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離縁してあげますわ!
【8】
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朝目覚めて慌てて仕事の用意を始めた。
「あっ、今日はおやすみ」
思い出して手を止めた。制服をクローゼットへと戻した。
あまりにも忙し過ぎたこの二月。休みなんてほとんどなくて仮眠しては仕事。
部下達には少しでも休憩をとって欲しくて夜もずっと一人で仕事をしていた。
おかげで視力がかなり悪くなって眼鏡を作り直さなければぼんやりとしか見えなくなってきた。
「眼鏡代は殿下に請求ね」
ファラが部屋にやってきて水差しを新しいものと変えてくれた。
新しいコップに冷たい水を入れて喉を潤した。
冷たくて美味しい。
「アリア様、ソファで眠られたんですね?」
少し渋い顔をしたファラが言った。
「シーツや毛布、枕全てハンクス様の部屋のベッドに待って行って、アリア様のものは真新しいものに変えたんですよ」
「そう……ありがとう。でも思い出すと気持ち悪くて鳥肌ものよ」
苦笑しながら返事をした。
でも二人の事後すぐにあのベッドで平気で眠ってしまったような気がするけど……うん、あの日のことは忘れよう。
ソファの上で久しぶりに微睡んでいると屋敷の外が騒がしい。
窓から覗くと女性が何か騒いでいた。
どうしたのかしら?
そっと窓から顔を出してみた。
「ハンクスは?ハンクスを出して!」
うーん、あれはミュエルさん?ハンクスは今日当直だったわよね?
帰ってくるのは昼くらいかしら?
ギャザが彼女の対応をしている。
うわっ!
ミュエルさんが手を振り上げた!
ギャザ!避けて!
心の中で叫んだ。
思いっきりギャザの頬を叩いた。
ギャザは彼女の右手を掴んでこれ以上叩かれないようにしたのはいいけど、彼女は暴れてる。
玄関の扉の隙間からそっと顔を覗かせるスレン。12歳のスレンには教育上宜しくないわ。
そう思ってスレンを家に連れ戻そうと思って部屋を出て動こうとしたら……
ハンクス?
ハンクスが玄関から慌てて出てきたのが目に入った。
「ミュエル?何してるんだ?こんなところまで来て!」
ハンクスの大きな声が聞こえてきた。
「ハンクス!もう!全然あれから会ってくれないのね?わたしお父様に叱られて仕事も辞めさせられたの!なんとか屋敷を抜け出して会いにきたのよ!」
ミュエルさんのその言葉にハンクスが「ええっ?」と驚いていたけどギャザやわたしだって驚いた。
浮気してわたしのベッドで情事を行っただけでも十分凄い!と思ったけど、今度は家を抜け出してハンクスに会いに来た……しかもハンクスにはわたしと言う妻がいるのに。
ハンクスに抱きつき胸に顔を埋めるミュエルさんをわたしは窓からこっそりと見つめていた。
ふと目があったのはギャザ。ギャザはわたしが見ていることに気がついて急いで抱き合う二人を引き離そうとした。
「もう!触らないで!わたしとハンクスを引き離そうなんてしないでちょうだい」
ミュエルさんはギャザに文句を言ってハンクスから離れない。
ハンクスの顔はちょうどわたしからは見えない。彼の後ろ姿をわたしは黙ってみていた。
するとわたしの方へと視線を向けたミュエルさんと目があった。
やばっ。
こっそり覗いているのがバレてしまった。
ううん、多分、彼女は気がついていてハンクスに抱きついている。わたしに見せつけるために。
はあーー。
ため息をついたわたしは窓から離れた。
離縁しなきゃ。彼を利用したのはわたしも同じ。彼がわたしに近づいた理由だって本当は気づいていた。
わたしからこの国の財政についての情報を色々知りたかったのだ。どこに予算を振り分けられているのか、これからの公共事業をどこを重視するのか。少しでも情報が入ればハンクスの勤めている公爵家にとっても有利になる。
公共事業によっては早めに必要な物資を買い占めておくこともできる。たくさんの人夫を集めておけば公共事業を請け負うことだってできる。
そんな算段をする貴族はたくさんいるしわたしに『食事でもしませんか?』とか『ぜひお茶会に来てください』と声をかけてくる貴族は後を絶たない。
でもまさかわたしに擦り寄って結婚までさせようとするなんて……ラーダン公爵はひとの心をなんだと思っているのかしら?
わたしの恋心を返してほしい。
本気でハンクスを好きになって結婚したのに。ハンクスはただ雇い主である公爵に言われるがままにわたしを陥落させてわたしを夢中にさせて結婚までした。
好きでもないわたしと結婚して好きでもないわたしを抱いた。
こんな眼鏡の地味なわたしを。
でもわたしの部屋でわたしのベッドで(元夫婦のベッド)で情事をしたのは、わたしとの離縁をしたいと言うアピールなのだろう。
今目の前で二人が抱きしめあっていたのもわたしへのアピール?
