【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

文字の大きさ
32 / 156
二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。

【10】

しおりを挟む
「はい、この国の人たちはイリアナ様に対して感謝すらしようとしない。今回の花火の打ち上げだって騎士達への労いと祝賀のためですよね?どれだけの人がイリアナ様に助けられたのか誰も理解していないです」

「ふふっ、でも、ありがとうって言ってもらえたわ。わたし今まで感謝されたことなかったの、ま、それくらいの魔力しかなかったもの」

「イリアナ様、突然魔法が使えるようになったのは何か原因があるんですか?」

「………わからないの。突然……体に魔力が溢れてくるのがわかって……」
 ーー死んで巻き戻ったからなんて言えないわ。

 でも、どうして巻き戻ったからと言ってこんなに魔力が……もしかしたらオーグならわかるかも。

「わたしはイリアナ様についていきます……リンデの森……はちょっと…だけ怖いですが、イリアナ様と別れるくらいなら大丈夫です!だって、あそこは魔法使いにとって神聖な森ですもんね?
 でもいつ決行しますか?準備しないといけませんよね?荷物はどうなさいますか?」

「荷物は必要なものだけにするわ。セデンに貰ったものは置いて行くつもり。ただここでわたしに必要だからと国から買い与えられた(心のこもっていない)宝石は持って行くつもりなの」

「ああ、あの趣味の悪い宝石ですね?換金しちゃいましょう」

「うん、そうね」

 ーーわたしの趣味ではない、こんなの誰が身につけるのかしら?と思われるような宝石。
 多分一応王族の誰かが選んで買ったのだからそれなりの値段はするのだろうけど。
 あれは王妃様の嫌がらせなのかしら?

「ミーナ、花火が打ち上げられる日はみんながそちらに気持ちが向いているだろうからわたしのことなんて気にもしないと思うの……だからその日にこの城を出るわ」

「花火の日……では2週間後ですね。何があってもわたしもついていきます!」

「ありがとう」
 ーーミーナ、今度はわたしの力であなたの命を守るわ。次はミーナを死なせはしないわ。



 わたしはミーナに花火の話を聞いたけど、誰もわたしにそのことを話してくれる人はいなかった。

 毎日癒しの力を使っている王妃も、会うたびにあれだけ文句や嫌味を言うのにそのことは話さない。

 レンは相変わらずセデンの代わりにわたしに用事を伝えにくる。だけどセデンはわたしの前に姿を現さない。

 まるでもうわたしに用はないかのように。見事に避けられてしまっているの。

 でもセデンが元気でいつものようにこの王城で執務を行なっているのも騎士達と鍛錬に参加して体を動かしているのも耳にしていた。

 セデンはわたしを避けている。

 それだけは感じる。巻き戻ってからひと月以上経つのに彼に一度も会っていない。

 宰相もたまにわたしの部屋に顔を出すけど、アイリーン様との結婚の話をしてこない。

 わたしの耳に入ってくる話が以前の時と比べて極端に少ない。

 前の時は、わたしに会うとみんな嫌味のように自慢話やわたしを蔑むための話を楽しそうに聞かせてくれた。

 特にアイリーン妃がいかにセデンに愛されているか……聞かなくてもわかるくらいに目の前でイチャイチャしていたのに……聞かされた。

 セデンとアイリーン妃の二人で観劇へ行かれたり視察で旅行へ行ったりするのも知っていたわ。仕事だってアイリーン妃が負担になるからとわたしに回してきていた。
 その仕事を持ってきた者たちが、その度にわたしに二人のことを話して聞かせてくれた。

 思い出すだけでも……辛くなる。たとえセデンへの愛が失くなっていても……



「失礼するよ」

「今日はどうされたのですか?」

「イリアナ妃、美味しい茶葉を手に入れたんだ。一緒にお茶でもしようよ」

 マルセル殿下は度々わたしの部屋を訪れるようになった。もちろん誤解されないように護衛と侍従も連れてくるので二人っきりで会うことはない。

 彼が顔を出してくれると美味しいお茶とお菓子が毎回出される。
 最近はそれが少し楽しみ。

 セデンと会えなくなって共に食事をすることがないのでミーナが食事を持ってきてくれる。

 その内容は……多分王太子妃が食べるようなものではない質素な食べ物だとわかる。

 だけど幼い頃からマルワ国でも無能と呼ばれあまり王女として大切にされていたわけでもないので、今のところ平気かも。矢で殺される前の1年間はミーナが死んでから酷かったもの。

 今はそれに比べたらミーナはまだ生きているし、マルセル殿下は優しいしレンもよく顔を出してくるし、あの宰相も以前ならわたしを嘲笑い嫌っていたのに、いまは仕事のことを話しにきて、会話をしている。

 少しずつ記憶とは違う日々が……



 マルセル殿下と二人でお茶をしていると。

「イリアナ妃は兄上に会った?」

「……いえ、お会いしていません」

「ふうん、どうしてだろう?兄上さっきこの部屋の近くを歩いていたんだ。イリアナ妃のところへ来ていたのかと思ったんだけどね?」

「……セデンとは最近会っていませんわ」

 ーーあなたは知っていて訊いてるのよね?
 だってニヤッと笑ったもの。

「ふうん、アイリーン嬢って名前聞いたことがある?」

「…………………全く」

 ーーどうして宰相ではなく、マルセル殿下が?

 そろそろアイリーン様が嫁いでくるだろうとは思っていたけど。
 そう言えば舞踏会……でアイリーン様はみんなに注目されるのに……なかったわ。

 そう……舞踏会がなかった……そんな話もわたし……耳にしていない。
 中止になったのか元々ないのか。
 それに魔獣騒動立って以前の時はなかったし、花火の打ち上げだって……

 ミーナもまだ生きているし。マルセル殿下やレンとだってこんなに顔を合わせたことはない。

 癒しの力が強くなったおかげで王妃に叩かれたりすることも減ったわ。嫌味や文句は変わらないけど以前ほど酷くない。

 変わってきてる⁈



しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら

赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。 問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。 もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

処理中です...