15 / 25
第15話「スキルの合成」
しおりを挟む
地下水路から帰還した俺たちは、宿の部屋で『戦利品』の整理を行っていた。 机の上には、これまでの冒険で溜め込んだ魔石や素材、そして数本の巻物が並べられている。
「すごい量ですね……。これ全部、売ればいくらになるんでしょう」
リーナが目を丸くしている。 だが、俺の目的は換金ではない。今回の目玉は、ジェイルキーパーが落とした素材ではなく、道中の宝箱や雑魚敵から回収していた『スキルスクロール』の山だ。
この世界には、使うだけでスキルを習得できるスクロールが存在する。 通常、低ランクの魔物が落とすスクロールは【筋力微増】や【足捌き】といった効果の薄いものばかりで、冒険者ギルドでは二束三文で取引されている。 だが、俺の手元には、地下水路で拾ったあるアイテムがあった。
【錬金術師の合成壺】
【レアリティ:SR】
【効果:二つの消費アイテムを投入し、上位のアイテムに合成する。成功率は素材の相性に依存する】
これを使えば、ゴミのような低級スクロールも化ける。
「見てろ。これから俺たちの戦力を底上げする」
俺は壺の中に、【筋力微増】のスクロールを二本放り込んだ。 蓋をして魔力を流し込むと、壺がカタカタと震え、ポンッという音と共に一本の新しいスクロールが吐き出された。
【筋力強化(小)】
「成功だ」
俺は作業を続ける。 【筋力強化(小)】同士を合成し【筋力強化(中)】へ。さらにそれを合成し……。 地味な作業だが、俺には合成結果の『成功ルート』が見えている。どの組み合わせなら品質が上がるか、鑑定眼が教えてくれるのだ。
数十分後。 俺の手元には、数本の高ランクスクロールが完成していた。
「まずは俺だ」
俺は自分用に作成した二本のスクロールを開く。
【剛腕の理(パッシブ)】
【効果:基礎筋力を大幅に上昇させる】
【神速の脚(アクティブ)】
【効果:魔力を消費し、一時的に移動速度と反応速度を限界まで加速させる】
光が俺の体を包む。 全身の筋肉が軋み、細胞が書き換えられていくような感覚。 握り拳を作ると、以前とは比較にならない力が漲っているのが分かった。 『神速の脚』を発動してみる。 世界がスローモーションに見えた。部屋の中を移動しても、誰も俺の動きを目で追えていない。
「……消えた?」
ミオがキョロキョロしている。 俺は元の位置に戻り、スキルを解除した。
「次はサラだ」
俺は呆然としているサラに、緑色に輝くスクロールを渡す。
「これを覚えろ。【自動回復(リジェネレーション)】だ」
「リジェネ……? それって、高級な回復職しか使えない魔法じゃ……」
「スキルとして習得すれば、魔力を消費して常時発動できる。お前のHPなら、多少のダメージは数秒で完治するようになる」
サラの役割はサンドバッグだ。ならば、自己修復機能があれば、回復薬の節約にもなるし、前線維持能力が跳ね上がる。 サラは震える手でそれを受け取り、使用した。 彼女の肌艶が良くなり、先ほどの戦闘で残っていた小さな擦り傷が、見る見るうちに塞がっていく。
「すごい……。傷が勝手に治っていくわ。これなら、無限に殴られても平気ね!」
「調子に乗るなよ。即死級の攻撃は防げない」
次はリーナだ。 彼女には【鷹の目】の上位版、【千里眼】を渡す。
「視界を強化するスキルだ。遠くの敵を拡大して見ることができるし、遮蔽物の裏側の熱源もある程度感知できる」
「ありがとうございます! これがあれば、マスターが指示する前に敵を見つけられます!」
最後はミオ。 彼女には【急所突き】と【二刀流】を合成した、攻撃特化のスキルを用意した。
「【連撃の心得】だ。攻撃した際、一定確率で追加ダメージが発生する。お前の手数なら、発動機会は多いはずだ」
「……いいのか? こんな強そうなスキル」
「お前の短剣は火力が低い。これで補え」