ああ、でも、ミュエルさんが家の中に入ってきて『別れてください!』なんて今言われたら……わたしは『ハンクスなんて差し上げるわ』なんて意地を張って言ってしまいそう。
本当はきちんと話し合ってお別れしたいのに。
彼には愛はなかったかもしれないけどわたしにとっては初恋で全てが初めての人だった。
別れるならちゃんと向き合いたかったな。
わたしは憂鬱な気持ちでソファに黙り込んで座って下で現在どうなっているのか確かめることもできず座り続けていた。
ううん、怖くて動けなかった。
「あっ、今日はおやすみ」
思い出して手を止めた。制服をクローゼットへと戻した。
あまりにも忙し過ぎたこの二月。休みなんてほとんどなくて仮眠しては仕事。
部下達には少しでも休憩をとって欲しくて夜もずっと一人で仕事をしていた。
おかげで視力がかなり悪くなって眼鏡を作り直さなければぼんやりとしか見えなくなってきた。
「眼鏡代は殿下に請求ね」
ファラが部屋にやってきて水差しを新しいものと変えてくれた。
新しいコップに冷たい水を入れて喉を潤した。
冷たくて美味しい。
「アリア様、ソファで眠られたんですね?」
少し渋い顔をしたファラが言った。
「シーツや毛布、枕全てハンクス様の部屋のベッドに待って行って、アリア様のものは真新しいものに変えたんですよ」
「そう……ありがとう。でも思い出すと気持ち悪くて鳥肌ものよ」
苦笑しながら返事をした。
でも二人の事後すぐにあのベッドで平気で眠ってしまったような気がするけど……うん、あの日のことは忘れよう。
ソファの上で久しぶりに微睡んでいると屋敷の外が騒がしい。
窓から覗くと女性が何か騒いでいた。
どうしたのかしら?
そっと窓から顔を出してみた。
「ハンクスは?ハンクスを出して!」
うーん、あれはミュエルさん?ハンクスは今日当直だったわよね?
帰ってくるのは昼くらいかしら?
ギャザが彼女の対応をしている。
うわっ!
ミュエルさんが手を振り上げた!
ギャザ!避けて!
心の中で叫んだ。
思いっきりギャザの頬を叩いた。
ギャザは彼女の右手を掴んでこれ以上叩かれないようにしたのはいいけど、彼女は暴れてる。
玄関の扉の隙間からそっと顔を覗かせるスレン。12歳のスレンには教育上宜しくないわ。
そう思ってスレンを家に連れ戻そうと思って部屋を出て動こうとしたら……
ハンクス?
ハンクスが玄関から慌てて出てきたのが目に入った。
「ミュエル?何してるんだ?こんなところまで来て!」
ハンクスの大きな声が聞こえてきた。
「ハンクス!もう!全然あれから会ってくれないのね?わたしお父様に叱られて仕事も辞めさせられたの!なんとか屋敷を抜け出して会いにきたのよ!」
ミュエルさんのその言葉にハンクスが「ええっ?」と驚いていたけどギャザやわたしだって驚いた。
浮気してわたしのベッドで情事を行っただけでも十分凄い!と思ったけど、今度は家を抜け出してハンクスに会いに来た……しかもハンクスにはわたしと言う妻がいるのに。
ハンクスに抱きつき胸に顔を埋めるミュエルさんをわたしは窓からこっそりと見つめていた。
ふと目があったのはギャザ。ギャザはわたしが見ていることに気がついて急いで抱き合う二人を引き離そうとした。
「もう!触らないで!わたしとハンクスを引き離そうなんてしないでちょうだい」
ミュエルさんはギャザに文句を言ってハンクスから離れない。
ハンクスの顔はちょうどわたしからは見えない。彼の後ろ姿をわたしは黙ってみていた。
するとわたしの方へと視線を向けたミュエルさんと目があった。
やばっ。
こっそり覗いているのがバレてしまった。
ううん、多分、彼女は気がついていてハンクスに抱きついている。わたしに見せつけるために。
はあーー。
ため息をついたわたしは窓から離れた。
離縁しなきゃ。彼を利用したのはわたしも同じ。彼がわたしに近づいた理由だって本当は気づいていた。
わたしからこの国の財政についての情報を色々知りたかったのだ。どこに予算を振り分けられているのか、これからの公共事業をどこを重視するのか。少しでも情報が入ればハンクスの勤めている公爵家にとっても有利になる。
公共事業によっては早めに必要な物資を買い占めておくこともできる。たくさんの人夫を集めておけば公共事業を請け負うことだってできる。
そんな算段をする貴族はたくさんいるしわたしに『食事でもしませんか?』とか『ぜひお茶会に来てください』と声をかけてくる貴族は後を絶たない。
でもまさかわたしに擦り寄って結婚までさせようとするなんて……ラーダン公爵はひとの心をなんだと思っているのかしら?
わたしの恋心を返してほしい。
本気でハンクスを好きになって結婚したのに。ハンクスはただ雇い主である公爵に言われるがままにわたしを陥落させてわたしを夢中にさせて結婚までした。
好きでもないわたしと結婚して好きでもないわたしを抱いた。
こんな眼鏡の地味なわたしを。
でもわたしの部屋でわたしのベッドで(元夫婦のベッド)で情事をしたのは、わたしとの離縁をしたいと言うアピールなのだろう。
今目の前で二人が抱きしめあっていたのもわたしへのアピール?
ああ、でも、ミュエルさんが家の中に入ってきて『別れてください!』なんて今言われたら……わたしは『ハンクスなんて差し上げるわ』なんて意地を張って言ってしまいそう。
本当はきちんと話し合ってお別れしたいのに。
彼には愛はなかったかもしれないけどわたしにとっては初恋で全てが初めての人だった。
別れるならちゃんと向き合いたかったな。
わたしは憂鬱な気持ちでソファに黙り込んで座って下で現在どうなっているのか確かめることもできず座り続けていた。
ううん、怖くて動けなかった。
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