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離縁してあげますわ!
【5】
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「うんうん、そうだよね?アリア、進捗状況はどうかな?」
わたしの肩をポンっと叩いて、ニコニコと微笑んできた。
ーーこ、怖すぎ~
うわっ、この笑顔は……『いつまで待たせるんだ、早くしろ』と言ってるわ。
殿下の微笑みは、知らない人から見れば柔和で、温厚で、優しそうで、とても素敵で、人の心を上手く掴んで、ほんと、人々の心をガッツリと掴んで、支持をしっかり受けている。
表の顔は優しい王子様、裏は何を考えているのかわからない腹黒、真っ黒クロ王子様。
学生の頃からいつも成績を争っていたのだけど、一度も彼から首位を奪い取ることができなかった。甘んじていつもわたしの成績は二位。
思い出すだけでムカつく。
学院を卒業して王城で文官として働きだしてわたしは殿下と会うことはなかった。
最初は財務省で下っ端の事務官として真面目にひたすら働いていた。ふと気がつくといつの間にか事務局長補佐役として、そして財務省のまとめ役として働き始めていた。
毎日書類に追われる日々。
そんな日々の中でハンクスと知り合い結婚した。そして結婚したことを聞きつけた殿下が久しぶりに声をかけてきた。
『アリア、久しぶりだね』
あの作り笑いで。クソのような気持ち悪い笑顔の仮面を被って。
それからはなぜかわたしの顔を見るとやってくる。嬉しそうに声をかけて。
学生の時から嫌いなんだよね。殿下のあの薄ら笑い、そしてわたしを見下すような話し方。
まあ、どう考えても第二王子である彼に男爵家の娘のわたしでは見下されても仕方がない。どんなに頑張っても彼を抜くことはできなかったし……今では王城内で働いているので、ある意味わたしの上司でもあるし。
「何考えてるかなんとなくわかるよ?」
「へっ?」
まずい、思わず変な声が出てしまった。
「どうせ僕にはずっと敵わなかったとか、仕事をたくさん押し付けやがってとか、思ってるんだよね?」
なんでわかるの?
わたしは目を大きく見開いて何も言えずに殿下の顔を見た。
うっ、やだやだ!そんな笑顔でわたしを見ないで!絶対バレてる!
わたしはあなたを苦手としているのに。
「殿下、わたし達は誠実に、そして真摯に仕事に向き合い取り組んでおります。ですが今は本年度の決算と相まって、特別予算の方がどうしても後回しになっております。
交代で24時間なんとか頑張っているのですが、職員の数は限られております……なので………「わかってるよ、みんな大変な中、頑張ってくれて感謝しているよ。ここで踏ん張ってもらったら特別手当てが出るように僕からも上に声をかけておくから、大変だけどよろしく頼む」
殿下は頭を下げた。
「あ、殿下が頭を下げるなんて……おやめください」
「わたし達は困っている領民のために頑張っているんです」
「そうです、あと少しで予算案が纏まります。お待ちください」
ほら、殿下の一声でみんなの空気が変わった。疲れて効率も悪くなっていたはずなのにみんなが一致団結して頑張ろうと机に座りペンを動かし始めた。
わたしにはこんなこと出来ない。一瞬で流れる空気を良い方向へと変えてしまった。
恨めしそうな顔をついしてしまう。
そんなわたしの気持ちに気がついたのか
「アリア、打ち合わせがしたい、隣の部屋で。誰かお茶を頼んでもいいかな?」
「はい!」
部下が嬉しそうに返事をした。
殿下と二人隣の会議室へと向かった。
簡素なソファに座るとすぐにお茶が出された。
「ありがとう」殿下が部下へお礼を言うと部下が部屋を出ていくまでのんびりとお茶に口をつけていた。
わたしは黙ってそんな殿下を見ていた。
18歳で卒業してもう5年。
お互い23歳になった。わたしは結婚して3年。
殿下は学生の頃から婚約者がいたが、ちょうど私が結婚する頃婚約は解消されていまだに独身。婚約者はいない。
第二王子でいずれは兄である王太子の補佐をするために王弟となりこの国を影から支える人。
頭がよく人柄もとても良い。
わたしは学生の頃から彼にだけは勝てない。そんなコンプレックスのせいで彼を苦手とするけど、黙って見ていれば、やはり美丈夫で鼻筋も通り、かっこいい……令嬢達からの人気があるのも頷ける。
「アリア……かなり疲れているようだね?」
どの口が言う。あなたのせいでしょう?
