裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。

たろ

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夢の中。3話

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 王妃は地下牢に入れられてしばらくそのまま放っておかれた。

 体中の痛みが意識を手放すことすら許さない。

 特にお腹の痛みはひどく我慢強い王妃ですら痛みに声が漏れる。

「あっ………うううっ………」

 せめて水でも欲しい。喉の渇きが酷く、虚ろな目でボヤけて見えにくくなっていた。

 もともと地下牢なので光は僅かにしか入ってこない。

 天井のはめ殺しの小さな空気穴程度の窓があるだけ。そこには鉄格子がはめられている。

 王妃は何もない地下牢の中で冷たい地面に横たわり必死で痛みに耐え続けるしかなかった。

 もうどうせあとは死んでいくだけ。現実はとても残酷だった。

 国王は側妃を連れて逃げてしまったのだろうか。

 あと少しで支援物資が届くと信じていた。それまでなんとか少しでもこの国のために働こうと頑張ってきた。

 なのに……誰にも認められることはなかった。

 わたくしがこの国に嫁いできたせいでこの国に災いをもたらしたと責められた。

 この国はわたくしの大切な生まれ故郷を攻めると脅し、わたくしの大切な故郷から詐取し続けてきたのに。

 王妃はそれでもほんの僅かだが、この国の人々の情に希望を持っていた。

 それは……

「王妃様……大丈夫ですか?」

 侍女長が地下牢へとやって来た。

「侍女長?どうしてここに来たの?危険だから早くお逃げなさい」

「王妃様、大丈夫です。王妃様が常に私達に対して演技で冷たい態度を取っていてくれたおかげで、反乱者達は私達が王妃様を嫌っていると思っております」

「ふふふっ。ずっと仲が悪くしか見えなかったものね?」

「はい……お互いとても冷たい態度を取っておりましたから。たまに本当に王妃様に嫌われているのかと思ったこともありました」

「あら?それはわたくしもよ?」

 侍女長と侍女の二人が王妃のそばに灯りを近づけた。

 二人は王妃の姿を見て絶句した。

「お、王妃様!なんてこと!こんな大怪我をされていたのですか?」

 王妃の顔も体も血だらけでドレスはボロボロだった。

「侍女長、わたくし……大丈夫よと言いたいのに…強がりもいえないかも……」

 王妃は血だらけの顔だった。なんとか微笑もうとする姿が痛々しかった。

「今そばにいる騎士達は王妃様の味方です。すぐに薬を用意しますのでお待ちください」

 騎士の一人がすぐにどこかへと姿を消した。

 その間に侍女長達は持ってきた水をコップに注ぎ、王妃の口元に近づけた。

「ありがとう……とても喉が渇いていたの」

 侍女長の目からは涙があふれていた。

「私達のために必死で働きこの国をなんとかしようと一番頑張ってこられた王妃様になんて酷いことを………申し訳ございません」

「貴女達がいたからこの国を見捨てることができなかったの……」

「私達が足かせになっていたのですね?」

「違うわ、貴女達がいたから生きる希望を持てたのよ?とても感謝しているわ」

「王妃様……こんな酷いことをされて……お辛かったでしょう?」

「みんな憂いを抱いているのよ……貧しい中生きる希望も持てない状態なんだもの……誰かを恨まなければ生きていけなかったのよ」

「でも、それは…王妃様一人に責任を負わせることではないです」

「……仕方がないのよ」

 王妃はもう諦めていた。

 誰かを恨むことも後悔することも今は…ただ…考えたくなかった。



 ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎


「先輩、山本さんからここが間違っていると書類が返ってきました。訂正をお願いしますね?」

 朝一番、田所有紗は当たり前のように私に書類を差し出した。

「これは……」
 手渡された書類に目を通すとこの仕事は全て田所有紗がやった仕事だった。

「私の仕事ではないわ。あなたの仕事でしょう?あなたが訂正するべきでは?」

 少し語気が強くなっていたかもしれない。
 朝っぱらから何で他人の仕事を振られなきゃいけないの?私の失敗でもないのに!

 私だって今日一日どれだけ仕事が溜まっていると思うの!

「……酷い……」

 突然、田所有紗が声を震わせて泣き始めた。

 え?どうして?泣くの?

「わ、わたしだって頑張ったんです。なのに……先輩は教育係なのに全然アドバイスもしてくださらない……どうやって訂正すればいいのか分からないから、お願いしただけなのに……わたし……」

 グスグスっと泣き続ける田所有紗に周りはシーンと静まり返った。

 周囲の私を見る目がとても冷たい。

「教育係なんだからもう少し気を使ってあげなさい」

「そうよ、分からないから頼って来ているんでしょう?」

 次から次へと言われる言葉は田所有紗を庇う言葉ばかり。

「田所さんも泣かないの。使えない教育係についてしまって気の毒だけど、あと少しの辛抱だから。どこが分からないの?代わりにわたしが教えてあげるから」

「はい!ありがとうございます!」

 私は朝一番、使えない教育係、意地悪な先輩というレッテルを貼られた。

 田所有紗はさっさと上司について行き、書類の訂正を見事に上司にさせてしまった。

 なんて鮮やかなんだろう。

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