『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道

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第15話「スキルの合成」

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地下水路から帰還した俺たちは、宿の部屋で『戦利品』の整理を行っていた。  机の上には、これまでの冒険で溜め込んだ魔石や素材、そして数本の巻物が並べられている。

「すごい量ですね……。これ全部、売ればいくらになるんでしょう」

 リーナが目を丸くしている。  だが、俺の目的は換金ではない。今回の目玉は、ジェイルキーパーが落とした素材ではなく、道中の宝箱や雑魚敵から回収していた『スキルスクロール』の山だ。

 この世界には、使うだけでスキルを習得できるスクロールが存在する。  通常、低ランクの魔物が落とすスクロールは【筋力微増】や【足捌き】といった効果の薄いものばかりで、冒険者ギルドでは二束三文で取引されている。  だが、俺の手元には、地下水路で拾ったあるアイテムがあった。

【錬金術師の合成壺】 
【レアリティ:SR】 
【効果:二つの消費アイテムを投入し、上位のアイテムに合成する。成功率は素材の相性に依存する】

 これを使えば、ゴミのような低級スクロールも化ける。

「見てろ。これから俺たちの戦力を底上げする」

 俺は壺の中に、【筋力微増】のスクロールを二本放り込んだ。  蓋をして魔力を流し込むと、壺がカタカタと震え、ポンッという音と共に一本の新しいスクロールが吐き出された。

【筋力強化(小)】

「成功だ」

 俺は作業を続ける。  【筋力強化(小)】同士を合成し【筋力強化(中)】へ。さらにそれを合成し……。  地味な作業だが、俺には合成結果の『成功ルート』が見えている。どの組み合わせなら品質が上がるか、鑑定眼が教えてくれるのだ。

 数十分後。  俺の手元には、数本の高ランクスクロールが完成していた。

「まずは俺だ」

 俺は自分用に作成した二本のスクロールを開く。

【剛腕の理(パッシブ)】 
【効果:基礎筋力を大幅に上昇させる】

【神速の脚(アクティブ)】 
【効果:魔力を消費し、一時的に移動速度と反応速度を限界まで加速させる】

 光が俺の体を包む。  全身の筋肉が軋み、細胞が書き換えられていくような感覚。  握り拳を作ると、以前とは比較にならない力が漲っているのが分かった。  『神速の脚』を発動してみる。  世界がスローモーションに見えた。部屋の中を移動しても、誰も俺の動きを目で追えていない。

「……消えた?」

 ミオがキョロキョロしている。  俺は元の位置に戻り、スキルを解除した。

「次はサラだ」

 俺は呆然としているサラに、緑色に輝くスクロールを渡す。

「これを覚えろ。【自動回復(リジェネレーション)】だ」 
「リジェネ……? それって、高級な回復職しか使えない魔法じゃ……」 
「スキルとして習得すれば、魔力を消費して常時発動できる。お前のHPなら、多少のダメージは数秒で完治するようになる」

 サラの役割はサンドバッグだ。ならば、自己修復機能があれば、回復薬の節約にもなるし、前線維持能力が跳ね上がる。  サラは震える手でそれを受け取り、使用した。  彼女の肌艶が良くなり、先ほどの戦闘で残っていた小さな擦り傷が、見る見るうちに塞がっていく。

「すごい……。傷が勝手に治っていくわ。これなら、無限に殴られても平気ね!」 
「調子に乗るなよ。即死級の攻撃は防げない」

 次はリーナだ。  彼女には【鷹の目】の上位版、【千里眼】を渡す。

「視界を強化するスキルだ。遠くの敵を拡大して見ることができるし、遮蔽物の裏側の熱源もある程度感知できる」 
「ありがとうございます! これがあれば、マスターが指示する前に敵を見つけられます!」

 最後はミオ。  彼女には【急所突き】と【二刀流】を合成した、攻撃特化のスキルを用意した。

「【連撃の心得】だ。攻撃した際、一定確率で追加ダメージが発生する。お前の手数なら、発動機会は多いはずだ」 
「……いいのか? こんな強そうなスキル」 
「お前の短剣は火力が低い。これで補え」

 ミオは嬉しそうにスクロールを胸に抱き、すぐに習得した。

 これで全員の強化が完了した。  俺はステータス画面を開き、パーティ全体の戦力を確認する。

 カズヤ:一撃必殺の火力と、回避不可能な速度。  サラ:物理無効の盾と、自動回復による不死身の耐久。  リーナ:超長距離からの必中射撃。  ミオ:隠密行動と、高回転の連続攻撃。

 隙がない。  RPGなら、ラスボス手前のパーティと言っても過言ではないスペックだ。

「よし、今日はもう休め。明日はギルドに行って、今の俺たちに見合う依頼を探す」

 俺が解散を宣言すると、三人はそれぞれの戦利品(スキル)を確かめ合いながら、楽しそうに会話を始めた。

「ねえ見て、私の視力すごいことになってる! 窓の外の屋根に止まってる鳥の羽の模様まで見える!」 
「私なんか、壁に小指ぶつけても一瞬で痛みが引いたわよ」 
「それはどうかと思うけど……でも、体が軽い。今なら誰にも負ける気がしない」

 彼女たちの浮かれた様子を横目に、俺はベッドに横になる。  慢心は禁物だが、事実は事実だ。  俺たちは強くなった。  この世界で、俺の意思を阻むものは着実に減りつつある。

 だが、翌日ギルドに向かった俺たちを待っていたのは、予想外の騒ぎだった。  ギルドの中が、殺気立った冒険者たちでごった返していたのだ。

「街道が封鎖されただと!?」 
「空から来るんじゃ、商隊は動かせねえぞ!」

 怒号が飛び交う掲示板の前。  俺はその中心に貼られた、赤い紙――緊急依頼書に目を止めた。

【緊急依頼:ワイバーンの群れの討伐】 
【場所:アルディア東部街道】 
【報酬:金貨100枚(素材買取別)】

 空飛ぶトカゲか。  俺はニヤリと笑った。  合成したばかりのスキルの試し切りには、ちょうどいい相手だ。それに、ワイバーン素材は高値で売れるし、レアドロップにも期待できる。

「行くぞ。稼ぎ時だ」

 俺の声に、三人のヒロインが力強く頷いた。  新たな力の実験が始まる。
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