【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。

【8】

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 なんとか地図を地に入れた。

 マルセル殿下が「これだよ」と見つけて手渡してくれた。

 あの殿下が……わたしを見下して優しくされたことなんてなかったのに…… 

 わたしの魔力が強くなってから態度が変わった。

 そして騎士達も。見下されていたのに、たくさんの怪我人の治療をしてから、頭を下げる人、お礼を言ってくれる人、だけど、治療されても当たり前だと無視して『ふんっ!』と言う人ももちろんいた。

 でもこの城でわたしへの蔑んでいた空気が少しだけ優しくなった気がする。

 部屋に戻るとミーナが夕食の用意をしてくれていた。

「ミーナ、ありがとう。お腹ぺこぺこなの。食べよう」

 お祈りをして二人で食べ始めた。

 二人っきりの今しか話せない。

「ミーナ、わたし、リンデの森へ行こうと思っているの」

「リンデの森ですか?ここからはかなり遠いですよ?」

「どうやっていけばいいのかわかるの?」

「……道がわかるとは言えませんが、ここからかなり遠いことはわかります。この国ではリンデの森は魔獣の森と言われていて怖がられています。と言ってもこの国からでは遠すぎて行ったことがある人はあまりいないと思いますけど?」

「そう……やっぱりジョワンナ国からは遠いのね?」

「イリアナ様は生まれた時からほとんどお城から出たことがありませんものね?」

「………そうね」

 実はオーグに連れ出されて何度もリンデの森へ行っているんだけど、それは内緒なのよね。

「イリアナ様、リンデの森へ行ってどうするのですか?この国では魔獣の森と言われていますがマルワ国の魔法使いにとっては神聖な森だと言われていますよね?」

「ミーナは知ってたの?」

「はい……わたしはほとんど魔法が使えませんが、おばあちゃんが魔法使いだったんです。その時にこっそり教えてもらいました」

「そう……リンデの森は今では魔獣がたくさんいるから近寄る人は少ないものね。でも森の奥には神聖樹があるの……そこは空気が澄んでいてとても心が落ち着く不思議な場所なの……(あっ、行ったことがないことになってたわ)と、聞いたわ」

「一度は行ってみたい……けどとても怖くて行けません」

 ーーそうよね……どうしよう。ミーナと一緒に行けたらと思ったけど……ミーナを置いては行けないし……

 でもこの城にずっといるわけにはいかないわ。あと一年したら矢で胸を……

 考えただけで胸が痛い。あの時の痛みは……一瞬だけど…忘れられない。

 セデンのあの時の顔……驚いていた。だから彼ではないと思う……じゃあ誰?

 アイリーン妃もそろそろ嫁いでくる話が出始めるだろう。

 ーーどうしよう。

 ミーナが部屋を出て行ってから窓を開けた。

 “オーグ。ねぇ聞こえないの?”

 何度となく彼に呼びかけた。

 マルワ国にいた頃は返事が返ってきたのに……ここはやはり遠い場所なんだわ。

 そっと地図の描かれた本を開いて場所の確認をする。

 ーーああ、やっぱり……ここからリンデの森はとても遠い。

“オーグ、会いたい”


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