ミオは嬉しそうにスクロールを胸に抱き、すぐに習得した。
これで全員の強化が完了した。 俺はステータス画面を開き、パーティ全体の戦力を確認する。
カズヤ:一撃必殺の火力と、回避不可能な速度。 サラ:物理無効の盾と、自動回復による不死身の耐久。 リーナ:超長距離からの必中射撃。 ミオ:隠密行動と、高回転の連続攻撃。
隙がない。 RPGなら、ラスボス手前のパーティと言っても過言ではないスペックだ。
「よし、今日はもう休め。明日はギルドに行って、今の俺たちに見合う依頼を探す」
俺が解散を宣言すると、三人はそれぞれの戦利品(スキル)を確かめ合いながら、楽しそうに会話を始めた。
「ねえ見て、私の視力すごいことになってる! 窓の外の屋根に止まってる鳥の羽の模様まで見える!」
「私なんか、壁に小指ぶつけても一瞬で痛みが引いたわよ」
「それはどうかと思うけど……でも、体が軽い。今なら誰にも負ける気がしない」
彼女たちの浮かれた様子を横目に、俺はベッドに横になる。 慢心は禁物だが、事実は事実だ。 俺たちは強くなった。 この世界で、俺の意思を阻むものは着実に減りつつある。
だが、翌日ギルドに向かった俺たちを待っていたのは、予想外の騒ぎだった。 ギルドの中が、殺気立った冒険者たちでごった返していたのだ。
「街道が封鎖されただと!?」
「空から来るんじゃ、商隊は動かせねえぞ!」
怒号が飛び交う掲示板の前。 俺はその中心に貼られた、赤い紙――緊急依頼書に目を止めた。
【緊急依頼:ワイバーンの群れの討伐】
【場所:アルディア東部街道】
【報酬:金貨100枚(素材買取別)】
空飛ぶトカゲか。 俺はニヤリと笑った。 合成したばかりのスキルの試し切りには、ちょうどいい相手だ。それに、ワイバーン素材は高値で売れるし、レアドロップにも期待できる。
「行くぞ。稼ぎ時だ」
俺の声に、三人のヒロインが力強く頷いた。 新たな力の実験が始まる。
「すごい量ですね……。これ全部、売ればいくらになるんでしょう」
リーナが目を丸くしている。 だが、俺の目的は換金ではない。今回の目玉は、ジェイルキーパーが落とした素材ではなく、道中の宝箱や雑魚敵から回収していた『スキルスクロール』の山だ。
この世界には、使うだけでスキルを習得できるスクロールが存在する。 通常、低ランクの魔物が落とすスクロールは【筋力微増】や【足捌き】といった効果の薄いものばかりで、冒険者ギルドでは二束三文で取引されている。 だが、俺の手元には、地下水路で拾ったあるアイテムがあった。
【錬金術師の合成壺】
【レアリティ:SR】
【効果:二つの消費アイテムを投入し、上位のアイテムに合成する。成功率は素材の相性に依存する】
これを使えば、ゴミのような低級スクロールも化ける。
「見てろ。これから俺たちの戦力を底上げする」
俺は壺の中に、【筋力微増】のスクロールを二本放り込んだ。 蓋をして魔力を流し込むと、壺がカタカタと震え、ポンッという音と共に一本の新しいスクロールが吐き出された。
【筋力強化(小)】
「成功だ」
俺は作業を続ける。 【筋力強化(小)】同士を合成し【筋力強化(中)】へ。さらにそれを合成し……。 地味な作業だが、俺には合成結果の『成功ルート』が見えている。どの組み合わせなら品質が上がるか、鑑定眼が教えてくれるのだ。
数十分後。 俺の手元には、数本の高ランクスクロールが完成していた。
「まずは俺だ」
俺は自分用に作成した二本のスクロールを開く。
【剛腕の理(パッシブ)】
【効果:基礎筋力を大幅に上昇させる】
【神速の脚(アクティブ)】
【効果:魔力を消費し、一時的に移動速度と反応速度を限界まで加速させる】
