たくさんの種類の薔薇の花が咲いていて思わず立ち止まり見てしまった。
「とても綺麗」
あの頃のわたしは花を綺麗だと思う余裕もなかった。
ふとそんなことを思った。
ーーーーー
王宮内の陛下の私室の客間に案内された。
その部屋はかなり広く、丁寧に彫刻を施された家具が置かれたとても高級感のある部屋だった。
高級なソファに座ることを勧められて、わたしは緊張しながらキリアン様とお父様の間に座った。
そして扉から現れたのはわたしの記憶にある20歳くらいだったジャン様が、突然30代後半のさらに素敵な紳士様になっていた。
しかしジャン様の面影はしっかりと残っていた。
ソファから三人は立つと頭を下げた。
「ハウザー陛下にご挨拶申し上げます」
頭を上げて陛下の顔を見ると優しくわたしに微笑んでいた。
「あの弱々しかったアイシャがこんなに元気そうにしているなんてとても嬉しいよ」
わたしにとっては初めてお会いする人なのだけど、前世の記憶のおかげでとても懐かしい人に感じた。
そしてこの人は優しい温かな人だと感じる。
病気でいつ死んでもおかしくない時に、そばにいて散歩に付き合ってくれたり倒れないように手を貸してくれた人。
そしてキリアン様には内緒だけど彼に憧れていた、恋ほど切ないものではなくて、会うとドキドキする可愛らしい憧れだった。
そんな記憶が蘇りわたしは戸惑いながらも返事をした。
「はい、今のわたしはとても元気で病気をする事もなく過ごしております」
「そうか、元気なんだね。この国には辛い過去しかない、でもこの国に帰ってきてくれたなら君が幸せに暮らせる国になれるようにさらに努力するよ、ね、キリアン?」
キリアン様はニコリともせずに答えた。
「もちろんです。アイシャが幸せに暮らせるように俺が全力でこの国を良くしてあげます」
「まぁほどほどにして手を抜いてね」
「それは難しいですね」
この時は知らなかったのだけど、キリアン様はこの国でわたしにとって害になる貴族や官僚達を見つけ出してはこの王宮から追い出して地方に飛ばしたらしい。
「害虫は要らない」
これがキリアン様のここ数年の口癖だったらしい。
キリアン様には感謝しつつも黒いオーラが出ているキリアン様に言った。
「キリアン様、わたしは守られるだけのアイシャではありません!キリアン様の横に並べる人でいたいのです」
「……アイシャはいつも俺の横に並んでいるよ?でも女の子だから是非俺に守られていて欲しい」
ーーわたしはずっとキリアン様に守られている。
前世の時も今も。
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