15 / 45
姫。⑦
しおりを挟む
「もう!やめて」
髪の毛をルドルフが本気で食べようとする。
「わははは、ソフィ、早く逃げないと髪が短くなるぞ」
「ソフィちゃんが大好きなんだろうな」
みんな大笑いして助けてくれない。
ルドルフは日に日にわたしに懐き、甘えてくるし、最近はイタズラも増えた。
「ルドルフ!もう!嫌いになるからね」
流石に本気で怒っているのに気がついたのかルドルフも髪を食べるのをやめた。
でもわたしの髪の毛はルドルフの涎でぐっしょりと濡れて気持ちが悪い。
「お水で髪を洗ってきます」
「ルドルフはそこに居て!ついてきてはダメよ!」
ルドルフがついてこようとするので振り向き少し怒った口調で言うと諦めてルドルフはこちらをじっと見つめた。
あの黒い可愛らしい瞳で見られるとつい甘やかしてしまう。
「おいで」
わたしの言葉に反応して静かにわたしの横に来ると、わたしの歩調に合わせてルドルフも歩き出した。
外にある手押しポンプの井戸から水を汲み髪を洗い流した。
横でルドルフも静かに桶に入った水を飲んでいた。
持ってきたタオルで髪を拭いているとオリビア様の話し声が聞こえてきた。
近くにいるのかしら?
辺りを見回すと少し離れたところでわたしよりも少し年上の青年と話していた。
多分17~19歳くらいだろうか。
金髪に青い瞳、とても顔立ちが整っている。
これぞ美青年!少年にも見えるが纏う雰囲気は少しだけ大人に近く感じた。
今まで何度か見た彼女の姿とは打って変わって、少し頬を赤らめ穏やかな笑顔を絶やさないで彼の横顔をチラチラと窺っているのがわかった。
うん、聖女様は王子様みたいな人が好きなのね。
恋人かしら?婚約者?
でもそんな噂は聞いていない。
わたしはこんなところで会って何を言われるかわからないと思い目を逸らし隠れようとした。
でもわたしの横には……隠れようのないでっかいルドルフがフンフンと興奮しながらわたしの横にいた。
そう、さっきまで静かに水を飲んでいたはずのルドルフがなぜか気が立って興奮していたのだ。
「どうしたの?ルドルフ?落ち着いてちょうだい」
ルドルフの体を優しく撫でながら耳元でゆっくり話しかけた。
「ルドルフ、いい子ね、よしよし」
わたしの声がなんとかルドルフに届いたようだ。
ホッとして「行きましょう」とルドルフの手綱を持ってあるきだそうとした。
「あら?どうしてお姫様である貴女がこんなところで馬のお世話をしているのかしら?」
オリビア様が面白いものでも見つけたように嗤い、わたしの体を上から下へとジロジロと視線を向けてから、頬に手を置いた。
「はああ」とため息をつき困った顔をしていた。
「この国の姫がそんな格好で城の中をウロウロするなんて醜聞になりかねないわ、ねぇ?」
ねぇ?とわたしに言われてもわたし自身記憶がないし『姫様』としての自覚もない。
誰も何も言わないもの。
「ルドルフはわたしの馬です。大切な友人なんです。友人のお世話をして何が悪いのですか?」
わたしが馬鹿にされるのは別に平気。でもルドルフを汚いもののように見つめる目がとても嫌だ。
「友人?」
クスクス馬鹿にして笑うオリビア様。
「はいそうです。とても大切なんです。貴女もその隣にいる方が大切だと思われるならご自分の性格の悪さはお隠しになったほうがよろしいかと思います」
「な、なんて言ったの?」
オリビア様は隣にいる人のことを忘れたかのように声を荒げてわたしを睨みつけた。
「え?頭も悪いのに耳も悪くなったんですか?もう一度言ったほうがいいですか?」
スーッと息を吸い込んで、息を吐きながら満面の笑みを作り出した。
「オリビア様は頭も悪いけど性格も悪いと本当のことを言っただけです」
横にいる青年は眉をビクッと一瞬動かしたが声を出そうとしない。
ただ、わたしとオリビア様の会話を黙って聞いていた。
わたしも自分の口からこんなキツイ発言が出るとは思ってもみなかった。
多分『姫様』はこんな強気なこと言う人ではなかったのだろう。
この国の『聖女様』を敵に回して、これから平穏無事に生きていけるかしら?
