【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ

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お祖父様編③

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「馬車の用意を早くしろ!」

「は、はい」
 執事に怒鳴りながら急いで服を着替えた。

 今月末までにはダイアナを引き渡さなければならない。

「グランディルはどうしている?」

「旦那様に言われた通り地下牢に入ってもらっています」

「水以外何も与えるな。もちろん灯りも与えるな。真っ暗な場所は人間に恐怖を与える。絶対的恐怖でわたしの言いなりになるようにするんだ、わかったな」

「……はい」

「ミリアはやはり捕まったのか?」

「はい、昨日のうちに連れて行かれました」

「ミリアを脅していたが、あいつは実家の仕送りもいらない、従兄のこともどうでもいいと言っていたな。次の脅しはあいつには効いているのか?」

「旦那様に言われた通り、ミリアがもし旦那様のことを裏切りバラせば、子供二人の命はないと言ってあります…母親ならまず子供のことを守ることでしょう」

「そうか、ならば子供達も我が家に連れて来い。地下牢へ入れておけ。二人は同じ場所に入れるな。それぞれ離れたところで孤独な状態にして恐怖を植え付けておけ」

「あ、し、しかし、まだお二人は…お嬢様はまだまだ8歳です。お一人で地下牢に入れるなんて流石にそれは……」

「幼い頃からダニエルは何度も地下牢に入れて育てたぞ。あいつはそのおかげで言うことを聞く素直な息子に育った。孫たちもわたしの言うことを聞く素直な孫に今から躾ておけば駒として使えるだろう。ジェファはミリアたちに躾させたのでなかなかわたしの言うことを聞かない。ちょうど躾けるにはいいのかもしれないな」

 考えてみたら孫たちに口出すことがなかなか出来なかった。
 ダニエルがわたしとの接触をさせないようにしていたのだろう。わたしも公爵を引退してからは自分の地位を脅かされないように動き回るのが忙しく孫のことはあまり執着していなかった。
 美しいダイアナにだけ心を砕いていた。
 エレファの忘形見で、エレファ以上に美しいダイアナ。
 あの子を一度は嫁がせて、ある程度時間が経ったら離縁させてわたしの元に置くつもりだ。






 息子の屋敷へ行くと不思議なくらい静かだった。
 中に入ると執事のトムが朝早い訪問に戸惑っていた。

「ダニエルは?」

「旦那様は今病院に行っております」

 わかっていて一応聞いてみた。ダニエルは昨夜のダイアナを助ける時に大きな傷を負った。だからこの屋敷には今孫の二人だけ。

「そうか、ではミリアは?」

「奥様は……わかりません」

「どこに行ったのかわからないと?」

 ーー捕まったことは執事たちには情報が入っていないのか?
 まあ今は朝の5時。まだ数時間しか経っていないので動き出すのは今からだろう。早くきてよかった。

「ほお、だったら孫たち二人では心配だろう。わたしの屋敷で二人をみてやろう」

 わたしについてきた使用人たちに声をかけた。

「おい、二人を連れて帰るぞ」

「そんな勝手なことをされては困ります。旦那様に許可をもらってもいないのに。それにまだお二人は眠っていらっしゃいます」

「眠っているならそのまま抱き抱えて連れて帰ろう。心配は要らない。可愛い孫たちの面倒を見てやるんだ。ダニエルにもそう言っておけ」

 執事のトムはなんとか抵抗しようとしたが、わたしはそれを振り払い孫を連れ帰った。

 ジェファは馬車の中で目を覚まし暴れようとしたが
「妹のエリーナのためにも大人しくしていなさい」と言うと黙って頷いた。

 やはり子供は脅しと恐怖を与えて躾けるのが一番言うことを聞く。

 エリーナは何も知らずスヤスヤと眠っている。
 ミリアに似たエリーナを見ても可愛いとすら感じない。この子は捨て駒としてしか使い道はない。

 公爵家の血は引いているのだろうがミリアに似過ぎで公爵家の特徴が全く引き継がれていない。

 それに比べてジェファはダニエルに似ている。しっかり公爵家の血を引き継ぎ、満足いく出来だ。

 この子は再教育すればダニエル以上に公爵家を繁栄させてくれるだろう。いい駒を産んでくれたミリアには感謝しかない。
捕まったミリアを密かに殺すように手配もしている。たぶん子供達を殺すと脅していてもあの女のことだ、裏切るのは目に見えている。

口を塞いでしまうのが一番いいだろう。ダニエルはわたしの傀儡だ。殺さずとも言うことを聞くだろう。

あとはダニエルにダイアナを素直に引き渡すように言えばいいだけ。












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