「まぁ、今が一番追われていますから」
「うん、すまないね。君なら僕の無理難題もなんとかしてくれると期待してる。領民達は疲弊している、少しでも早くこれから生きていく希望を与えてあげたいんだ」
「わかっております。あと少しお待ちください。わたしも今夜は徹夜でやります、あらかた目処がつくと思いますわ」
「………わかった……ところで……旦那さんとはうまくいっているの?」
「………ええ、もちろんです」
どうして?わたしの夫のことなんて聞いてきたこともないのに。
「ふうん……まぁ君がそう言うなら、うん、そうか」
よくわからない質問はすぐ終わり、今のところ出来上がっている予算案を彼に報告して殿下は帰って行った。
わたしは次の日の昼までにあとは手直しするだけのところまで仕上げて、仮眠室で爆睡した。
「ふああ、眠たい。殿下に何かご馳走してもらわないと割に合わないわ」
ああ、ハンクスとはどうしようかしら。
そんなことを考えながら気がつけば眠りについて、完全に寝入ってしまった。
わたしの肩をポンっと叩いて、ニコニコと微笑んできた。
ーーこ、怖すぎ~
うわっ、この笑顔は……『いつまで待たせるんだ、早くしろ』と言ってるわ。
殿下の微笑みは、知らない人から見れば柔和で、温厚で、優しそうで、とても素敵で、人の心を上手く掴んで、ほんと、人々の心をガッツリと掴んで、支持をしっかり受けている。
表の顔は優しい王子様、裏は何を考えているのかわからない腹黒、真っ黒クロ王子様。
学生の頃からいつも成績を争っていたのだけど、一度も彼から首位を奪い取ることができなかった。甘んじていつもわたしの成績は二位。
思い出すだけでムカつく。
学院を卒業して王城で文官として働きだしてわたしは殿下と会うことはなかった。
最初は財務省で下っ端の事務官として真面目にひたすら働いていた。ふと気がつくといつの間にか事務局長補佐役として、そして財務省のまとめ役として働き始めていた。
毎日書類に追われる日々。
そんな日々の中でハンクスと知り合い結婚した。そして結婚したことを聞きつけた殿下が久しぶりに声をかけてきた。
『アリア、久しぶりだね』
あの作り笑いで。クソのような気持ち悪い笑顔の仮面を被って。
それからはなぜかわたしの顔を見るとやってくる。嬉しそうに声をかけて。
学生の時から嫌いなんだよね。殿下のあの薄ら笑い、そしてわたしを見下すような話し方。
まあ、どう考えても第二王子である彼に男爵家の娘のわたしでは見下されても仕方がない。どんなに頑張っても彼を抜くことはできなかったし……今では王城内で働いているので、ある意味わたしの上司でもあるし。
「何考えてるかなんとなくわかるよ?」
「へっ?」
まずい、思わず変な声が出てしまった。
「どうせ僕にはずっと敵わなかったとか、仕事をたくさん押し付けやがってとか、思ってるんだよね?」
なんでわかるの?
わたしは目を大きく見開いて何も言えずに殿下の顔を見た。
うっ、やだやだ!そんな笑顔でわたしを見ないで!絶対バレてる!
わたしはあなたを苦手としているのに。
「殿下、わたし達は誠実に、そして真摯に仕事に向き合い取り組んでおります。ですが今は本年度の決算と相まって、特別予算の方がどうしても後回しになっております。
交代で24時間なんとか頑張っているのですが、職員の数は限られております……なので………「わかってるよ、みんな大変な中、頑張ってくれて感謝しているよ。ここで踏ん張ってもらったら特別手当てが出るように僕からも上に声をかけておくから、大変だけどよろしく頼む」
殿下は頭を下げた。
「あ、殿下が頭を下げるなんて……おやめください」
「わたし達は困っている領民のために頑張っているんです」
「そうです、あと少しで予算案が纏まります。お待ちください」
ほら、殿下の一声でみんなの空気が変わった。疲れて効率も悪くなっていたはずなのにみんなが一致団結して頑張ろうと机に座りペンを動かし始めた。
わたしにはこんなこと出来ない。一瞬で流れる空気を良い方向へと変えてしまった。
恨めしそうな顔をついしてしまう。
そんなわたしの気持ちに気がついたのか
「アリア、打ち合わせがしたい、隣の部屋で。誰かお茶を頼んでもいいかな?」
「はい!」
部下が嬉しそうに返事をした。
殿下と二人隣の会議室へと向かった。
簡素なソファに座るとすぐにお茶が出された。
「ありがとう」殿下が部下へお礼を言うと部下が部屋を出ていくまでのんびりとお茶に口をつけていた。
わたしは黙ってそんな殿下を見ていた。
18歳で卒業してもう5年。
お互い23歳になった。わたしは結婚して3年。
殿下は学生の頃から婚約者がいたが、ちょうど私が結婚する頃婚約は解消されていまだに独身。婚約者はいない。
第二王子でいずれは兄である王太子の補佐をするために王弟となりこの国を影から支える人。
頭がよく人柄もとても良い。
わたしは学生の頃から彼にだけは勝てない。そんなコンプレックスのせいで彼を苦手とするけど、黙って見ていれば、やはり美丈夫で鼻筋も通り、かっこいい……令嬢達からの人気があるのも頷ける。
「アリア……かなり疲れているようだね?」
どの口が言う。あなたのせいでしょう?
「まぁ、今が一番追われていますから」
「うん、すまないね。君なら僕の無理難題もなんとかしてくれると期待してる。領民達は疲弊している、少しでも早くこれから生きていく希望を与えてあげたいんだ」
「わかっております。あと少しお待ちください。わたしも今夜は徹夜でやります、あらかた目処がつくと思いますわ」
「………わかった……ところで……旦那さんとはうまくいっているの?」
「………ええ、もちろんです」
どうして?わたしの夫のことなんて聞いてきたこともないのに。
「ふうん……まぁ君がそう言うなら、うん、そうか」
よくわからない質問はすぐ終わり、今のところ出来上がっている予算案を彼に報告して殿下は帰って行った。
わたしは次の日の昼までにあとは手直しするだけのところまで仕上げて、仮眠室で爆睡した。
「ふああ、眠たい。殿下に何かご馳走してもらわないと割に合わないわ」
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