自業自得だけど。
髪の毛をルドルフが本気で食べようとする。
「わははは、ソフィ、早く逃げないと髪が短くなるぞ」
「ソフィちゃんが大好きなんだろうな」
みんな大笑いして助けてくれない。
ルドルフは日に日にわたしに懐き、甘えてくるし、最近はイタズラも増えた。
「ルドルフ!もう!嫌いになるからね」
流石に本気で怒っているのに気がついたのかルドルフも髪を食べるのをやめた。
でもわたしの髪の毛はルドルフの涎でぐっしょりと濡れて気持ちが悪い。
「お水で髪を洗ってきます」
「ルドルフはそこに居て!ついてきてはダメよ!」
ルドルフがついてこようとするので振り向き少し怒った口調で言うと諦めてルドルフはこちらをじっと見つめた。
あの黒い可愛らしい瞳で見られるとつい甘やかしてしまう。
「おいで」
わたしの言葉に反応して静かにわたしの横に来ると、わたしの歩調に合わせてルドルフも歩き出した。
外にある手押しポンプの井戸から水を汲み髪を洗い流した。
横でルドルフも静かに桶に入った水を飲んでいた。
持ってきたタオルで髪を拭いているとオリビア様の話し声が聞こえてきた。
近くにいるのかしら?
辺りを見回すと少し離れたところでわたしよりも少し年上の青年と話していた。
多分17~19歳くらいだろうか。
金髪に青い瞳、とても顔立ちが整っている。
これぞ美青年!少年にも見えるが纏う雰囲気は少しだけ大人に近く感じた。
今まで何度か見た彼女の姿とは打って変わって、少し頬を赤らめ穏やかな笑顔を絶やさないで彼の横顔をチラチラと窺っているのがわかった。
うん、聖女様は王子様みたいな人が好きなのね。
恋人かしら?婚約者?
でもそんな噂は聞いていない。
わたしはこんなところで会って何を言われるかわからないと思い目を逸らし隠れようとした。
でもわたしの横には……隠れようのないでっかいルドルフがフンフンと興奮しながらわたしの横にいた。
そう、さっきまで静かに水を飲んでいたはずのルドルフがなぜか気が立って興奮していたのだ。
「どうしたの?ルドルフ?落ち着いてちょうだい」
ルドルフの体を優しく撫でながら耳元でゆっくり話しかけた。
「ルドルフ、いい子ね、よしよし」
わたしの声がなんとかルドルフに届いたようだ。
ホッとして「行きましょう」とルドルフの手綱を持ってあるきだそうとした。
「あら?どうしてお姫様である貴女がこんなところで馬のお世話をしているのかしら?」
オリビア様が面白いものでも見つけたように嗤い、わたしの体を上から下へとジロジロと視線を向けてから、頬に手を置いた。
「はああ」とため息をつき困った顔をしていた。
「この国の姫がそんな格好で城の中をウロウロするなんて醜聞になりかねないわ、ねぇ?」
ねぇ?とわたしに言われてもわたし自身記憶がないし『姫様』としての自覚もない。
誰も何も言わないもの。
「ルドルフはわたしの馬です。大切な友人なんです。友人のお世話をして何が悪いのですか?」
わたしが馬鹿にされるのは別に平気。でもルドルフを汚いもののように見つめる目がとても嫌だ。
「友人?」
クスクス馬鹿にして笑うオリビア様。
「はいそうです。とても大切なんです。貴女もその隣にいる方が大切だと思われるならご自分の性格の悪さはお隠しになったほうがよろしいかと思います」
「な、なんて言ったの?」
オリビア様は隣にいる人のことを忘れたかのように声を荒げてわたしを睨みつけた。
「え?頭も悪いのに耳も悪くなったんですか?もう一度言ったほうがいいですか?」
スーッと息を吸い込んで、息を吐きながら満面の笑みを作り出した。
「オリビア様は頭も悪いけど性格も悪いと本当のことを言っただけです」
横にいる青年は眉をビクッと一瞬動かしたが声を出そうとしない。
ただ、わたしとオリビア様の会話を黙って聞いていた。
わたしも自分の口からこんなキツイ発言が出るとは思ってもみなかった。
多分『姫様』はこんな強気なこと言う人ではなかったのだろう。
この国の『聖女様』を敵に回して、これから平穏無事に生きていけるかしら?
自業自得だけど。
774
あなたにおすすめの小説
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
夫は家族を捨てたのです。
クロユキ
恋愛
私達家族は幸せだった…夫が出稼ぎに行かなければ…行くのを止めなかった私の後悔……今何処で何をしているのかも生きているのかも分からない……
夫の帰りを待っ家族の話しです。
誤字脱字があります。更新が不定期ですがよろしくお願いします。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる