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第19話
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リシアが宿舎に滞在するようになって、数日が経った。彼女は依然として森の民としての誇りを胸に抱いているが、俺やエリス、ルナ、セシリア、リリアとの交流を通じて、少しずつ王都での生活にも慣れてきたようだった。特にルナは、リシアが森の話をしてくれると目を輝かせて聞き入っていた。
「姉様、あのね、ルナね、エリスお姉ちゃんの歌が大好き!」
ルナがエリスの歌に合わせて踊りながら、リシアにそう話しかける。リシアは優しく微笑み、ルナの頭を撫でた。
「そうか。エリスも歌が好きだったな」
◇
ある日、俺はギルドの依頼で、リシアと共に王都周辺の森へ行くことになった。採集クエストで、特定の珍しいキノコを見つけるというものだ。セシリアは他の依頼があるため同行できなかった。
「健太さん、このあたりは魔物の気配が薄いですが、念のため警戒を怠らないでください」
リシアは弓を構え、周囲を警戒しながら俺に注意を促す。彼女の森での生活で培われた感覚は、俺たちとは比べ物にならないほど鋭い。
「ありがとう、リシア。助かるよ」
俺たちは森の奥へと進んでいく。リシアは道中、様々な森の知識を教えてくれた。
「健太さん、この草は薬にも毒にもなる。使い方を間違えれば危険だ」
リシアはそう言って、足元の小さな草を指差した。俺がしゃがんで観察すると、確かにどこにでもありそうな草だが、彼女の説明を聞くとその奥深さに驚かされる。
「へぇ、そうなのか。森って奥が深いな」
「この森には、人間には計り知れない恵みと危険が共存している。私たちは、それを理解し、共に生きている」
リシアは静かにそう語った。その言葉には、森の民としての深い敬意と誇りが込められているのが感じられた。彼女は俺に、様々な薬草の種類や、動物の生態、天候の変化の兆候など、森で生きるための知恵を教えてくれた。彼女の知識は、俺の知る科学とは全く異なる、生命そのものと向き合うような智慧だった。
「健太さん、見てください。これです、探していたキノコは」
リシアが指差す先には、薄暗い森の中でぼんやりと光を放つキノコが生えていた。見た目は地味だが、確かにギルドで見た依頼書のイラストと同じだった。
「おお!すげえ、よく見つけたな!」
俺が感心すると、リシアは控えめに微笑んだ。
「この森のどこに何があるか、私は大体知っている」
採集を終え、帰り道。リシアはふと、エリスの話を切り出した。
「エリスは……あの子は、歌と踊りが好きでな。昔から、森の奥で一人で歌っていた」
リシアの表情は、優しい眼差しに変わっていた。
「森の民は、外の世界に出ることがあまりない。だが、あの子は……いつも外の世界を夢見ていた」
彼女の言葉から、エリスがどれほど歌と踊りを愛し、そしてどれほど外の世界に憧れていたかが伝わってきた。そして、リシアが、そんなエリスをどれほど大切に思っていたのかも。
「だから……あの子がこの王都で、ケンタさんのそばで歌い、踊れているのを見て、私は……」
リシアは言葉を選びながら、ゆっくりと続けた。
「……嬉しい。あの子が幸せなら、それでいいと思っている」
その言葉を聞いた瞬間、俺はリシアがエリスを深く、深く愛していることを確信した。姉妹の間に流れる、強く、温かい絆。森の民としての役目と、妹への深い愛情。リシアの心の中には、相反する感情が複雑に絡み合っていたが、それでも妹の幸せを願う気持ちが、何よりも優先されているのが分かった。
宿舎に戻り、エリスがリシアに駆け寄っていく姿を見た時、俺の心は温かいもので満たされた。二人の間に元々あった強い絆が、再会によってさらに輝きを増しているように思えた。
「姉様、あのね、ルナね、エリスお姉ちゃんの歌が大好き!」
ルナがエリスの歌に合わせて踊りながら、リシアにそう話しかける。リシアは優しく微笑み、ルナの頭を撫でた。
「そうか。エリスも歌が好きだったな」
◇
ある日、俺はギルドの依頼で、リシアと共に王都周辺の森へ行くことになった。採集クエストで、特定の珍しいキノコを見つけるというものだ。セシリアは他の依頼があるため同行できなかった。
「健太さん、このあたりは魔物の気配が薄いですが、念のため警戒を怠らないでください」
リシアは弓を構え、周囲を警戒しながら俺に注意を促す。彼女の森での生活で培われた感覚は、俺たちとは比べ物にならないほど鋭い。
「ありがとう、リシア。助かるよ」
俺たちは森の奥へと進んでいく。リシアは道中、様々な森の知識を教えてくれた。
「健太さん、この草は薬にも毒にもなる。使い方を間違えれば危険だ」
リシアはそう言って、足元の小さな草を指差した。俺がしゃがんで観察すると、確かにどこにでもありそうな草だが、彼女の説明を聞くとその奥深さに驚かされる。
「へぇ、そうなのか。森って奥が深いな」
「この森には、人間には計り知れない恵みと危険が共存している。私たちは、それを理解し、共に生きている」
リシアは静かにそう語った。その言葉には、森の民としての深い敬意と誇りが込められているのが感じられた。彼女は俺に、様々な薬草の種類や、動物の生態、天候の変化の兆候など、森で生きるための知恵を教えてくれた。彼女の知識は、俺の知る科学とは全く異なる、生命そのものと向き合うような智慧だった。
「健太さん、見てください。これです、探していたキノコは」
リシアが指差す先には、薄暗い森の中でぼんやりと光を放つキノコが生えていた。見た目は地味だが、確かにギルドで見た依頼書のイラストと同じだった。
「おお!すげえ、よく見つけたな!」
俺が感心すると、リシアは控えめに微笑んだ。
「この森のどこに何があるか、私は大体知っている」
採集を終え、帰り道。リシアはふと、エリスの話を切り出した。
「エリスは……あの子は、歌と踊りが好きでな。昔から、森の奥で一人で歌っていた」
リシアの表情は、優しい眼差しに変わっていた。
「森の民は、外の世界に出ることがあまりない。だが、あの子は……いつも外の世界を夢見ていた」
彼女の言葉から、エリスがどれほど歌と踊りを愛し、そしてどれほど外の世界に憧れていたかが伝わってきた。そして、リシアが、そんなエリスをどれほど大切に思っていたのかも。
「だから……あの子がこの王都で、ケンタさんのそばで歌い、踊れているのを見て、私は……」
リシアは言葉を選びながら、ゆっくりと続けた。
「……嬉しい。あの子が幸せなら、それでいいと思っている」
その言葉を聞いた瞬間、俺はリシアがエリスを深く、深く愛していることを確信した。姉妹の間に流れる、強く、温かい絆。森の民としての役目と、妹への深い愛情。リシアの心の中には、相反する感情が複雑に絡み合っていたが、それでも妹の幸せを願う気持ちが、何よりも優先されているのが分かった。
宿舎に戻り、エリスがリシアに駆け寄っていく姿を見た時、俺の心は温かいもので満たされた。二人の間に元々あった強い絆が、再会によってさらに輝きを増しているように思えた。
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