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ダイアナ。
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お父様がわたしの部屋を見て茫然としていた。
わたしが売ったとでも思っているのだろうか。
だんだん不機嫌になって部屋を出て行った。
「バンッ!!」
扉を閉める音は貴族として如何なものかと思うくらいの激しさだった。
一緒に食事をしたこともない。話すこともない。
だからわたしの現状なんて知るわけがない。
この屋敷を出てお祖父様の国へ行けと言われた。
特にこの部屋に思い入れはない。あるのはこの屋敷の至る所にあったお母様との思い出。
でもあれだけ執着していた思い出も色褪せてきたのも確かで、わたしの記憶の中のお母様は少しずつこの屋敷から消えて行った。
「もうそろそろ潮時かな」
そんなことを思っていたら、なんと今まで近寄って来なかったミリア様がわたしの部屋を訪れた。
「ダイアナ?貴女、キース様との婚約を解消すると聞いたわ」
いきなりの発言。わたしはそんな話はしていない。さっきお父様が突然言い出しただけ。
もちろんジャスティア殿下のことがなければ今頃婚約は解消されていただろう。
キース様の醜聞にならなければわたしはいつでも解消する。ずっとこの2年間彼がわたしを守ってくれた。彼の優しさに何度も救われた。だから今度はわたしが彼を悪い噂から守ってあげたかった。
……彼はわたしなんかより弱くはないのだけど、これはわたしの自己満足なだけ。
返事に迷っていると彼女は静かに微笑んでわたしに言う。
「貴女に素敵な婚約の話が出ているのよ」
そう言うとわたしの黒髪に指を絡ませてきた。
「ふふ、この髪をとても欲しがっている人がいるの。この綺麗な顔、このスベスベした肌、貴女の翠色の瞳、全てを欲している人がいるのよ?」
わたしは後退りしたいのに後ろは壁。
逃げることもできず固まるしかない。
「貴女に近寄るなとダニエルがうるさいの。いつもわたしを監視して。今日は何故なのか監視がいないわ、ふふ、ねぇ、すぐに嫁いでもらいましょうね」
ミリア様の後ろにいた護衛の一人がわたしの口にハンカチを当てた。
「……やっ…」
抵抗するも強い力で口を抑えられ気がつけば意識を失っていた。
わたしが売ったとでも思っているのだろうか。
だんだん不機嫌になって部屋を出て行った。
「バンッ!!」
扉を閉める音は貴族として如何なものかと思うくらいの激しさだった。
一緒に食事をしたこともない。話すこともない。
だからわたしの現状なんて知るわけがない。
この屋敷を出てお祖父様の国へ行けと言われた。
特にこの部屋に思い入れはない。あるのはこの屋敷の至る所にあったお母様との思い出。
でもあれだけ執着していた思い出も色褪せてきたのも確かで、わたしの記憶の中のお母様は少しずつこの屋敷から消えて行った。
「もうそろそろ潮時かな」
そんなことを思っていたら、なんと今まで近寄って来なかったミリア様がわたしの部屋を訪れた。
「ダイアナ?貴女、キース様との婚約を解消すると聞いたわ」
いきなりの発言。わたしはそんな話はしていない。さっきお父様が突然言い出しただけ。
もちろんジャスティア殿下のことがなければ今頃婚約は解消されていただろう。
キース様の醜聞にならなければわたしはいつでも解消する。ずっとこの2年間彼がわたしを守ってくれた。彼の優しさに何度も救われた。だから今度はわたしが彼を悪い噂から守ってあげたかった。
……彼はわたしなんかより弱くはないのだけど、これはわたしの自己満足なだけ。
返事に迷っていると彼女は静かに微笑んでわたしに言う。
「貴女に素敵な婚約の話が出ているのよ」
そう言うとわたしの黒髪に指を絡ませてきた。
「ふふ、この髪をとても欲しがっている人がいるの。この綺麗な顔、このスベスベした肌、貴女の翠色の瞳、全てを欲している人がいるのよ?」
わたしは後退りしたいのに後ろは壁。
逃げることもできず固まるしかない。
「貴女に近寄るなとダニエルがうるさいの。いつもわたしを監視して。今日は何故なのか監視がいないわ、ふふ、ねぇ、すぐに嫁いでもらいましょうね」
ミリア様の後ろにいた護衛の一人がわたしの口にハンカチを当てた。
「……やっ…」
抵抗するも強い力で口を抑えられ気がつけば意識を失っていた。
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