裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。

たろ

文字の大きさ
17 / 45

16歳。

しおりを挟む
「ソフィ?」

「なぁに?」

 おじちゃんが困った顔をしてる。

「どうしたの?」

「ソフィももう16歳だ。このままここに居るわけにはいかない」

「わたし……ここがいい」

 ネルヴァン……彼に会った瞬間、全てを思い出した。

 裏切られ死んだわたしが生まれ変わったのが、『沙耶香』だった。

 何度も夢で見たあの殺される風景。
 あれは夢じゃない。前世のわたし。

 そして殺された。

 わたしは背中を押されてホームから線路へ落ちていった。

 あの時の声は田所有紗だった。

『あんたなんか死ねばいいのよ』

 ……

 田所有紗のその言葉は、前世のわたしが死んだことを言ったのだろうか?

 今も田所有紗の声を思い出すと震えが止まらない。



 あのあとわたしは思わず大きな声で叫んであの男から逃げ出した。

 そして、身をしばらく隠していた。
 夜になって隠し通路から部屋に一旦戻りほんの僅かだけど貯めていたお金と部屋にあったお金になりそうな『姫様』の宝石をいくつか持ち出して夜中に城を出た。

 思ったよりも城から出るのは簡単だった。

 隠し通路には門を通らなくても城下へといける通路があった。

 何かあった時に城から逃げられるように造られていたのだった。

 わたしは夜な夜なあの部屋から逃げ出すために元々計画を立てていた。そして隠し通路が城下の町外れに出ることを知った。計画よりも一年以上早かったけど、城から去ることにした。

 逃げて逃げて、そして………

 気がつくと知らない道を真っ暗な中歩いていた。

 まぁどこへ行っても知らない場所だったけど。

 真っ暗な道はとても怖くてカサッと音が聞こえるだけで怯えた。それでも心は焦っていた。

 もし見つかったら捕まって城から逃げられなくなる。

 後ろから音が近づいてきた。身を隠すところもなく慌てて走り出そうとしたら、暗い影が近づいて来て、生温かいベロがわたしの頬を舐めた。

「えっ?」

 これは……ルドルフ?

 真っ暗な道、月明かりがルドルフの姿をうっすらと映し出した。

「ルドルフ?」

 またわたしの頬を舐めて擦り寄ってきた。

「どうして?ここに居るの?」

 ルドルフは王族の馬。もし逃げてきたことがわかったらおじちゃん達が罰を受ける。

「帰りなさい」

 キツく叱るように言った。

 無視して歩き始めるとルドルフがついてくる。

「だめ!帰りなさい!」

 わたしがどうしてまたこの世界に戻ってきたのかわからない。

 だけどもうお父様たちの顔色を窺ってご機嫌をとりたくない。

 オリビア様はわたしの義姉としてお父様たちと家族になった。

 王妃になった時のわたしは、家族の輪に入れてもらえずに以前のわたしは深く傷ついていた。
 ルワナ国から人質のように姫を差し出すように言われ、わたしが嫁ぐことになった。

 それも全て家族に認めてもらいたかったから。

 でももうあんな地獄のような生活はしたくない。

 ネルヴァン様は側妃であるリリア様を寵愛され、わたしは執務をするためのお飾りの正妃だった。

 それでもわたしは、誰かの愛を求めて必死で誠実に生きてきた。

 その結果、裏切られ殺された。

 記憶はなかったけど、ずっとあの夢のように生きたくないとこの世界に来てからは抗ってきた。

 思い出した今、もう絶対にあの時の二の舞は演じたくない。

 わたしは誰にも利用されたくないし殺されたくない。

 我慢だってしたくないし、今世では自分のために………生きてみたい。



 そしてついて来て離れないルドルフと辿り着いたのが小さな村だった。

 そこで一人暮らしの薬草を摘んで売るおじちゃんと知り合った。






しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご
恋愛
夫に何かを期待するから裏切られた気持ちになるの。 もう期待しなければ裏切られる事も無い。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

彼女が望むなら

mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。 リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。

夫は家族を捨てたのです。

クロユキ
恋愛
私達家族は幸せだった…夫が出稼ぎに行かなければ…行くのを止めなかった私の後悔……今何処で何をしているのかも生きているのかも分からない…… 夫の帰りを待っ家族の話しです。 誤字脱字があります。更新が不定期ですがよろしくお願いします。

「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。 誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。 無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。 ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。 「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。 アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。 そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています

処理中です...