光が俺の体を包む。 全身の筋肉が軋み、細胞が書き換えられていくような感覚。 握り拳を作ると、以前とは比較にならない力が漲っているのが分かった。 『神速の脚』を発動してみる。 世界がスローモーションに見えた。部屋の中を移動しても、誰も俺の動きを目で追えていない。
「……消えた?」
ミオがキョロキョロしている。 俺は元の位置に戻り、スキルを解除した。
「次はサラだ」
俺は呆然としているサラに、緑色に輝くスクロールを渡す。
「これを覚えろ。【自動回復(リジェネレーション)】だ」
「リジェネ……? それって、高級な回復職しか使えない魔法じゃ……」
「スキルとして習得すれば、魔力を消費して常時発動できる。お前のHPなら、多少のダメージは数秒で完治するようになる」
サラの役割はサンドバッグだ。ならば、自己修復機能があれば、回復薬の節約にもなるし、前線維持能力が跳ね上がる。 サラは震える手でそれを受け取り、使用した。 彼女の肌艶が良くなり、先ほどの戦闘で残っていた小さな擦り傷が、見る見るうちに塞がっていく。
「すごい……。傷が勝手に治っていくわ。これなら、無限に殴られても平気ね!」
「調子に乗るなよ。即死級の攻撃は防げない」
次はリーナだ。 彼女には【鷹の目】の上位版、【千里眼】を渡す。
「視界を強化するスキルだ。遠くの敵を拡大して見ることができるし、遮蔽物の裏側の熱源もある程度感知できる」
「ありがとうございます! これがあれば、マスターが指示する前に敵を見つけられます!」
最後はミオ。 彼女には【急所突き】と【二刀流】を合成した、攻撃特化のスキルを用意した。
「【連撃の心得】だ。攻撃した際、一定確率で追加ダメージが発生する。お前の手数なら、発動機会は多いはずだ」
「……いいのか? こんな強そうなスキル」
「お前の短剣は火力が低い。これで補え」
ミオは嬉しそうにスクロールを胸に抱き、すぐに習得した。
これで全員の強化が完了した。 俺はステータス画面を開き、パーティ全体の戦力を確認する。
カズヤ:一撃必殺の火力と、回避不可能な速度。 サラ:物理無効の盾と、自動回復による不死身の耐久。 リーナ:超長距離からの必中射撃。 ミオ:隠密行動と、高回転の連続攻撃。
隙がない。 RPGなら、ラスボス手前のパーティと言っても過言ではないスペックだ。
「よし、今日はもう休め。明日はギルドに行って、今の俺たちに見合う依頼を探す」
俺が解散を宣言すると、三人はそれぞれの戦利品(スキル)を確かめ合いながら、楽しそうに会話を始めた。
「ねえ見て、私の視力すごいことになってる! 窓の外の屋根に止まってる鳥の羽の模様まで見える!」
「私なんか、壁に小指ぶつけても一瞬で痛みが引いたわよ」
「それはどうかと思うけど……でも、体が軽い。今なら誰にも負ける気がしない」
彼女たちの浮かれた様子を横目に、俺はベッドに横になる。 慢心は禁物だが、事実は事実だ。 俺たちは強くなった。 この世界で、俺の意思を阻むものは着実に減りつつある。
だが、翌日ギルドに向かった俺たちを待っていたのは、予想外の騒ぎだった。 ギルドの中が、殺気立った冒険者たちでごった返していたのだ。
「街道が封鎖されただと!?」
「空から来るんじゃ、商隊は動かせねえぞ!」
怒号が飛び交う掲示板の前。 俺はその中心に貼られた、赤い紙――緊急依頼書に目を止めた。
【緊急依頼:ワイバーンの群れの討伐】
【場所:アルディア東部街道】
【報酬:金貨100枚(素材買取別)】
空飛ぶトカゲか。 俺はニヤリと笑った。 合成したばかりのスキルの試し切りには、ちょうどいい相手だ。それに、ワイバーン素材は高値で売れるし、レアドロップにも期待できる。
「行くぞ。稼ぎ時だ」
俺の声に、三人のヒロインが力強く頷いた。 新たな力の実験が始まる。
303
あなたにおすすめの小説
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる